7月10日、2022年FIA F2第8戦シュピールベルクのフィーチャーレース(決勝レース2)がオーストリアのレッドブルリンクで開催され、ウエット路面でのスタートとなったなか、ドライタイヤスタートを選択したリチャード・フェルシュフォー(トライデント)がトップでチェッカーを受けた。
しかし、レース後の車検で燃料サンプルを0.8kg採取される必要があったフェルシュフォーの車両だったが、採取できたサンプルは31.3gだったため失格に。また、2番手でチェッカーを受けたユアン・ダルバラ(プレマ・レーシング)だは、スタート前にエンジン冷却用のファン用いてグリッド路面を直接乾燥させた行為がスポーティングレギュレーション違反と判断され、20秒のタイムペナルティが課せられた。これで3番手でチェッカーを受けたローガン・サージェント(カーリン)が優勝となった。
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第8戦の決勝レース2のグリッドは、8日に行われた予選で決定され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)がポールシッターとなった。
フロントロウ2番グリッドにユーリ・ビップス(ハイテックGP)が並び、セカンドロウ3番グリッドにウイリアムズ育成のサージェント、そして4番グリッドに岩佐が続いた。なお、決勝レース1でリタイアとなった佐藤は、今季7機目となるエンジン交換を経て18番グリッドからスタートを迎えることとなった。
FIA F3のレース2まで降り注いでいた雨は上がり、ホームストレートはほぼ乾きつつあった。しかし、ところにより路面が濡れていたため、上位勢はウエットタイヤを選択。一方、8番手スタートのフェルシュフォーを含む、中段以降の数台がドライタイヤを選択するなか、気温14度、路面温度21度というコンディションのもと、40周の決勝レース2はスタートを迎えた。
岩佐が好スタートを決めターン1立ち上がりで2番手に浮上。しかし、ターン4でベスティにかわされ、3番手に後退する。オープニングラップを終えたところでサージェントが4番手に浮上し、岩佐を追い立てる展開に。そんななか、ターン3で決勝レース1の覇者マーカス・アームストロング(ハイテックGP)がユアン・ダルバラ(プレマ・レーシング)と接触。コースサイドにマシンを止めてしまい、2周目にセーフティカー(SC)が導入される。
レースは5周目に再開を迎えたが、この時点で路面が乾き始め、ドライタイヤを履くフェルシュフォーが6番手に浮上。さらにフェルシュフォーは6周目に岩佐、サージェントらを次々と攻略。同じくドライタイヤを履いたダルバラ、オリ・コルドウェル(カンポス・レーシング)らも岩佐らウエットタイヤスタート勢をパスし、6周目に岩佐は9番手に後退する。
7周目を終えて、ベスティ、岩佐、ビップス、サージェントらウエットタイヤスタート勢が続々とピットイン。これで、トップはフェルシュフォー、2番手ダルバラ、3番手ロベルト・メリ(カンポス・レーシング)、4番手にデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)と、ドライタイヤスタートのドライバーが上位に並ぶことに。なお、ピットアウトした岩佐は10周目にサージェントにかわされ、14番手にポジションを下げてしまう。
フェルシュフォーが11周目に1分19秒276と、この時点のファステストラップをマークし、5秒リードする一方、メリがダルバラをかわし2番手に浮上。代役参戦ながらF1経験者らしい勝負強さを見せ、この時点で19ポジションアップに成功する。
3番手のダルバラ、続く13周目にメリ、ハウガーらが、そして15周目にリアム・ローソン(カーリン)がピットインし、ミディアムタイヤに交換。最後までピットインを引っ張ったフェルシュフォーは16周目にピットイン。
全車がタイヤ交換を済ませると、トップはフェルシュフォー、2番手ダルバラ、3番手メリ、4番手ローソン、5番手にサージェントというトップ5に。6番手のエンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)を先頭に、9番手の岩佐までが数珠繋ぎの隊列を形成する。そんななか、17周目にサージェントがローソンを攻略し4番手に浮上する。
トップから9番手岩佐までが15秒という接戦の中、岩佐は19周目にこの時点でのセクター1全体ベストを更新し、8番手ベスティの背中を追う。そのベスティは送路外走行により5秒のタイムペナルティが課せられることに。
