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夜は絶対止まるな! 絶対だぞ!!! トヨタやっぱり強し マジかホントか世界の「あの国」のカーライフ

 我々日本人の常識は他国の非常識。そんなケースはあるが、カーライフやクルマ事情にも「マジか!」と驚くことがあるはず……と、2人の自動車ジャーナリストが計11カ国をレポート。運転したくない国もあったりして!!?

※本稿は2022年4月のものです
文/近藤暁史、小林敦志、写真/小林敦志、AdobeStock(トップ写真=norikko@AdobeStock)ほか
初出:『ベストカー』2022年5月26日号

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■大陸が違えばカーライフはこんなに違うんです・編

■01 ノー天気・いい加減で心配になる【メキシコ編】

 グローバル化と言われて世界はドンドンと小さくなっているとはいえ、異国は異国。我々島国ニッポン人にはよくわからない国はいっぱいある。

 比較的イメージしやすいところから見ていくと、まずはメキシコ。トランプにイジメられまくってシナシナかと思いきや、ノー天気なのは相変わらずで、某日系企業社員によれば「こんないい加減な国民見たことない」だ。

 道路事情は首都のメキシコシティはそれほど悪くないが、渋滞はひどいし、赤信号では物乞いが群がってくる。

 古いクルマも多いので排ガス臭がムンムン。昔は遠くから見ると街の上にぽっかりと丸い雲(排ガス)が浮かんでいたが、今でも似たようものだ。

 郊外に行くとかなりひどくなって、車線は消えているし、穴が空いているのは当たり前。

 よくわからないのは幹線道路でも速度抑止の出っ張りが道の両脇から出ており、この衝撃たるや凄い。ボロいクルマが多いけど、ヤツらは大丈夫なのか心配だ。

昔はメキシコシティ上空に排気ガスでできた「雲」が浮かんでいたという話もあるメキシコ。渋滞と排ガス臭は相変わらずのようだ(delbars@AdobeStock ※画像はイメージです)

■02 道に穴は空いてるしクルマ税はメチャ高い【ブラジル編】

 そして、南米大陸を南に下るとあるのがブラジル。メキシコ同様の南米の大国かつ、熱い人種だ。

 もともと欧州自動車メーカーの進出が多くて、南米大陸の一大生産拠点。日産のデザインスタジオがあったりして、自動車産業が絶賛成熟中だ。

 …と聞くといい感じなのだが、実際はメキシコ同様で、穴があちこちに空いていたりして、インフラ整備には無関心。

 それでいてクルマはドンドン増えている(都市部で年間約10%増)のだから、正直どうしようもない。ラテン人はそもそも気にしないのだろうか!?

 ちなみにクルマの税金はメチャクチャ高くて、40%くらい取られるのでそれだけで車体価格の1.5倍になる。それゆえ憧れが増すようなのだが、マナーも増すといいのだが。

■03 夜は運転中に止まるだけでも超危険【南アフリカ/レバノン編】

 南米大陸からアフリカ大陸に行ってみよう。

 基本的には自動車産業なんてないので、主に政府機関が輸入で買うという国がほとんど。

 ただ唯一、南アフリカはメルセデスの工場が有名だが、実はトヨタや日産、BMWなどもあって自動車産業はかなり充実(成長率は頭打ちだけど)。

 道路整備も進んでいて日本人がドライブしても違和感はない。右ハンドルだし。

 しかし、やっぱり治安の悪さはハンパない。夜、運転中に止まるだけでも危険だし、白人の超金持ちが乗る超高級車へ近づくと、面白半分で撃たれるから気を付けたほうがいいらしい。郊外はクルマでも行っちゃダメ、止まっちゃ絶対ダメなわけだ。

