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 レッドブル・レーシングのジュニアドライバーでテスト&リザーブドライバーを務めたユーリ・ビップスはオンラインゲームの最中に人種差別的な言葉を使ったことで、レッドブルからテスト&リザーブドライバー契約を打ち切られた。レッドブルのサポートのもとで参戦してきたF2での活動を継続することも難しいものとみられていたが、所属するハイテックGPは、6月29日、当初の契約を維持してビップスを今シーズンいっぱい乗せる旨の発表を行った。これに対し、F2は批判的なコメントを発表している。

 レッドブルが契約解除の発表を行った翌日、ハイテックは、ビップスをシーズン末まで走らせて「名誉を回復するチャンスを与える」ことを決定したと発表した。チームボスであるオリバー・オークスは、ビップスの発言は到底受け入れがたいと強く非難しながらも、彼が成長する機会を与えるべきだという結論に達したと述べている。

「私は、今シーズンの残り期間、ユーリをハイテックのF2シートにとどまらせるという決断を下した。真剣に協議した末の決断だ。ハイテックでシーズンを完了させる機会を与えることは、彼が自分の行動を通して、自身がどういう人間であるのかを示す機会になる。はっきりさせておきたいのは、彼が使った言葉は完全に容認できないものであると私は考えているということだ。だが彼に名誉挽回の機会を与えることを選択した」と、オークスはハイテックのリリースのなかでコメントしている。

「ハイテックGPは包括的な職場であり、いかなる形であれ人種差別的な行動や攻撃的な行動を容認したことは一度もない。とはいえ、我々が生きる社会で、ミスをした者が心から謝罪しても、償いのチャンスが与えられず、そこから学ぶことができないのだとしたら、社会とは何なのだろう」

「彼がなぜあんなことを言ったのか、私には分からない。また、なぜあの時間帯にC.O.D(コール・オブ・デューティ/ゲーム)のストリーミングをしていたのかも分からない。彼のキャリアにとって他にはるかに有益なことがあったはずだ」

2022年F2ジェッダ ユーリ・ビップス(ハイテック)
2022年F2ジェッダ ユーリ・ビップス(ハイテック)

「私が知っているのは、あの行動の結果、レッドブルから契約を打ち切られたことは、彼にとって壊滅的な打撃であり、当然の厳しい罰であるということだ。現実には、この罰が十分であるかどうかについてすべての人々の意見が一致することはないだろうし、それは完全に理解できることである」

「私としては、謝罪や言葉だけではこのダメージへの償いをするのに十分ではないという考えを持っている。ハイテックでのレース活動継続を許すことで、我々はユーリに対し、今後の行動で真摯な悔恨を示す機会を与える。彼はそうするためのすべての機会をつかまなければならない。その場だけの“美徳シグナリング”的な発言をするのではなく、永続的な変化を遂げる必要がある」

「この決断がすべての人を満足させることはないだろうが、私は、人間は人生において二度目のチャンスは与えられるべきであると確信している。だが、三度目は決してない。ユーリの誇り、評判、キャリアが今後どうなるかは、彼自身にかかっている」

 F2はハイテックのこの決断は意外なものだったとして、以下の声明を通し、明確な不満を表明した。

「ユーリ・ビップスが関与した最近の事件を受けて、F2は、人種差別的、差別的な言葉の使用はいかなる環境においても容認できないということを再確認したい。ハイテック・グランプリの本日の決定は驚くべきものであり、我々が予想していたものではない。このような行動に適切な対処がなされるよう、彼らとともに状況を注意深く見守っていく」