レースが折り返しを迎えた20周目に、フェルシュフォーは1分17秒428とファステストラップを更新し、2番手ダルバラを寄せつけない。3番手で続くメリはダルバラから6秒離されるなか、背後から徐々にサージェントが接近する展開となった。
終盤のスパートのタイミングを見計らってか、20周目以降上位勢は順位変動がなく均衡状態に。そんななか、8番手ベスティを追うべくプッシュを続けていた岩佐に対し、トラックリミット違反により33周目に5秒のタイムペナルティが出されることに。なお、35周目にはベスティに対し2度目の5秒ペナルティが課せられるなど、トラックリミット違反によるペナルティが続々と発せられる状況に。
残り5周となった36周目、2番手ダルバラの背後0.6秒のところにメリが接近。39周目のターン3でサイド・バイ・サイドとなると、続くターン4進入でダルバラを攻略。メリが2番手に浮上するが、その直後にメリに対し、トラックリミット違反による5秒加算ペナルティが出される。
終盤もバトル、そしてペナルティ発表が続くなか、ドライタイヤスタートから路面コンディション改善とともに、他を寄せ付けない走りを見せたフェルシュフォーが40周目のトップチェッカーを受けた。なお、チェッカー直後のセクター1でフェルシュフォーはマシントラブルが発生し、コースサイドにマシンを停めている。
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追記:
上述のとおり、レース後の車検でフェルシュフォーが失格、そしてダルバラのタイムペナルティにより12位となり、サージェントが繰り上がりで優勝。2位にフィッティパルディ、3位にメリが続いた。日本勢の岩佐は5秒ペナルティを受けるも7位でポイントを獲得。佐藤は16位という結果となった。
次戦となる第9戦ル・キャステレは、7月22〜24日にフランスのポール・リカール・サーキットで開催される。
■FIA F2第8戦シュピールベルク フィーチャーレース(決勝レース2)暫定結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
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1 | 6 | L.サージェント | カーリン | 40Laps |
2 | 22 | E.フィッティパルディ | チャロウズ・レーシング・システム | 14.615 |
3 | 15 | R.メリ | カンポス・レーシング | 15.719 |
4 | 1 | D.ハウガー | プレマ・レーシング | 20.100 |
5 | 24 | J.ヒューズ | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 24.238 |
6 | 14 | O.コルドウェル | カンポス・レーシング | 26.253 |
7 | 17 | 岩佐歩夢 | ダムス | 27.246 |
8 | 8 | J.ビップス | ハイテックGP | 27.973 |
9 | 16 | R.ニッサニー | ダムス | 28.543 |
10 | 5 | L.ローソン | カーリン | 30.065 |
11 | 11 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 33.107 |
12 | 2 | J.ダルバラ | プレマ・レーシング | 13.736 |
13 | 10 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 33.943 |
14 | 9 | F.ベスティ | ARTグランプリ | 40.861 |
15 | 21 | C.ウィリアムズ | トライデント | 43.050 |
16 | 4 | 佐藤万璃音 | ビルトゥジ・レーシング | 46.157 |
17 | 12 | C.ノバラック | MPモータースポーツ | 72.707 |
18 | 25 | A.コルデール | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 1Laps |
19 | 3 | J.ドゥーハン | ビルトゥジ・レーシング | 1Laps |
– | 23 | C.ボリュクバシ | チャロウズ・レーシング・システム | DNF |
– | 7 | M.アームストロング | ハイテックGP | DNF |
20 | R.フェルシュフォー | トライデント | 失格 |