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海外で目撃例が続出! ジムニー5ドアは出せば売れるか? 納期問題解決の糸口は?

 2018年、スズキ現行型ジムニーとジムニーシエラが販売開始された。長い歴史を持ち、本格的な悪路向けのSUVとして大人気な車種である。納期はいまだに1年以上となっている。

 現在、この2台のボディタイプは、3ドアのみとなっている。「もしジムニーシエラに5ドアが登場したら…」といううわさはいまだに絶えない。

 そんななか、先日インターネット上にジムニーシエラ5ドア試作車の写真がスクープされた。カモフラージュされているものの、ジムニーシエラの全長を伸ばした造形となっていた。

 そこで今回は、もしジムニーシエラの5ドアが発売されたら、どのようなモデルになるのか、について考察。さらに現行型ジムニーとジムニーシエラの納期問題についても解説していく。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部

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もし5ドアが発売されたら? ジムニー&ジムニーシエラの魅力

ジムニーシエラをベースにホイールベースを延長し5ドアとしたジムニー5ドア(画像はベストカー編集部による予想CG)

 ジムニーは軽自動車サイズのSUVだが、本格的な悪路向けだ。頑丈なラダー(てい状の)フレームに、エンジン、サスペンション、ボディなどを搭載する。駆動方式は後輪駆動ベースの4WDのみで、悪路走破力を高めるため、駆動力を増強させる副変速機も装着した。

 ボディタイプは3ドアだ。ジムニーのほかにジムニーシエラも用意され、全長を小型車サイズに拡大して、直列4気筒1.5Lエンジンを搭載する。

 いつの時代でもうわさになるのは、ジムニーシエラの5ドアだ。軽自動車のジムニーは、全長が3395mmで軽自動車サイズの限界だから、さらにボディを拡大して5ドアを設定することはできない。しかしジムニーシエラは小型車だから、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)と全長を伸ばして、5ドアを開発できる。

 3ドアボディの現行ジムニーシエラは、外装パーツの変更により、全長が3550mm、全幅は1645mmだ。それでもホイールベースは2250mmだから、軽自動車のジムニーと等しい。

 そこで全長を300mm伸ばして3850mm、ホイールベースも同じく300mm拡大して2550mmにすれば、5ドアボディを備えるジムニーシエラロングを開発できる。仮に5ドアボディのジムニーシエラロングがあると、後席側のドアによって乗降性が向上する。ホイールベースも300mm拡大するから、後席の足元空間も広がる。

 例えば身長170cmの大人4名が乗車した場合、今のジムニー&ジムニーシエラでは、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシの半分程度だ。1つ分には達しない。これがロングボディなら、握りコブシ2つ少々まで広がるから、大人4名が快適に乗車できる。

 そしてジムニーシエラロングを発売すれば、人気車になる。それは今のSUVラインナップに偏りがあるからだ。ライズ&ロッキー、ヤリスクロス、キックス、ヴェゼルなど、コンパクトなSUVは増えたが、すべて前輪駆動をベースにしたシティ派だ。後輪駆動ベースの4WDを備える悪路向けは、ランドクルーザーやレクサスLXなど一部の大型車に限られるため、コンパクトな悪路向けのSUVは貴重な存在になる。

 また前述のコンパクトSUVも、今は大半の車種が、全幅のワイドな3ナンバー車だ。5ナンバーサイズに収まるSUVは、ジムニーシエラを除くと、ライズ&ロッキーとクロスビー程度しかない。

 つまり5ナンバーサイズで、なおかつ後輪駆動ベースの4WDを備える本格的な悪路向けのSUVは、今の日本車ではジムニーシエラだけだ。そこに実用的な5ドアボディを加えると、ファミリー層を含めて幅広いユーザーから支持される。

約10年前より20%上昇 大人気SUV市場に変化あり!? 原点回帰か?

