6月25日、アメリカ・ニューヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦『サーレン・ザ・グレン6時間』の決勝レースが行われ、ウェイン・テイラー・レーシングが運営するコニカミノルタ・アキュラARX-05の10号車アキュラ(フィリペ・アルバカーキ/リッキー・テイラー組)が優勝。今季3勝目をマークした。小林可夢偉も乗り込んだ48号車キャデラックDPi-V.R(アリー・キャデラック)は総合6位フィニッシュとなっている。
DPiからGTDまで、全5クラス合計48台がグリッドに並んだ今季第7戦のザ・グレン。ミシュラン・エンデュランスカップ(IMEC)の一戦として、6時間で争われる決勝レースは、序盤の荒れた展開から終盤に出された赤旗による長い中断を挟み、最後は約20分間のスプリントレースを経ての決着となった。
気温27℃/路面温度35℃、晴天のもとドライコンディションで迎えた決勝。そのオープニングラップでトム・ブロンクビスト駆るポールシッターの60号車アキュラARX-05(メイヤー・シャンク・レーシング)が、バスストップ・シケインのブレーキング競争でアルバカーキの2番手10号車アキュラに競り負け先行を許す。
その後2台のアキュラDPiがレースを引っ張っていくなか、後方では7番手スタートとなった48号車キャデラックDPi-V.Rの小林可夢偉が4番手まで順位を上げる。48号車はスタート後46分の段階で、早くも2回目を数えたフルコースコーションの導入直前にピットに戻り、可夢偉からチームメイトのジミー・ジョンソンにステアリングが渡される。
これと同じタイミングでDPiカーの大部分が1回目のピットストップを行い、作業の早かった60号車が10号車からトップを奪い返すことに成功した。
2番手となった10号車は、33号車リジェJS P320・ニッサン(ショーン・クリーチ・モータースポーツ)のスピンやエンジントラブルで大量の白煙を上げてストップした6号車デュケインD08(ミュルナー・モータースポーツ・アメリカ)の回収、ターン1で発生した13号車デュケインD08(AWA)のクラッシュなどアクシデントが相次ぎ、その都度セーフティカーが入った序盤戦のなかでライバルと異なるピット戦略を選択。2時間目をトップで迎えたが、レース折り返しの3時間目は60号車がリードした。また、4時間目も今季のデイトナウイナーがレースのリーダーに立っていた。
フィニッシュまで残り90分、39号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(カーバーン・ウィズ・ペレグリン・レーシング)がLMP2マシン同士のバトルのあおりを喰らいクラッシュ。セーフティバリアに激しく打ち付けられたマシンはフロント部が大きく壊れたが、幸いにもドライバーは無事であった。この事故の直後、レースコントロールは赤旗を提示する。雷雲の接近がその理由で、レースは1時間以上ストップすることとなった。
赤旗中断中も時計は進んでいたが残り35分となったところでストップし、レース再開に向けて準備が行われる。ふたたび時計が動き出すとともにセーフティカー先導による隊列の組み直しが行われ、レースは残り21分となったところでリスタートとなった。
この段階で首位を走るのは60号車アキュラのブロンクビスト。その背後にアルバカーキの10号車アキュラが続き、2台はオープニングラップを彷彿とさせる動きでバスストップ・シケインに向かう。ここでのブレーキング競争でアウト側から仕掛けた10号車がふたたび前に出る。
その後はチップ・ガナッシ・レーシングの01号車と02号車のキャデラックDPi-V.R勢を引き連れた60号車がコニカミノルタの隙を窺うも、オーバーテイクにつながる決定的なチャンスは訪れず。結局0.861秒差で逃げ切った10号車がトップチェッカーを受け、今シーズン3勝目を飾った。MSRの60号車は2位。3位にはキャデラック・レーシングの01号車キャデラックが入っている。
■GTDプロとGTDクラスのトップフィニッシュ車両が降格処分に
LMP2クラスは終盤のリスタートの時点でクラス首位を走っていた81号車オレカ07・ギブソン(ドラゴンスピードUSA)が、ドライバー交代のためにピットインしたため順位を落とし、ポールシッターの52号車オレカ07(PR1マティアセン・モータースポーツ)がこれに代わってトップチェッカーを受けた。アクシデントが相次いだLMP3クラスでは、レース後半にトップに浮上した74号車リジェJS P320(ライリー・モータースポーツ)がクラス優勝を飾っている。
GTDプロは、トップ3を走行していた62号車フェラーリ488 GT3エボ(リシ・コンペティツィオーネ)、9号車ポルシェ911 GT3 R(パフ・モータースポーツ)、14号車レクサスRC F GT3(バッサー・サリバン)がレース時間残り5分を切ったタイミングでスプラッシュに入り、慌ただしい最終盤に。そのなかで25号車BMW M4 GT3(BMW MチームRLL)がトップでフィニッシュしたが、レース後に最少運転時間の違反が判明したためクラス最後尾に降格となってしまう。これにより2位でフィニッシュした23号車アストンマーティン・バンテージGT3(ハート・オブ・レーシングチーム)が繰り上がりで優勝を手にし、リシとパフが表彰台を獲得した。
ドライブタイム違反はGTDクラスでも問題となり、トップフィニッシュした57号車メルセデスAMG GT3(ウィンワード・レーシング)がこれに該当。BMWと同様にクラス最後尾に回されたことで、こちらもハート・オブ・レーシングチームのアストンマーティンがウイナーとなった。なお、GTDクラスを制した27号車バンテージGT3は総合順位で姉妹車の23号車を上回っており、今年GTDプロが誕生して以来、初めて確認された逆転現象となっている。
ウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第8戦は、7月1~3日にカナディアンタイヤ・モータースポーツパーク(通称モスポート)で行われる『シボレー・グランプリ』だ。3年ぶりの開催となるアメリカ国外ラウンドはLMP2クラスを除く4クラスで争われ、決勝は通常の2時間40分レースとなる。