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ロシアの侵略に最も貢献している国はどこだ? 侵略開始100日間でロシアの化石燃料輸出量は1000億ドル--。

ロシアのウクライナ侵略が始まった2月24日から6月4日までの最初の100日間で、ロシアは石油やガスの輸出で約1000億ドル(約13兆7000億円)の収入を得ていたことが明らかになった。フィンランドの研究機関「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」が発表した報告書で判明した。

Leestat /iStock

中国がトップだが…西側諸国も目立つ

CREAの報告書によると、大方の予想通り、中国がトップで、中国のロシアからの化石燃料の輸入額は132億ドル(約1兆8000億円)。そのうち、原油の輸入額は約110億ドル(約1兆5000億円)に上る。中国の輸入額は、ロシアの化石燃料の総輸出額の実に13.5%だ。

2位はドイツで、輸入額は127億ドル(約1兆7400億円)。以下、イタリア82億ドル(約1兆1200億円)、オランダ82億ドル(約1兆1200億円)、トルコ70億ドル(約9600億円)、ポーランド46億ドル(約6300億円)、フランス45億ドル(約6100億円)と西側諸国が続く。「ロシアへの経済制裁はするべきだが、エネルギーをシャットダウンしては国民生活に甚大な影響が出てしまう」といった西側諸国のジレンマが見てとれるようだ。

さらに、インドの輸入量増加も見逃せない。インドのロシアからの化石燃料輸入量は、36億ドル(約4900億円)だが、この大半はアメリカやヨーロッパが輸入を削減した分だという。インドは既に軍事費では世界第3位の軍事大国で、2030年には人口で中国を抜き世界1位に、GDP(国内総生産)でもアメリカ、中国に次ぐ第3位になると言われている。今や大国のインドの態度が、西側諸国のロシアへの経済制裁を、より難しいものにさせていると言っても良いだろう。

まだまだ余裕(?)のプーチン(ロシア大統領府ツイッター)

アメリカは輸入を完全ストップ

報告書では、侵略開始後にロシアへの依存度を減らした国もまとめられている。それによると、侵略前から最もロシアへの依存度を減らしたのは、アメリカだ。アメリカは侵略前と比べるとロシアからの輸入量を100%減らした。つまり、ロシアの侵略によって、アメリカはロシアからの化石燃料の輸入を完全ストップしたのだ。

以下、スウェーデン(99%減)、リトアニア(78%減)、エジプト(69%減)、スペイン(56%減)、フィンランド(56%減)、ポーランド(51%減)、エストニア(51%減)と続く。こうして並べてみると、NATO加盟を目指すスウェーデンやフィンランド、旧ソ連国家(リトアニア、エストニア)、ソ連によって衛星国化されたポーランドなど、ソ連およびロシアの恐ろしさを肌で感じている国々が目立つ。

EUの禁輸は効くか⁉

日本のロシアからの化石燃料の輸入額は20億ドル(約2700億円)ほどで、原油より液化天然ガス(LNG)や石炭の割合が多い。しかし、侵略前と比べて日本の輸入額は激減している。日本はアメリカのように資源国ではない中、ロシアからの化石燃料の輸入額は、侵略前から50%減らしている。日本は、世界で9番目にロシアへの依存度を下げている国だ。

しかし、そうした各国の努力のかいも今のところなく、ロシアのエネルギー輸出収入がウクライナでの戦費を上回るという状況が続く。

EUは5月30日に開催した首脳会議で、ロシア産原油の禁輸で合意した。性急な完全禁輸による経済的打撃に考慮して、まずは海上輸送に限って禁輸する。こうしたEUの動きは、今後、ロシアにどのように効いてくるか。