アップルは様々な独自開発チップ、通称「Appleシリコン」を自社製品に採用している。iPhoneやiPadの下位モデルにはAシリーズのチップ、Macや最新iPad Pro/Air向けにはM1チップという具合だ。最近では、新型MacBook Airや13インチMacBook Proに搭載された「M2」チップも加わっている。
ではM2は、Appleシリコン全体の中でどういった位置づけにあるのか? アップル関連の老舗メディアMacWorldが、デバイスの垣根を越えた比較レポートを発表している。
この記事は、人気ベンチマークアプリGeekbench 5の結果を深く掘り下げたものだ。興味深いのは、たとえ同じチップであっても温度制御のためにクロック数に差を付けられ、その結果パフォーマンスも異なると指摘されていることだ。
たとえば第5世代iPad miniにはA15 Bionicが搭載されているが、過熱を避けるためにクロック数を下げる必要があり、同じくA15を搭載したiPhone 13 Proほど高速ではない、といった具合だ。
また、iPhone用としては最新のA15 Bionicが、実はA14との性能差がわずかであり、一方でM1チップとの差が大きいことも指摘されている。それが、2022年発売の第5世代iPad AirにM1を採用した理由の1つだろう、と推測されているしだいだ。
こうした考察から、今後の無印iPadやiPad miniにどのプロセッサーが搭載されるかという予想も導き出している。無印はおそらくA15 Bionicを搭載すると思われる一方、第7世代iPad miniについては「M1はiPad miniの形状にとっては熱くなりすぎる可能性があるが、クロックダウン版なら搭載できるだろう」とのことだ。
さて、すべてのチップ性能を1つにまとめるとどうなるのか。その結果はM1 Pro/Maxがトップで、次にM2とM1、その後にAシリーズチップが年代順に続くという予想通りのランクとなっている。アップルがM2チップを発表したとき、あくまで「M1と比べて何%アップ」とだけ述べ、M1 ProやM1 Maxを比較対象としなかった理由がわかりやすく見えてくる。
そのほか、M1 iPad ProとM1 MacBookとの差がほとんどなく、廉価モデルであるiPhone SE(第3世代)とiPhone 13 Proの性能差が、価格の違いほど大きくないことも可視化されている。
Macの飛躍的な性能アップは、やはり「M2 Pro」「M2 Max」や、その先に待つ「M3」チップの投入を待つ必要がありそうだ。