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Image:abolukbas/Shutterstock.com

アップルに対して、「iPhoneのLightning端子をUSB-C規格に置き換えるべし」という圧力が日増しに強まっている。

今月初めに欧州連合(EU)では、2024年までにスマートフォンなど家電製品の充電規格をUSB-Cに統一することで合意に達したが、続いて米国でも複数の上院議員がEUへの追従を求めている。そして今度は、ブラジルがiPhoneにUSB-C搭載を強制するかもしれないとのニュースが届けられている。

ブラジルのテック系サイトTecnoblogは、同国のAnatel(ブラジル国家電気通信局)が充電ポートに関して、スマートフォンメーカーに新たな要件を提案したと報じている。AnatelはUSB-Cにより「消費者の利便性が向上する」と考えており、またユーザーが機器を買い替えても「充電器を再利用することで廃棄物を減らせる可能性がある」と述べているそうだ。

今回の件は(少なくとも現時点では)スマートフォンに焦点を当てているが、ほとんどのAndroidスマホはすでにUSB-C端子を搭載しているため、実質的にはiPhoneを狙い撃ちしたといえる。

ただしAnatelは、ワイヤレス充電のみのデバイスにはUSB-Cは必要ないだろうとも述べている。一方EUでは、タブレットやカメラ、ヘッドフォン、ポータブルスピーカーなどの周辺機器にも、USB-Cの標準搭載を義務づける予定である。

Anatelの提案は公開協議の段階にあり、ブラジル国民なら誰でも(ハイテク企業も含む)、8月26日までは意見を述べられる。もしこの提案が承認されれば、2024年7月1日から、ブラジルで販売されるスマートフォンにUSB-C搭載が義務づけられることになる。

つまりアップルがブラジル国内で製品の販売を続けるつもりなら、「USB-C搭載iPhone」を作らざるを得なくなるわけだ。

とはいえ、すでにアップルは、USB-C版iPhoneの開発に取り組んでいるとの噂が相次いでいる。今年初めに、有名アナリストMing-Chi Kuo氏とBloombergのMark Gurman記者はともに、来年のiPhone 15(仮)世代でUSB-Cに切り替えるとの予想を述べていた。一方で、今年の新型iPhoneがUSB-Cを搭載するとの噂は皆無と言っていい。

iPhoneをUSB-Cに移行しない理由としては、USB-CがLightningよりも防水性能で劣ることや、サードパーティが販売するLightning関連商品から得られる「Made for iPhone(MFi)」プログラムの収益がなくなる問題が指摘されていた。アップルは少なくともiPhoneについて、2023年まではUSB-Cに切り替えず、Lightningで粘ることになりそうだ。