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財務省は26日、「令和4年度 予算執行調査」の調査結果を発表した。財務省は、今年度の予算執行調査について、3月25日に39件の調査事案を公表していた。今回、そのうちの調査が終了した34件についての調査結果が発表された。

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財務省「負担は国から都道府県へ」

マイナンバーカード交付事務費補助金、博士課程学生への経済的支援、働き方改革推進支援助成金、防衛省における情報システムの経費など様々な事案が調査対象となっていたが、中でもネット民の注目を浴びているのが、国民健康保険の高額医療費負担金だ。

財務省の調査結果では、高額な医療費(1件あたり80万円超)が発生した場合、超過部分の一部を国が負担する制度を「国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止に向けた道筋を工程化すべき」としている。

この制度が廃止された場合、高額医療費の超過費用は、どこが負担するのか。財務省は、高額医療費の超過した費用負担を国から都道府県に移管すべきとしている。財政規模の小さい市町村ではなく、都道府県であれば負担に耐えられるとし、「高額医療費の発生による市町村への影響は限定的である」と指摘している。

このニュースが毎日新聞などで配信されると、ネット上は財務省への憤りの声で溢れかえった。

ネットでは財務省への非難が渦巻く

政治関係者では野党関係者が一斉に批判した。衆院議員米山隆一氏は、「露骨な地方の切り捨て」とツイートしていた。

政府自民党は更に高額医療費負担を全額市区町村単位にしようとしています。それはつまり高齢者の多い自治体は高額医療費の負担が増えたら他の行政サービスを削らなければならなくなるという事で、露骨な地方の切り捨てです。こんな自民党をそれでも支持し続けるのでしょうか?

医療機関で事務職員として働いていた経験もある共産党奈良県大和高田市議、向川征秀氏も次のようにツイートしていた。

高額療養費制度をなくせということではなく、高額療養費への国庫負担をなくせということのようですが、結局のところ国民健康保険料のさらなる引き上げにつながります。国保への国庫負担は削るところではありません。

ほかにも、医療従事者と見られるユーザーや実際にこの制度を利用したというユーザーから次のような声が上がっている。

癌患者や難治性疾患が助からなくなりますね。金がなければ死ねと言ってるようなもんです。

ワシ、もう治療受けられなくなるのか…

高額医療費負担の制度がなければ、とてもではないが母の介護をここまで続けることはできなかったと思う。

都道府県が負担に耐えられなかったら?

調査結果を見る限りでは、財務省は、財政規模の小さい市町村には負担が耐えられなくても、財政規模のより大きい都道府県であれば耐えられると見ている。しかし、都道府県よりさらに財政規模が大きい国が将来的に耐えられなくなりそうだから、「廃止に向けた道筋を工程化すべき」と強調しているのではないのか。

そもそも、東京都など一部の都道府県を除けば、どこの都道府県も財政状況が芳しいとは言えない状況にある。それに、コロナ禍で各都道府県の財政状況はより悪化している。

もし、都道府県が負担に耐えられなかったらどうするのか。財務省には、「最終的に国が面倒を見る」という意気込みくらいは見せて欲しかった。