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 2022年シーズンもトヨタGRスープラ、ホンダNSX-GT、ニッサンZ GT500の3車種15台が戦いを繰り広げるスーパーGT GT500クラス。世界にも類を見ない4メーカーによるタイヤ開発競争もあいまって、毎戦熾烈な戦いが繰り広げられている。しかし、その戦いを支えるのはエンジンや車体、タイヤだけではない。あまり外観からではパッと見でわかりづらい、各所の重要なパーツも、さまざまなサプライヤーが競って開発を行い、スーパーGTの激しい戦いを支えている。

 今回はそんなパーツの中からホイール、ハーネス(シートベルト)、ワイパーの3種類のメーカー別シェアを見てみよう。なお、これらの結果はオートスポーツweb編集部の独自調査によるものでチームやサプライヤー各社の公式発表ではないことを承知頂きたい。

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 先述のとおり、スーパーGTでは4社のタイヤメーカーがタイヤを開発・供給しコンペティションを繰り広げている。そんなタイヤに車軸の回転力を伝える上で、欠かせないのがホイールの存在だ。それでは、2022年シーズンのGT500クラスのホイールメーカー別のシェアを見てみよう。

2022年スーパーGT GT500クラス メーカー別ホイールシェア(編集部調べ)
2022年スーパーGT GT500クラス メーカー別ホイールシェア(編集部調べ)

 5台に供給するエンケイがトップ、4台が装着するレイズがシェア2位、SSR(タナベ)が2台でシェア3位と、国内に自社で鍛造設備を有するメーカーがトップ3を占める結果となった。

 今季より3チームがホイールメーカーをスイッチしている。まず、2017年シーズンよりモデューロのホイールを装着してきたTEAM KUNIMITSUがレイズを装着。

レイズにスイッチしたSTANLEY NSX-GTのホイールにはチームロゴが刻まれている
レイズにスイッチしたSTANLEY NSX-GTのホイールにはチームロゴが刻まれている

 また、2014年シーズンよりBBSジャパン製ホイールを装着していたTGR TEAM SARDがエンケイに変更。そして2018年シーズンからBBSジャパン製を装着していたTGR TEAM ZENT CERUMOがTWSへスイッチしたことで、今年のGT500クラスはBBSジャパンユーザー不在のシーズンとなった。

 なお、BBSジャパンはGT300クラスに参戦するSUBARU BRZ R&D SPORT、Studie PLUS BMWの2台へ供給を継続するほか、今季よりF1とNASCARへワンメイクホイールを供給している。

 上記のように、GT500クラスでは数年ごとにホイールサプライヤーを変えるチームもあるなか、ホイールメーカーのウェッズがメインスポンサーを務めるTGR TEAM WedsSport BANDOHは、GT300クラス参戦中の1998年シーズンより、一貫してウェッズスポーツのホイールを装着している。

 なお、GT500クラスでは2009年シーズンの3戦に出走したASTON MARTIN 赤坂 DBR9がイタリアのOZレーシングを装着して以降、全車が日本メーカーのホイールを装着している(2019年に開催されたスーパーGT×DTM特別交流戦を除く)。日本のホイールメーカーにとって、製品の研究、開発が可能で、プロモーション展開をする上でも、GT500というカテゴリーは貴重な存在なのだということが読み取れるだろう。

WedsSport ADVAN GR Supraの履くウェッズスポーツの『TC105X GT』
WedsSport ADVAN GR Supraの履くウェッズスポーツの『TC105X GT』

■ハーネスはドイツとイタリアの老舗メーカーがシェアを分ける

 次はハーネス(シートベルト)のシェアを見てみよう。2020年に編集部が調査した際には日本製を含む3メーカーのハーネスが使用されていたが、2022年シーズンは自動車競技および航空ハーネス産業において地位を確立しているドイツのSCHROTH(シュロス)と、イタリアの老舗ブランドで、ハーネス界の定番ブランドのひとつSabelt(サベルト)の2社がシェアをわけあうかたちとなった。

2022年スーパーGT GT500クラス メーカー別ハーネスシェア(編集部調べ)
2022年スーパーGT GT500クラス メーカー別ハーネスシェア(編集部調べ)

