米半導体大手インテルは現地時間28日、2022年第2四半期(4~6月)業績を発表し、売上高と利益ともに予想を大きく下回り、通期の見通しを下方修正したことを発表した。
特にパソコン向けチップを核とするクライアントコンピューティング部門(CCG)の収益が大きく落ち込んだとして、今後CPUを含むチップの大半を値上げする方針を明らかにしている。
7月半ばにも同社がCPUや各種部品の値上げを計画しているとの噂が報じられていたが、それが事実だと裏付けられた格好だ。
インテルの発表によると、第2四半期の売上高は前年同期比22%減の153億2100万ドル(約2兆400億円)、最終損益が4億5400万ドルの赤字。通期売上高の見通しも、前回の760億ドルから650~680億ドルへと引き下げている。
その中でもCCGの落ち込みは際立ち、前年同期比で25%減の76億5000万ドル。これを受けてデビッド・ジンスナーCFO(最高財務責任者)は、今年後半に発売される製品が「充実している」ことを強調するとともに、第4四半期にはパソコン向けチップの値上げを予告している。
ジンスナー氏はデータセンター向けチップも値上げするとしつつ、そちらよりパソコン向け半導体の方が「より大きな値上げ幅になる」と述べている。それによりCCG部門の業績が持ち直すとの考えを示している。
先日の日経報道では、インテルがCPUや各種チップを最大20%値上げすると伝えられていた。対象となる製品リストにはサーバーやパソコン向けCPUのほか、Wi-Fiほか接続チップなど幅広い品目が含まれている。
これらCPUおよび各種半導体は、インテルの売上の大部分を占めている。日経は、同社がパートナー企業や顧客と連絡を取り合い、値上げに備えると述べていた。とはいえ、最新の公式発表と日経報道は、ともに「今年後半の改善された製品」を前提としており、大きな値上げは既存チップよりも今後の新製品に集中するようだ。
そして2022年秋頃には、第13世代Raptor LakeのデスクトップおよびノートPC向け製品が投入される予定だ。ちょうど時期が重なっていることから、これらを採用するPCはやや高めの価格となる可能性がありそうだ。
なぜパソコン向けプロセッサーの需要が低迷しているいま、インテルが値上げを選ぶのか。その理由が2つ報じられている。1つは積み上がる在庫を解消するため、わざと値上げのニュースを顧客に流し、高価になる前に買わせようとしているとの噂だ。
もう1つは、チップ製造のコストと原材料が高騰しているため、との観測である 。これは全世界でインフレが急進しており、特に米国では消費者物価が9.1%も上昇し、実に40年ぶりの高い伸びとなったこととも符合している。
最近はアップル製品が大幅に値上げされたほか、8月にはMetaのVRヘッドセットやXiaomi製品の値上げも控えている 。パソコンの買い換えや新規購入を検討している人は(インテルの思惑に乗るようではあるが)少し前倒しにした方がいいのかもしれない。
- Source:Mottey Fool
- Source:Wccftech