IntelではディスクリートGPUであるArc Alchemistについて2022年中にもハイエンドからエントリーモデルまでの各モデルを世界中で発売開始を目指していますが、このArc Alchemistの発売時期について更に延期される可能性や、あまりにも酷い遅れから発売中止がされるのでは無いかと言うリーク情報が出現しています。
打倒NVIDIA、AMDだったはずのIntel Arc Alchemist
IntelのArcグラフィックカードに関する情報が初めて出現したのは2020年頃で当初はデスクトップ向けのディスクリートGPUは『DG2』と言うコードネームで呼ばれており、2021年の発売が予定されていました。
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この『DG2』は2021年に発生していたGPU不足に対する救世主的な存在として登場が待ち望まれていましたが、結局2021年中には発売がされず、2022年7月が終わろうとしてもArc A770やArc A750など一部モデルの存在が明らかにはされているものの、発売時期についてはまだまだ不明な状態が続いています。
そんな、Arc AlchemistについてMoore’s Law is Deadが発売時期に関する最新情報を入手、9月まで延期される可能性やそもそも発売自体がキャンセルされる可能性が出ているようです。
ドライバーかハードウェア上の制約で高いfpsを出せない可能性。
Intelではチャンネル登録者数約1500万を誇るLinus Tech TipsにてIntelのグラフィックカード部門の人が自らArc Alchemistを手渡し、様々な説明を行うという宣伝を行っていますがこの中で最適化が施されたTier1と言われるゲームでは非常に高いパフォーマンスを発揮すると発言をしていました。
実際に、IntelではArc Alchemist A370Mの発表時には90fpsを超える性能がある事をアピールしていましたが、なぜ120fpsでもなく90fpsかと言うとIgors LABなどで指摘されているように依然としてドライバー関連またはハードウェア関連でトラブルを抱えているようです。
Igor’s LABではArc A380を入手し様々なタイトルでのベンチマークを行い、その結果1080p環境においてはオーバークロックを行えばRadeon RX 6400を超える性能を発揮できる事が確認されたようです。ただ、なぜか720pへ落としても、Arc A380についてはパフォーマンスの向上が無く、このことからドライバーまたはハードウェアに何かしらのボトルネックが存在しており高いfpsを出せないと指摘されています。
これが、Intelが先のArc A370Mの発表会で中途半端な90fpsと言う数字を示した理由ですがこのようにIntelのArc Alchemistについては依然としてパフォーマンス面でトラブルを抱えているようです。
Intel社内での説明と社外での広報活動が大きく異なる模様
IntelではLinus Tech Tipsなどに出演し、もうすぐArc Alchemistが発売されるかのような雰囲気で紹介をしていましたがIntel社内でグラフィックス部門が説明した資料ではArc A380やArc A770など多くのグラフィックカードは7月31日までにAIBやOEM向けに供給が開始される予定で、Neweggなどリテール向けには8月中旬に発売が行われると記載があったとの事。
しかし、7月30日になっても何も動きは無く、各社AIBからの情報も『何が起きているか分からない』『Arcについては今四半期に出る確証もない』『未だに最終デザインが確定していない』と言う状態で、Arc A380の仕様について記載されたIntelのプレゼンテーション資料には発売時期は不明と記載があるとの事です。
発表はRaptor Lake-Sと同時。ただし発売は9月以降に。経営幹部は激怒?
Arc Alchemistについて別の資料では9月にデスクトップ向けArcの記載はあるもののStory, Not Launchと記載がされており、少なくともArc Alchemistの商品紹介などは9月のRaptor Lake-Sの発表と同時に行われるものの、発売についてはこの時点では行われないようです。
この不明確な登場時期についてIntelの幹部も激怒しているとの事です。実際に2022年7月28日に発表されたIntelの第2四半期決算においては内容は減収減益で通期予測も下方修正と言う非常に悪い結果でしたが、そのコメントとしてIntel CEOのPat氏は景気後退などの要因も指摘しつつ『我々は仕事を思い通り遂行出来ていない』と問題点を述べています。
デスクトップ向けArc Alchemistの発売がキャンセルされる可能性
決算発表においては減収減益の要因についてPat氏が説明を行っていますが、グラフィックカードについてIntel 5およびIntel 7のデスクトップ向けグラフィックスカードは2022年Q3に出荷が開始されるとも説明を行っています。
しかし、現在Intelの経営幹部の間でデスクトップ向けArcについて発売を注視する議論が行われているとの事です。IntelではディスクリートGPUとして第一世代のAlchemist、第二世代のBattlemage、第三世代のCelestialと計画がされていますが、Celestialについては開発に手を付けられる事なく中止の判断が下される可能性があるようです。
なお、グラフィック部門ではIntel本体の広報とは別にArc発売まで様々なプロモーションを方針決定が行われる最後の最後まで行うつもりのようです。
Intel Arc Alchemistは遡ると2020年には2021年発売と言われていましたが、伸びに伸び、遂に2022年9月も超えてしまう可能性があるようです。IntelとしてはNVIDIAがGeForce RTX 4000シリーズを10月以降に発売するなど大幅遅延がされたため、首の皮一枚で救われている感があります。
ただ、このまま9月を超えて10月発売となってしまうとエントリーからミドルレンジに特化したモデルを投入しても買い控えや10月以降に発売がされるAMDのRadeon RX 7000シリーズとの競合など競争力に関しては厳しい状態に陥ってしまいます。
Intelは景気後退によるコンシューマー向け製品の他、サーバー向け製品もSapphire Rapids Xeonの投入遅延などにより売上高が減少し、通期予測は下方修正し決算発表の場では設備投資の減額や採用の抑制など経費削減に取り組む方針も示しています。
経営幹部の間でデスクトップ向けArcについて発売中止が検討されているという話がMoore’s Law is Deadで出ていますが、グラフィックカードの需要が落ち、NVIDIAやAMDと言う競合がひしめき合う中でIntelがグラフィックカードにおいて競争力を確保する方法は低い価格での販売しか道が無く、投資に見合う効果が無いとも言えます。
そのため、Intelの経営に余裕がない現在の状況下ではデスクトップ向けArcの発売を中止し、利益が確保できそうなモバイル向けやデータセンター向けに集中するというのは十分あり得る話のように感じられます。
どちらにせよ、IntelではSapphire Rapidsの大幅遅延など製品開発が全然上手く行っていないですね。。。
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