もっと詳しく

<p>カメの多くは「ほとんど老化せず年をとっても死亡率が上がらない」ことが判明</p><p>カメの多くは「ほとんど老化せず年をとっても死亡率が上がらない」ことが判明</p><p>カメは非常に長生きする動物であることが知られており、南太平洋のセントヘレナ島で飼育されている「ジョナサン」というゾウガメは、2020年に190歳の誕生日を迎えました。そんなカメの寿命や老化に関して科学誌のScienceに掲載された2つの論文は、「カメは老化速度が著しく遅く、年齢を重ねても死亡率が上がらない」との研究結果を報告しています。</p><p>を含む75%において、老化率がゼロまたはほとんど無視できる程度であることが判明。つまり、多くのカメは年齢と共に死亡率が高くならず、平均年齢が高くなりやすいことが示されたというわけです。 また、別の研究チームが行った野生の個体群を対象にした研究では、カエル・ワニ・トカゲ・カメなどの種とその他の恒温動物の老化率が比較されました。世界中の研究者がタグ付けした野生個体群のデータを集めて分析したところ、カメは際だって長生きかつ老化が遅いことがわかりました。 論文の共著者であるペンシルベニア州立大学のデイビッド・ミラー氏は、「私たちは、カメは長生で老化も大変ゆっくりであるという、非常に一貫したパターンがあるということを発見しました」と述べています。研究チームは当初、老化には変温動物と恒温動物の違いが影響していると仮定していましたが、老化のスピードと変温動物かどうかに関係はみられなかったとのこと。 そこで研究チームがさまざまな条件について調べた結果、「暑い気候は、は虫類の老化率を増加させ、両生類では減少させる」「長生きした変温動物ほど性的成熟が遅い」といった結果が示されました。また、最も興味深い発見として挙げられているのが、「最も老化が遅い変温動物は捕食者から自身を保護する堅固な防御機構を持っている」という点です。 たとえばカメには硬い甲羅があるため、外敵による死亡率はこうした保護機構のない動物と比較して低くなります。ミラー氏は、カメは甲羅による保護効果のおかげで、老化に対する細胞的な保護機構が有効になるまで生き延びることができると考えています。 ミラー氏は、人間と飼育されているカメには「食糧やシェルターへのアクセスが容易で、居心地のいい状況で暮らしている」という類似点があると指摘。人間は確かに平均的なカメよりも急速に老化するものの、他の多くの種よりは老化スピードが低いとのこと。研究者らは、カメの生物学的研究を進めることで、人間の老化防止の鍵が明らかになる可能性があると考えています。 また、非常に長生きする動物であっても、ある時点で老化が加速する可能性も考えられます。たとえば世界最高齢のカメであるジョナサンは、もはや盲目で匂いを嗅ぐこともできず、人間が手でエサをあげなければ生きられないそうで、確かに老化の影響を受けているとのことです。 この記事のタイトルとURLをコピーする</p>