6月25日、WRC世界ラリー選手権第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』のデイ3はSS8~13が行われ、午後は降雨の影響で泥のステージでの戦いとなるなか、前日のデイ2で総合首位に立ったカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がリードを拡大している。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は表彰台圏内の総合3番手につけた。
サファリ・ラリーの競技3日目は、サービスパークを中心に3本のグラベル(未舗装路)ステージを日中のサービスを挟んで各2回走行するスケジュールが組まれ、6本のSS合計距離は150.88kmと今大会最長となった。このデイ3を総合首位で迎えたロバンペラは、主に曇天となった午前中のループでは後続とのギャップを見ながらの走行で手堅くポジションをキープする。
しかし、激しく降った雨の影響でレインコンディションとなった午後の最後の2ステージでは一変。泥に覆われ極端にグリップが失われた路面のなかでベストタイムと2番手タイムを刻み、デイ3のオープニングステージで勝田を交わして総合2番手に浮上した僚友エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に対し、SS12で11.2秒、この日最後のSS13では13.2秒のリードを築いた。この結果、21歳のフィンランド人は40.3秒のリードを持ってラリー最終日に向かうこととなっている。
「午後は本当にトリッキーなコンディションだった。昨年は経験する機会がなかったので、このラリーでレインコンディションを走るのは今日が初めてだったが、グリップがまったくなく、大きな水溜まりも多くあったので、本当に驚いたよ」とロバンペラ。
「明日は他のラリーの日曜日よりもかなり長い距離を走るため、まだ丸々1日残っているようなものだ。何が起きるか分からないので、最後まで集中力を保ち続けなくてはならない」
なお、この日のロバンペラは体調不良に見舞われ、体力的に厳しい1日だったことを明かした。
「今日は体調があまり良くなかった」と彼は述べた。
「胃の調子が悪いというわけではないが、かなり疲れているようだ。明日は良くなることを願っている」
■前日から順位を落とすも表彰台圏内につける勝田貴元
SS8とSS11でベストタイムを記録したエバンス。競技3日目を総合2番手で終えた彼はSS10でパンクを喫し、午後はフロントウインドウのクリーニングに問題が発生したこともあり最終ステージで立木に激突しそうになったが、幸運にも生き延びることに成功した。
そのエバンスの後塵を拝するかたちとなった勝田は、オープニングのSS8で遅れこの時点で総合3番手に後退。さらに、パンクチャーやオーバーシュートもあり午後にはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)にも交わされ一時、表彰台圏外にはじき出されてしまう。
しかし、デイ3最後のステージでヌービルが立木に激突しデイリタイアに。この結果、勝田は2年連続でサファリの表彰台が狙える位置に復帰した。なお、ヌービルは10分のタイムペナルティを受けたものの、前日のパンクで順位を落としたセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)に次ぐ総合5番手につけている。
午前中にヌービルとともに勝田を追っていたオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)は、総合4番手で迎えたSS9でストップ。プロペラシャフトの破損によりデイリタイアとなった。
チームメイトのオリバー・ソルベルグ(ヒョンデi20 Nラリー1)は路肩でサスペンションを修理したためにTC到着が遅れ1分30秒のタイムペナルティを受けた。デイ3終了時点でトップから12分以上遅れ、順位は総合6番手となっている。
総合9番手で3日目の競技を開始したクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)はリヤのサスペンションに問題を抱えての戦いに。順位はオープニングでひとつ上がりタナクの脱落にともない、もうひつ繰り上がって総合7番手となった。
一方、チームメイトのガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)はSS9で横転。フロントウインドウがない状態でステージを走破したものの、フィニッシュ後にデイリタイアとなった。アドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)は朝のSS8でサスペンションを破損。こちらもデイリタイヤを喫している。
このため、ブリーンに次ぐMスポーツ勢の2番手は総合8番手に入ったジョルダン・セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1)となっている。金曜日にエンジントラブルでリタイアしたセバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)は、ステアリングアームを壊しながらも総合10番手でデイ3を終えた。
サファリ・ラリー・ケニアの競技最終日となる26日(日)は、サービスパークの南側で3本のステージを各2回走行する。このうちSS15と再走ステージのSS18“ナラシャ”新ステージだ。また、最終SS19“ヘルズゲート2”は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与されるパワーステージとなっている。計6本のSS合計距離は82.70km、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は358kmだ。