アップルがiPhoneのAシリーズチップや、Mac/iPadのMシリーズチップを独自開発していることは、広く知られている事実だ。そうした将来のMac向けAppleシリコン投入に向けて、イスラエルの首都エルサレムに新たな開発拠点を設けると報じられている。
これはアップルのチップ開発人事を担当するElad Wertheimer氏が、ビジネスSNSのLinkedInで明らかにしたことだ。Wertheimer氏によると、この開発拠点はイスラエル側で主導する複数のフラグシッププロジェクトに参加し、特に「将来のMac用プロセッサー」の最前線に立つという。すでに個人的には、チップ開発エンジニアの募集を始めているそうだ。
実は、アップルとイスラエルの関わりは深い。以前からヘルツリーヤとハイファの2ヶ所に開発拠点を持ち、またハードウェア技術担当上級副社長のJohny Srouji氏は同国の出身である。Srouji氏が立ち上げを担当したイスラエルの開発センターは、7月現在で約2,000人を雇用している。
そのSrouji氏は先月、Globes誌にイスラエルの開発拠点のことを語っていた。それによれば、様々な製品向けデータストレージ技術の管理・効率化や、Apple Watchのワイヤレス通信チップ、さらにはハイエンドMac向けのM1 Pro/M1 Maxチップ等の開発で中心的な役割を担ったという。
アップルは2011年以降、チップ設計の拠点としてイスラエルを重視しており、10年にわたって現地でのプレゼンスを大幅に拡大してきた。2012年には同国のスタートアップAnobitを、2013年には3Dセンサー開発企業のPrimeSenseを買収している。ちなみにPrimeSenseはXbox用のジェスチャー操作機器「Kinect」に深く関わっていたが、その技術はiPhone X以降のFace IDに活用されている。
iPhone等を標的とした国家支援型スパイウェア「Pegasus」を開発したのも、やはりイスラエル企業のNSG Groupだった。アップルのようなハイテク大手を出し抜く凄腕の人材が、かの地では豊富なのかもしれない。
- Source:Elad Wertheimer(LinkedIn)
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