 そして新手の盗難で話題なのが、夜の高速道路に石を置いてぶつかって止まったところを襲われるというもの。ワイルドすぎ。西部劇の駅馬車襲撃じゃないんだから……。

 そしてアフリカ大陸の北端が中東だ。紛争地域の代表格のひとつがレバノン。ゴーンの潜伏先としても話題になった。

 中東のパリと言われていたり、金融で栄えた街というのもあるし、なぜだか金持ちもいるみたいで高級車もチラホラする。ちなみにGDPはマイナス25%と強烈だ。

 基本的にはボロいフランス車が多くて、運転はかなり荒い。そもそも長い内戦で破壊されたのか信号があまりないのもレバノンならでは。

 治安は激悪なイメージだが、意外やかなり改善されていて観光立国を目指しているらしい。

■04 片側一車線を無軌道ジェットコースター状態で突っ走る【ニューカレドニア/バヌアツ編】

 大陸から今度は南太平洋のリゾート全開なニューカレドニア

 今でもフランス領、使い倒された素のフランス車がたくさん見られるのはクルマ好きにはたまらないところ。日本車も多くて、なぜか日産が多い。

 そして運転がメチャクチャ荒くて、そもそも高速道路はなく幹線道(片側一車線)の制限速度は110km/h!

 さらに150km/hくらい出すので中央分離帯もない道では無軌道ジェットコースター状態。

 交通ルールも複雑怪奇で交差点では左折優先(右側通行なので日本での右折)で、なぜだか直進車は止まるのがルール。たまにある直進優先の標識は、直進車には見えなくてマジ無理っす連発だ。

 ニューカレドニアのお隣、バヌアツにも行ったことがあるので軽く触れておくと、とにかくSUVだらけ。

 なぜなら首都はリゾートっぽいけど、ちょっと出ると悪路どころかジャングルを切り拓いた感たっぷりの土の道になるから。4WD性能は必須なのだ。

 さらに領内は島だらけ(83島)で道なき道を進むので、いすゞのピックアップが使われていたりする。しかも手入れがよくて、現地民に聞くと「壊れるのは命取りだから」とのこと。日本とは違った意味での生活ヨンクである。

■05 全車あおり運転をやっている【インド編】

 そして、最後に取りあげたいのがカオスな国、インドだ。おなじみスズキの天下で、最近はシェアが少しずつ下がっていると言われても、実際に路上にはスズキ車があふれかえっている。

 以前と違うのはけっこう新しめのクルマが多いこと。所得も上がっているからな、と思いきやクルマの運転の仕方は相変わらずで、車線無視でギューギューづめ。

 ホーン連打で日本人からすれば全車あおり運転認定。中身はまったく変わっていないのがインドだ。

「インドで人生変わる」とよく言われるけど、クルマの価値観も変わるかもね。

■とっても濃ゆーいアジア&東南アジア圏のカーライフ・編

■01 トヨタ車大ヒット中【タイ編】

バンコクではトヨタ カローラクロスがヒット中。ほかにも、富裕層にアルファードが好まれるなど、トヨタ車が好調のようだ(maiku@AdobeStock ※画像はイメージです)

 まずはタイから。この国の2021年度・年間新車販売台数のうち、日本メーカーの台数は約87%とかなり多い。トヨタが販売シェアトップだ。

 そのタイのバンコクへ今年3月、3年ぶりに訪れると、カローラクロスが日本以上に大ヒットしていて驚いた。

 日本車が圧倒的な販売シェアを持っているとはいえ選択肢は少ないのが実情。例えばカローラアルティス(セダン)のライバルはホンダシビックセダンくらいしかいない。

 そのせいなのか、ドレスアップして個性を競うのがタイの人は大好き! タクシーや救急車までエアロパーツでドレスアップしていることもある。

 一般ユーザーの年間平均走行距離はざっと2万kmほど。乗り換えサイクルは早く、維持費が安いので複数保有も珍しくない。

 新車を買う場合、ローンの利用が8割以上と圧倒的に多いのだが、バンコク首都圏にかぎっては富裕層や外資系企業に勤めるエリートサラリーマンも多く、現金一括払いの比率がやや高まっているとのこと。どこの国もこれは同じ。

 運転マナーはバンコク市内にかぎって言えば、交通渋滞が目立つこともあり、いたっておとなしい印象だ。

 また、アルファードが大好きで、正規輸入販売だけでなく、日本からの中古車の個人輸入販売も盛んだ。ちなみに正規輸入販売車の上級グレードの価格は2000万円ほど。これはヤバすぎでしょ。

■02 2021年度日本の新車販売台数シェア約95%【インドネシア編】

 日本メーカーの新車販売台数のシェアがタイ以上なのがインドネシア

 2021年度シェアは約95%(凄い)! 筆者がインドネシアを初めて訪れた7年ほど前は約98%だったので、それでもシェアはわずかにダウン。日本車が愛されまくる国である。