 最近はSUVが人気を高め、新車として売られる小型/普通乗用車の30%を占める。2010年頃は10%少々だったから、SUVの販売比率は急増した。

 それなのに今の売れ筋SUVは、ヤリスクロスからハリアーまで、前述のとおり前輪駆動ベースのシティ派だ。その結果、ユーザーが飽食気味になり、SUV市場では、悪路向けへの原点回帰が見られるようにった。

 50年以上前から存在する伝統的な車種が注目され、初代モデルを1970年に投入したジムニー、1954年(前身となるトヨタジープの発売は1951年)から設定されるランドクルーザーが人気を得ている。

 輸入車でも、2021年にはジープ・ラングラーの登録台数がメルセデスベンツAクラスを上まわり、フォルクスワーゲンポロと肩を並べた。ジープ・ラングラーが輸入車販売の上位に入るのは、今まで考えられなかったことだ。

 以上のようにSUVの販売比率が増えるに従って、ユーザーの好みも変わり、ジムニーシエラロングを望む声も根強くなってきた。

 このニーズに応えて、海外では、偽装を施したジムニーシエラロングのテストカーがキャッチされている。前述のとおりホイールベースと全長を拡大して、偽装の上からは、後席側のドアが装着されていることも分かる。

 ちなみに従来型ジムニーの海外仕様にも、ホイールベースと全長を拡大して室内空間を広げた仕様が用意されていた。過去の実績も踏まえると、ジムニーシエラロングが現行型で復活しても不思議はない。

納期問題解決が先か?? ジムニーシエラロングを予想してみた!

 ジムニーシエラロングの予想データは、全長が前述のとおり3850mm、ホイールベースは2550mm、全幅はシエラと同じ1645mm、全高も1730mmを踏襲する。全長はライズの3995mmよりも100mm以上短く、混雑した街中でも運転しやすい。エンジンは現行シエラと同じ直列4気筒1.5Lで、最高出力は102馬力(6000回転)、最大トルクは13.3kg-m(4000回転)になる。駆動方式は4WDのみだ。

 価格も予想したい。現行ジムニーシエラは、LEDヘッドランプやアルミホイールを標準装着した上級のJCが208万4500円(4速AT)だ。そうなるとジムニーシエラロングのJCは、20万円高い228万4500円といった価格になる。

 既存のコンパクトSUVの価格は、ライズに直列3気筒1Lターボを搭載する最上級の4WD・Zが229万9200円、ヤリスクロスに1.5Lノーマルエンジンを搭載する中級グレードの4WD・Gが225万1000円だ。

 220万円台が全長を4m前後に抑えたコンパクトSUVの激戦区だから、ジムニーシエラロングJCが悪路向けSUVのシャシーとサスペンション、同じく悪路向けとなる副変速機付き4WDを搭載して228万4500円なら、価格競争力は充分に高い。

 ただし解決すべき重要な課題がある。それは納期だ。最近は新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、日本車の納期は全般的に遅延しているが、ジムニーとジムニーシエラは2018年7月の登場直後から1年以上まで滞っていた。

 現行ジムニーは、発売直後の2018年後半に1カ月平均で約1900台が届け出され、ジムニーシエラの登録台数は約600台だった。それが2022年1~6月は、コロナ禍の影響を受けながら、ジムニーの1カ月平均は約3600台、ジムニーシエラは約1500台だ。ジムニーは発売直後の1.9倍、ジムニーシエラは2.5倍に増えた。ジムニーの届け出台数は、N-WGNと同程度だから、もはや個性派ではなく主力車種になる。

 このように発売直後に比べると、ジムニー、ジムニーシエラともに増産しているが、販売店に直近の納期を尋ねると以下のように返答された。

「ジムニーは今でも納期は約1年だ。ジムニーシエラは1年以上を要する。販売台数は以前に比べて増えたが、納期は縮まらない。嬉しい話だが、購入希望のお客様が続々と来店され、今でもお待たせする申し訳ない状態が続いている」。

 こうなると思い切って生産ラインを増やせば良いではないか、と思うが、メーカーにはリスクが伴う。生産規模を増やすと、需要が減ったときに、過剰な生産設備を持つことになるからだ。特に軽自動車は薄利多売の商品だから、生産ペースを落とせない。その結果、過剰な生産を行い、在庫車が溢れて中古車市場に卸すムダが生じることもある。

 仮に今の生産規模でジムニーシエラロングを導入すると、納期がさらに延びてしまう。ここは難しい決断を迫られるが、ジムニーシエラロングを設定すれば、1カ月平均で国内だけでも2500台は販売できる。これを見込んで生産設備を増やし、既存のジムニー、ジムニーシエラまで含めて納期を短縮する方法もある。

 スズキは今まで、アルト、ワゴンR、スペーシアなど、ユーザーの希望に寄り沿う商品を提供して高い支持を得てきた。今はジムニーがそこに当てはまる。初代モデルの発売から50年以上を経過して、いよいよジムニーの時代が訪れる。

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