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岸田内閣の支持率高止まりが続いている。日米首脳会談終了直後の23日には、FNN世論調査で支持率が政権発足後最高の68.9%を記録。そして約1週間後の29日に発表された日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査でも66%と同じく最高値に達した。

しかし、あまりの「好調」ぶりにネットでは保守層からリベラル系まで疑問が噴出し続けている。

「聞く力」を発揮する(?)岸田首相(官邸サイトより)

ネット民「この国の人たちは集団自決したいようだ」

ツイッターでは「支持率過去最高」などの言葉が踊り、この週末も、岸田政権に不満を持つ人たちから次々と書き込みがなされた。

左右両方から嫌われてるのに何でこんな支持率高いんでしょうか?

どうやらこの国の人たちは集団自決したいようだ

今で給料の半分近くが税金や光熱費などで取られてるのに参院選で自民党が大勝したら大増税賛成って事になると思うんですが

何が評価されているのだろうか?「何もしない」ことが反感を買わない秘訣ということか?

確かに、原油高によるエネルギー価格の高騰に加えて、生活必需品を中心に物価高も止まらない。国民生活を直撃しているこうした諸課題にこれといって対策も示せていない中、岸田首相は、一体何が支持されているのだろうか。

年齢層が高くなるほど支持率も高くなる

実は、岸田内閣の支持・不支持について、面白い傾向が見てとれる。それは、年齢層が低いほど不支持傾向が強く、反対に年齢層が高いほど支持する人が多いことだ。

社会調査研究センター(埼玉県さいたま市、松本正生社長)が5月21日に行ったRDD方式(無作為抽出した電話番号への調査方法)での全国世論調査によると、岸田内閣の支持率は53%だった。同社による内閣支持率は今年2月の45%を底に48%(3月)→50%(4月)、そして53%と上昇傾向が続いている基本的な傾向は、他のマスコミ各社の調査と同様だ。

一方、この調査では年齢別に支持率を公表しており、ネット民の注目を集めてもいる。これによると、18歳から29歳で岸田首相の支持率は38%に低迷。30歳から39歳は42%に上がり始めると、以後、40歳から49歳は51%、50歳から59歳は55%、60歳から69歳は55%、70歳以上は65%などと、年齢を重ねるごとに上昇基調だ。この調査結果を引用報道した時事通信は、これを「若低―老高」と表現している。

社会調査研究センターの結果に基づき編集部作成

日本年金機構によると公的年金受給者数は、4040万人に上る。この層は人数も多く、投票率も高い。いきおい、最近の日本ではこの層に受ける政策がとられやすい。この内閣支持率のままであれば、今夏の参院選も自民党は安泰だろう。

この傾向にネットでは、次のような鋭い指摘も散見された。

リスクを取らず現状維持だけを続けるマインドは政界・官僚・経営者に留まらない。一般国民もそういうマインドであることがこの支持率に表れている。日本は現状維持のつもりでも他国が成長していれば、其れ則ち衰退である。

論理的なこと、新しいことを理解できない国民に合わせて動く政治家が評価される日本。そして日本社会が破滅する。自業自得と言えば自業自得。

経済学者の池田信夫氏はツイッターで、次のように皮肉った。

すごいな。Statesman(編集部注・政治家)としては最悪だが、politician(編集部注・職業としての政治家、いわゆる「政治屋」)としては天才だ。

安倍政権時代になかった不気味

ただ、岸田内閣、それに自民党にとって不気味な数字もある。それは、かつて安倍政権を支えたとされる若者の支持率が岸田政権の発足以降は、一貫して下がり続けていることだ。社会調査研究センターの調査によると、18歳から29歳の内閣支持率は、62%(2021年10月)→51%(同11月)→49%(同12月)と推移。そして、最新の調査では38%だ。

その一方、70歳以上は46%(2021年10月)→52%(同11月)→61%(同12月)→65%(今年5月)と右肩上がり。ここまで年齢層でくっきりと支持・不支持が分かれる内閣も珍しいのではないか。

「若者なんてどうせ投票に行かない。支持率が多少低くても問題ないだろう」と高を括っていると、参議院選挙で自民党が思いもよらぬ結果を呼ぶかもしれない。高齢者(政治家)から舐められっぱなしの若者は、このあたりで一度、自らの意志を示してみてはどうか。