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 2021年の輸入車SUV販売で第2位を記録したコンパクトSUV、VW「T-Roc」が、初のマイナーチェンジを実施。今春より欧州に導入されていたが、いよいよ日本にも上陸した。

 今回の改良では、フェイスリフトに加え、先進安全装備を強化。これまでカジュアルさが重視されていたインテリアの質感向上にも取り組んでいる。そして、最大の目玉となるのは、VWのハイパフォーマンスモデル「R」の追加だ。新型T-Rocの進化のポイントを解説しよう。

文/大音安弘、写真/フォルクスワーゲンジャパン

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■新たな武器は上質さ! アダルトな雰囲気を強める

 フォルクスワーゲンジャパンは2022年7月25日、コンパクトSUV「T-Roc」のマイナーチェンジを実施し、同日より販売を開始することを発表した。全車、右ステアリング仕様となり、新価格は、394万3000~626万6000円だ。

マイナーチェンジで質感の向上が図られたVWのコンパクトSUV「T-Roc」が日本上陸

 エクステリアでは前後バンパーの形状が変更され、プロテクション風のデザインを取り入れることで、SUVらしさを強調。スポーティなRラインでは、よりシャープな顔立ちに変更されている。

 さらに、LEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」とフロントマスクを横断するシグネチャーランプが新たに採用されるなど、大きく印象を変え、精悍な顔立ちとなっている。

 リアスタイルも、改良でSUVらしさが増しており、LEDテールランプには、流れるウィンカー表示のダイナミックターンインジケーターを採用するなど、機能も向上されている。

リアバンパーとLEDテールランプのデザインが新しいものとなった

■インテリアでは質感と機能を向上

 インテリアでは、ダッシュボードデザインを大きく変更。インダッシュだったセンターディスプレイがオンダッシュとなり、エアコンパネルも、新デザインのタッチ操作式に改められ、一部仕様に用意されたボディ同色カラーパネルも廃止に。

 ステアリングも最新デザインのものが装備されている。シート表皮もブラックが中心となり、落ち着いた雰囲気となった。また、ダッシュボードやドアトリムにステッチを施したソフト素材やレザレットを新採用することで、視覚や触感で感じられる質感の向上にもこだわったという。

センターディスプレイがオンダッシュとなるなど大きくイメージを変えたコックピット

 先進の安全運転支援機能も強化され、ロングドライブの疲労軽減にも効果的な同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」が新たに採用され、全車に標準化。

 さらに前後のパーキングセンサー「パークディスタンスコントロール」や駐車支援システム「Park Assisit」も全車標準となるなど機能向上が図られている。

 パワートレーンは、1.5L直列4気筒DOHCターボ「1.5L TSI」と2L直列4気筒DOHCクリーンディーゼルターボ「2.0L TDI」となっており、トランスミッションは全車に7速のDSGが装備され、駆動方式はFFのみに。

 グレードも整理され、エントリーとなるガソリン車「TSI アクティブ」、充実装備を誇る「TSI/TDI スタイル」、そしてスポーティデザインの「Rライン」は、クリーンディーゼル専用となっている。

■待望のハイパフォーマンスモデル「R」が登場

 最大の目玉は、VWのハイパフォーマンスモデル「R」の初設定だろう。近年、輸入車SUVのハイパフォーマンスモデルは高い人気を得ており、VWでもティグアンに導入した「ティグアンR」が受注の全体の2割を超える人気グレードになっている。これらの背景を踏まえ、よりコンパクトなT-Rocにも「R」が導入されたわけだ。

VWのハイパフォーマンスモデル「R」の新メンバーとして、T-Rocが加わった

 T-Rocは、コンパクトなSUVボディに300ps/400Nmを発揮する2L直列4気筒ターボエンジンに、VWの4WDシステム「4MOTION」を組み合わせたもの。高出力エンジンを活かすべく、足回りは専用スポーツサスペンションとアダクティブシャシーコントロール「DCC」を標準化。

 もちろん、ブレーキシステムは強化され、タイヤも235/40R19のワイドタイプを装着する。ブレーキシステムは、Rのイメージカラーであるブルーで塗装され、特別感も演出する。

 エクステリアは、R専用のスポーツデザインに変更されるが、R-Lineに近いデザインであり、Rバッチもさり気なく装着されるため、ヤンチャな印象は薄め。しかし、リアテールの4本出しテールパイプがハイパフォーマンスモデルであることをさり気なく主張し、クルマ好きの心を刺激する。

 専用のレザーステアリングには、ドライブモードを変更する「ドライビングプロファイル」の操作ボタンが備わり、レースモードを選択すると、エンジンや駆動系、ダンパーなどをレーシーなセッティングに変更できる。

 また、4WDシステムにもモード切替機構があり、4WDの強みを活かし、「オフロード」や「スノー」といったモードが用意され、スポーツドライビングだけでなく、日常や趣味でも活躍するクルマに仕上げられていることがわかる。

 インテリアでは、ダッシュボードの加飾に「R」のイメージカラーのブルーが積極的に使われ、シートはホールド性と触感に優れるナパレザーのトップスポーツシートを標準化。

 さらに他グレードではオプションのSDDナビゲーションシステム付きのインフォメーションシステム「Discover Pro」やステアリングヒーターなどが標準化されるなど、装備の充実化も図られている。

クリーンディーゼル狙いならば、「Rライン」のほうがお得かも!?

 2021年の輸入SUVでは、VWが人気を集め、登録台数1位がコンパクトSUV「T-Cross」、2位が「T-Roc」であった。より質感を増したことで、弟分の「T-Cross」と差別化を図ることで、より多くのユーザーの獲得に繋がるかが注目される。

 また、先にも述べたが、上位モデルであるコンパクトSUV「ティグアン」のRが好調ということもあり、より価格を抑えた高性能車「T-Roc R」が販売増に貢献する可能性も高い。ゴルフともサイズが近いため、ゴルフRファンなどからも注目を集めそうだ。

 最近の資源価格や輸送コスト、為替などの影響からエントリー価格も上昇し、メイングレードである「スタイル」の価格も上昇している。しかし、意外にも上位モデルの「TDI Rライン」の上昇分は少なめ。

 最新型では、必要十分な装備を備える新エントリーグレード「TSIアクティブ」か、充実装備を誇る「TDI Rライン」を狙うという選択もありなのかもしれない。新たな最上位「R」については、4WDという強みはあるものの、「TDI Rライン」と比べ、約166万円も高価なので得られる喜びも大きいが、その対価も求められる。SUV人気の今、そろそろ手頃な4WDモデルにも期待したいところだ。

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