今や多くの自家用車に装着されているETC。高速道路をはじめとした有料道路において、自動で通過できるアレだ。いちいち支払いをしないために、昔に比べれば料金所の渋滞もかなり減ったはず。だが、減速20km/h以下で通行しなければならないというルールがあるのだ。
スピード超過や不正通行を防止するという意味もあるが、もっともセーフティバーがあるために気持ちよく走っていても減速する必要があるのだ。でも、いっそのことこの棒を無くせないのだろうか!?
文/小鮒康一、写真/AdobeStock(トップ画像=MP_P@AdobeStock)
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■普及拡大で専用レーンが渋滞することも……そのワケは制限速度にアリ
高速道路や一部の有料道路などの料金所で、いちいち停車することなく、そのまま通過することができるETC。正式名称は「Electronic Toll Collection System (エレクトロニック・トール・コレクション・システム)」と言い、1997年4月から試験運用が開始され、2001年11月30日から一般利用が開始されたものだ。
すでに登場から20年が経過したシステムとなっており、なかには「ETC以外の手段で高速道路を利用したことがない」という人がいてもおかしくない時代となっているのだ。
最近ではETCでの通行のみが可能となる「スマートインターチェンジ」も増えてきたほか、ETC2.0を利用すれば高速道路から一時退出して近くの道の駅を利用できる(3時間以内)サービスなども実施されている。
また現時点で首都高にある35の料金所はETC専用のものに生まれ変わっており、もはやETCなくして快適な自動車ライフを送ることは難しいといっても過言ではない状況となっている。
そんなETCではあるが、ノンストップで通行できる(スマートインターチェンジを除く)というのが利点であるにもかかわらず、基本的にはETCレーンを通過するには20km/h未満というルールが存在している。このため、大型連休中などはETCレーンが渋滞気味となってしまい、一般レーンの方が早く通過できてしまうという逆転現象も起こっているほどなのだ。
■アメリカはバーすら存在せず! 100km/h以上でも読み取り可能
諸外国にもETCと同様に自動で通行料金を徴収するシステムは存在しているが、アメリカのカリフォルニア州で普及している「FasTrak」においては、そもそもレーンにバーが存在しておらず、当然ながら極端な減速をする必要もないシステムとなっている。
そもそも基本的に高速道路が無料となっているアメリカではあるが、一部通行するのに料金が発生する場所が存在しており、そこを通過するためにFasTrakが活用されているのだが、これはなんと100km/hを超える速度でも読み取りが可能となっている。
また、万が一読み取りがなされなかった際も通過車両のナンバーを読み取っており、紐づけられたユーザーに請求が行くシステムとなっているので(紐づけられていない場合は罰金が科される)何ら問題ないシステムとなっているのである。
■速度制限は安全のため……打開策はまだまだ先か!?
一方、日本ではETCレーンは20km/h以下で通過しなければならなく、バーもあえてワンテンポ遅れて開くようになっているので、必然的に減速せざるを得ない状態となっている。
実際のところは80km/hほどで通過したとしても問題なく通信することができる性能を持っているというETCであるが、なぜ日本ではそこまで過剰に減速をさせるのだろうか?
実はこれ、安全性を考慮してのものとなっていたのだ。日本の大きな料金所においては、ずらりとゲートが並んでいる場所も珍しくなく、それまでの車線数よりも多くのゲートが存在している。
そこを通過した車両が、再び少なくなる車線に一気に流れ込むとなると、一旦停止して料金を支払った現金ユーザーとの速度差が大きくなりすぎてしまい、接触事故の危険性が高まってしまう、というのが理由となっている。
また、万が一ETCの不具合などでゲートが開かなかった場合、反射的にブレーキを踏んだときに速度が高いと後続車が追突する可能性も高いというのも理由のひとつとのこと。
そもそもゲートがあるから不具合があったときに反射的にブレーキを踏んでしまうのではないか、という根本的な問題は置いておくとして、日本のETCゲートに極端な速度制限が課されているのは、ユーザーの安全性を考慮してのことだったようだ。
現在はETC専用料金所が増えていることなども考えると、近い将来高速道路や有料道路はETCユーザーのみが利用できる場所となり、そうなれば無駄な減速も不要となる可能性もある。ただそうなると非ETCユーザーが不便を被ることになってしまうわけで、この問題は一筋縄ではいかないようである。
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投稿 ETCレーンのあの棒ってホントに必要!? なかったら渋滞阻止できるんじゃないか説 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。