販売台数のなかで日本メーカーシェアが約95%というインドネシア。この写真のなかも日本車だらけ

 アジアの新興国では今でこそSUVが人気となっているが、もともとセダンが圧倒的人気を誇っていた。

 でも、インドネシアではセダンは税負担が重いという政策と、三世代が居住する大家族ケースも多いので、多人数乗車が可能な3列シートミニバンや、MPV(多目的車)の人気が高い。

 特にアルファードの人気が高く(最上級グレードで約1375万円!)、先代ヴォクシーは輸入販売を開始すると、日本からの輸入台数が少ないこともあったのか、即日で完売したという話も聞いている。大家族には日本のミニバンが大人気だ。

 新車購入に際してはローン利用が圧倒的に多く、ディーラーなどで配る新車価格表には新車価格の表記がない(ホントです)。いくつかのローン支払いプランのみが掲載されるのが一般的となっている。

■03 韓国車が目立つ アルファードは約3720万円!!!【ベトナム編】

 お次はベトナム。先の2カ国に比べると新車の日本車販売シェアは低く、約56%(やはりトヨタがトップ)。

 ベトナム市場は韓国メーカーのほうが参入は早く、韓国車が目立つのが特徴的。

 特に筆者は元南ベトナムの首都ホーチミン(元サイゴン)を訪れたので、北部の首都ハノイに比べるとその傾向が強まっているようだった。当初は韓国・起亜自動車の高級ミニバン“カーニバル”の人気が高かったという。

 が、アルファードの輸入販売を開始すると、あっという間にアルファード(最上級車で約3720万円)に人気の座を明け渡した。それにしてもアルファード、ここまで紹介した3カ国すべてで大人気。しかも日本では考えられない価格で! 恐ろしい。

 また、ベトナム戦争の影響が残っているのか、市街を走る大型トレーラーはアメリカンブランドのボンネットトラックタイプが圧倒的に多い。これも印象深いネタだ。

 ホーチミン市内を走るクルマは全体的に速度レンジが低く、アジアのなかではマナーもいいように見えた。市内には横断歩道はあるものの、信号機がほとんどない状況。

 例えば、片側3車線ほどの大きな通りでも、バイクや四輪車は止まることなく突っ走る。歩行者は、間合いをとりながら道路を横断するしかない。ある意味、度胸も必要になる“横断事情”だ。

■04 歩道走行上等【中国編】

 最後は中国。中国汽車工業協会の統計によると、2021年度の国内新車販売台数は2627万5000台。そのうち日本車のシェアは21.1%。外資系ではトップだ。

 中国での一般乗用車の平均年間走行距離は約4万kmと長め。高速道路網が整備されているのが要因と思いきや、話は単純ではない。

 高速利用料金が日本以上に高額なことに加え、バリバリの共産党時代には都市間移動が厳しく制限されていた名残があり、クルマで遠出するということは少ないという。

 だが、愛車を持つとほぼすべての日常生活の移動がクルマとなる傾向で、年間走行距離もつい多くなるようだ。

 そして運転マナー。以前は逆走や歩道走行(マジですか!)、信号無視などの無法ぶりは日常茶飯事だったが、大都市では多少改善されている。

 特にスピード違反の取り締まりが強化されているようで、以前のような暴走はめっきり減っている。

 また、中国では日本でいう県境に地元の公安(警察)が勝手に“関所”を設け、“通行料”を取っているといった話も聞いたことがある。

 都市伝説かもしれないが……!?


【番外コラム】アメリカで体験した驚きのクルマがらみ話(by小林敦志)

街中にもコヨーテは潜んでいるのだ

 アメリカの砂漠内を通る道を走っていた時、少々気になりクルマを停め、ラジエターグリルを見ると、無数のバッタの死骸がついていた! それを落としていると、何か気配を感じたので目をやると……コヨーテがこっちを見ていた。

 殺気を感じたのでクルマをすぐに走らせた。後日ロサンゼルスの知人に話すと、「砂漠で不用意にクルマを停めると襲ってくることがあるので注意が必要です。このあたり(LA郊外)も“野良コヨーテ”がいて、夜間に時々クルマから降りた人を襲っていますよ」と。アメリカ、恐ろしい。

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