7月29日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されているトタルエナジーズ・スパ24時間にあわせ、SROモータースポーツ・グループはステファン・ラテル代表が登壇し、2023年以降に向けた展望についてのプレスカンファレンスを行った。このなかで、ラテル代表は自らの組織が作り出したGT3カーの世界的な展望について語る前に、現在世界中に何台のGT3カーが走っているのかを明らかにする図を公開した。
ユーザーが誰でも購入できる仕組み、バランス・オブ・パフォーマンスと呼ばれる性能調整、さらに導入当初に設定されたコストキャップなど、それまでのモータースポーツ界になかったさまざまな試みとともに、GT3カーは世界中のシリーズで活用されている。
メーカーはカスタマー向けに車両を販売し、パーツデリバリーなどアフターケアを行うことも特徴で、市販車のようなサービスも特徴と言えるが、いったいその車両が何台売れているのかは、メーカーにとっても重要な指標のひとつだ。チームは速さはもちろん、ブランドとの繋がりやステータス、オーナーの志向、メンテナンス性、サービスなどを見ながら購入に至っている。
この日、ラテルのプレゼンテーションのなかでは、2022年に世界で戦ったGT3カーの台数が示された。その数なんと13メーカー315台。やはり本場ヨーロッパが最も多く、212台を占める。一方日本を含むアジア/オセアニアは58台。北米は45台という数字となっている。
マニュファクチャラー別に見ると、ところどころ誤差もあるようには感じられるが、最も多いのはメルセデスAMGで、今季世界中で68台がレースを戦っており、充実したサービス、ジェントルマンにもドライブしやすい安定したパフォーマンスが評価されていることが分かる。次いで2位はアウディの50台で、3位にはその兄弟車でもあるランボルギーニが入った。
4位はリヤエンジンを伝統的に守り続けるポルシェで39台。5位は高い評価を受けるフェラーリとなった。6位はBMWだが、今後数字は伸びそう。7位にマクラーレンの18台、8位にアストンマーティンの16台とイギリスメーカーが続いている。アストンマーティンの数字は今週末のスーパー耐久で17台に変わるはずだ。
日本車最多となるのは、ホンダNSX GT3の9位。イタリアGT等でも走るヨーロッパで5台、アジアで5台、合計10台とカウントされている。北米で走っているアキュラNSX GT3を合計すると14台となる。これに次いでニッサンGT-RニスモGT3の9台(スーパーGTで6台、スーパー耐久で3台、オーストラリアで1台走っているので正確には10と推測される)、レクサス、アキュラ、ベントレーが4台ずつとなっている。
GT3を使う際には、やはり地域に根ざしたメーカーの車種を使う方がサービスが受けやすくメリットが多いが、メルセデスやフェラーリ、アウディ、ランボルギーニ、ポルシェなどはヨーロッパ外でも台数が比較的多く、評価を得ていることが分かる。現在トヨタも新たなGT3を開発中だが、こういったサービス面でも研究を進めているようで、状況の打開に期待がかかるところだ。