 なお、今シーズンから登場のニッサンZ GT500は全車がサベルト製ハーネスを採用している。一方、トヨタGRスープラ GT500とホンダNSX-GT(タイプS)はシュロスを使用するチームが多いなか、オートスポーツweb編集部の独自調査では、ZENT CERUMO GR SupraとModulo NSX-GTはサベルトを採用していた。

 やはり、マニュファクチャラーからの車両(および部品)の引き渡しの時点から“純正扱い”で装着されている物をそのまま使用しているチームが多いようだ。しかし、最終的にどのメーカーのハーネスを使用するかは、チーム側が決めることができるとのこと。そのため、ふたりのドライバーのそれぞれの好みが、どのハーネスを使用するかを左右する大きなポイントとなっているようだ。

同じメーカー製ハーネスでもカラーリングは各チームそれぞれで異なる。STANLEY NSX-GTはシュロスのブルーのハーネスを採用
同じメーカー製ハーネスでもカラーリングは各チームそれぞれで異なる。STANLEY NSX-GTはシュロスのブルーのハーネスを採用
サベルトのレッドのハーネスを装着するZENT CERUMO GR Supra(石浦宏明)
サベルトのレッドのハーネスを装着するZENT CERUMO GR Supra

 最後にワイパーのシェアを見てみよう。2020年の調査に引き続き、2022年第3戦鈴鹿時点での調査でも全チームがボッシュ製のワイパーブレードを使用していた。

 市販車では通常、2本のワイパーブレードが装着されているが、GT500の場合はフロントウインドウ下部中央を起点にした1本のワイパーブレードで視界を確保する。使用されているワイパーモーターはボッシュが供給する共通部品に指定されており、高速走行時の膨大な空気抵抗に対応するためワイパーの保持トルクが強化されているなど、モータースポーツ用途に特化した仕様となっている。

 なお、ワイパーのワイプ角度は160度の広さを誇る。また、スイッチの切り替えで『停止』『間欠』『スピード1』『スピード2』『シングルストローク』の5つのモードで使用できるとのこと。ウエットコンディションの際には、ワイパーの稼働速度や、稼働パターンの違いも見ることができるかもしれない。

高速走行時の膨大な空気抵抗に対応するべく保持トルクが強化されているボッシュ製ワイパー
高速走行時の膨大な空気抵抗に対応するべく保持トルクが強化されているボッシュ製ワイパー

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 モノコックからサスペンションまわりの細かなパーツまで、多くの領域で部品の共通化が進んでいるGT500クラス。エントラントが独自に車両を仕立てることもできるGT300クラスと比べると少なめだが、複数のサプライヤーによるコンペティションは依然として健在だ。GT500車両を間近で見る機会があれば、是非それぞれの車両の細かなパーツにも目を向けてほしいところ。そして、スーパーGTの“パーツ戦争”をより身近に感じてもらえると幸いだ。

■2022スーパーGT GT500クラス
タイヤ、ホイール、ハーネス、ワイパー装着サプライヤー覧

No. 車両名 タイヤ ホイール ハーネス ワイパー
3 CRAFTSPORTS MOTUL Z ミシュラン レイズ サベルト ボッシュ
8 ARTA NSX-GT ブリヂストン ワーク シュロス ボッシュ
12 カルソニック IMPUL Z ブリヂストン エンケイ サベルト ボッシュ
14 ENEOS X PRIME GR Supra ブリヂストン エンケイ シュロス ボッシュ
16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT ダンロップ SSR シュロス ボッシュ
17 Astemo NSX-GT ブリヂストン SSR シュロス ボッシュ
19 WedsSport ADVAN GR Supra ヨコハマ ウェッズスポーツ シュロス ボッシュ
23 MOTUL AUTECH Z ミシュラン レイズ サベルト ボッシュ
24 リアライズコーポレーション ADVAN Z ヨコハマ レイズ サベルト ボッシュ
36 au TOM’S GR Supra ブリヂストン エンケイ シュロス ボッシュ
37 KeePer TOM’S GR Supra ブリヂストン エンケイ シュロス ボッシュ
38 ZENT CERUMO GR Supra ブリヂストン TWS サベルト ボッシュ
39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra ブリヂストン エンケイ シュロス ボッシュ
64 Modulo NSX-GT ダンロップ モデューロ サベルト ボッシュ
100 STANLEY NSX-GT ブリヂストン レイズ シュロス ボッシュ

*以上の結果はオートスポーツweb編集部の独自調査によるもの