7月2~3日のラリー・リエパヤでシーズン後半戦を迎える2022年のERCヨーロッパ・ラリー選手権だが、東欧ラトビアでの1戦を前にエントリーリストが公開され、WRC世界ラリー選手権でファクトリードライバーも務めたヘイデン・パッドンの参戦が明らかに。地元ニュージーランド国内でも引き続き関係を維持するヒョンデ・モータースポーツの支援を受け、自らが率いるパッドン・ラリースポーツ・グループ(PRG)からのエントリーでヒョンデi20 Nラリー2をドライブする。
6月23日付で公開されたラリー・リエパヤのエントリーリストには、約20台のトップカテゴリー車両が集結。そのなかには、2016年のWRCラリー・アルゼンティーナで勝利を飾った元ヒョンデのファクトリー契約ドライバー、パッドンの名も記されていた。
地元でもPRGで国内選手権を戦い、独自のモンスター車両開発も手掛けたニュージーランド出身“Kiwi(キーウィ)”のパッドンは、自身のチームとメカニックを帯同してヨーロッパへと赴き、PRGのメンバーとともに自身2度目のERC出走を果たす。
そのパッドンは、来季2023年に向けWRC2への年間エントリーのプログラムを予定しており、今季後半にヨーロッパで開催されるWRC2イベントへのテスト参戦に先立ち、このERCでの1戦をウォームアップとして活用する計画だ。
「僕自身、ヨーロッパでラリーを戦ってから3年が経過した。少し時間が経ちすぎて、喉が渇いてしまったんだ(笑)。こうしてまたERCのステージで走り始めるのを本当に楽しみにしている」と語ったTCRニュージーランドでの優勝経験も持つパッドン。
「ただし、僕らはすぐにヒーローになろうとはしていないんだ。ニュージーランドでのラリーと、ヨーロッパでのラリーとは本当に異なっていて『それとこれとは別の問題』なんだ。だからこそ僕らは自分自身の感覚を取り戻し、再びアジャストすることから始めるよ」と続けたパッドン。
直近にも欧州の地域選手権に挑んで肩慣らしをしたパッドンだが、この「ラトビアも、僕たちにとって純粋なテストイベントだ」と続ける。
「時間内にマシンを準備することは大きな前進で、僕が初めてそのシートに座るのはシェイクダウンになる。ラリーを通してさまざまなことをテストし、2023年に向けてあらゆる種類の作業を進めていくつもりさ」
一方、パッドンの対抗馬として今季2勝を飾っている“苦労人”ニル・ソランス(ヒョンデi20 Nラリー2)は、引き続き前戦ラリー・ポーランドから契約を結ぶKOWAXレーシングから参戦。依然として経済的な問題に直面し続けている30歳のソランスだが、全8戦中ベスト7戦でタイトルの行方が決まるシリーズの特性も考慮し、このラトビアで「良い結果を出すことは非常に重要」だと決意を新たにする。
「サスペンションの問題でリタイアしなければならなかったポーランド戦を除いて、僕らが参戦したラリーで強力な結果を出し続けていることを、誰もが知ってくれている」と、資金難で第2戦をスキップしていたソランス。
「だからこそ、チャンピオンシップの可能性を少しでも高めるために、最大ポイントを獲得することが重要なんだ。(タイトル挑戦の)可能性は間違いなく終わってはいないが、僕たちはリードしているわけじゃない。継続する力を与えるのに役立つ、良い結果が必要なんだ」と、パッドンと同じi20 Nラリー2をドライブするソランス。
「勝利であろうと表彰台であろうと、僕たちはエフレン(・ヤレーナ)からポイントを獲得し、段階的に彼に近づくことを考えている」
その名前が挙がったポイントランキング首位、チームMRFタイヤのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)は、昨季までスズキのスペイン法人であるスズキ・モーター・イベリカ製『Swift R4lly S(スイフト・ラリーS)』をドライブしていたハビエル・パルドと、ERCオープンの卒業生でレッドブル契約ドライバーでもあるラトビア出身の22歳、マルティン・セスクと共闘する。
また、第2戦で表彰台を獲得しているヨアン・ボナートがシトロエンC3ラリー2で復帰し、そのほかシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)、ケン・トーン(フォード・フィエスタ ・ラリー2)、トム・クリステンセン(ヒョンデ i20 R5)、サイモン・ワグナー(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)ら実力派ドライバーたちが名を連ねる。
ラトビア西部の高速グラベルステージ群を舞台としたラリーは、2日間の本格アクションを前に金曜夜のリエパヤ近郊スーパースペシャルで幕を明け、今週末にも181.01kmの勝負が繰り広げられる。