7月28日から31日にかけて、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われた『トタルエナジーズ・スパ24時間』は、88号車メルセデスAMG GT3(AMGチーム・アコーディスASP)の勝利で幕を閉じた。2022年シーズンのIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦/ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第7戦として開催された同イベント決勝後のトピックスを紹介する。
■IGTC/GTWCヨーロッパのポイントランキング動向
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メルセデスAMGは、第74回トタルエナジーズ・パ24時間レースでアコーディスASPチームの88号車AMG GT3が優勝したことで、IGTCのメーカーランキングで大きなリードを確立した。同陣営は開幕戦バサースト12時間でも勝利しており、今季はここまで2戦2勝としている。
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ランキング首位のメルセデスAMGは、ライバル陣営のひとつであるアウディスポーツより51点多い86ポイントでスパを離れた。フェラーリは25ポイントでランキング3位。4位のランボルギーニは22ポイント、ポルシェは13ポイントとなっている。
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IGTCドライバーズランキングでは、シリーズ2連勝を飾ったジュール・グーノンが50ポイントでトップに。コドライバーのダニエル・ジュンカデラと、スパで総合2位となったルカ・ストルツが同じ43ポイントで2位に並んでいる。これにマーロ・エンゲルが30ポイント、ラファエル・マルチェッロは25点で続いた。
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メルセデス以外のドライバーでは、フェラーリのアントニオ・フォコ、ダビデ・リゴン、ダニエル・セラが15ポイントで上位につけている。
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GTWCヨーロッパ・エンデュランスカップにおいては、2戦を残してグーノン/ジュンカデラ/マルチェッロ組が、ライバルを11ポイントリードしている。彼らはスパでフォコ/リゴン/セラ組と3度にわたって首位を交換し、最終的に勝利を収めた。
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チームランキングでは、アコーディスASPが86ポイントで首位。アイアン・リンクスが71ポイントで2番手につけている。エンデュランスカップとスプリントカップの結果を合わせたGTWCヨーロッパ・オーバーオールのテーブルでは、予選スーパーポール後に首位に立ったマルチェッロが41.5点差でトップをキープした。ランキング2位には現王者ドリス・ファントール/シャルル・ウィーツがつけている。
■合計5名の女性ドライバーがクラス優勝を達成
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メルセデスAMGは、2001年から始まった同大会のGTレース時代において9回目のワン・ツー・フィニッシュを達成した。最後の総合ワン・ツーは2019年にポルシェチームのGPXレーシングとローヴェ・レーシングによって達成された。
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ジュール・グーノンは2017年にアウディで勝利して以来の総合優勝を飾り、GT時代にふたつの異なるメーカーでスパ24時間を制した3人目のドライバーとなった。以前にこの記録を達成しているのはファブリツィオ・ゴリン(2004年フェラーリ、2007年シボレー)とローレンス・ファントール(2014年アウディ、2020年ポルシェ)だ。
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アイアン・リンクスとSPSオートモーティブ・パフォーマンスの2チームは、異なるクラスの表彰台に2台のクルマを送り込むことに成功した。アイアン・リンクスは71号車のフェラーリが総合3位となり、ゴールドカップで優勝したアイアン・デイムスの車両のオペレーションを担った。一方のSPSはブロンズカップで優勝を果たしただけでなく、プロアマではサンエナジー1のバッジをつけたマシンが2位となっている。
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そのブロンズカップではSPSのリーマ・ジュファリが優勝クルーのひとりとなった。また、ゴールドカップでは女性ドライバーカルテットの83号車フェラーリ488 GT3エボが優勝したため、今大会では合計5人の女性がクラス優勝を飾っている。
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サウジアラビア出身のジュファリは、「彼女たちが表彰台に上るのを見るのは、私の誇りであり幸せです」とアイアン・デイムズの活躍について語った。「このスポーツのあらゆる場面で、もっともっと多くの女性が活躍することを願っています」
■2位フィニッシュの2号車AMGにも起きていた優勝車と同様のトラブル
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30号車アウディR8 LMSエボIIの力走によりシルバーカップ優勝チームとなったチームWRTは、アウディとともにスパ24時間レースの同クラスにおける初優勝を達成した。
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総合2位でフィニッシュしたAMGチーム・ゲットスピードのマキシミリアン・ゲーツは、前半のアンセーフリリースで20秒のペナルティを受けた混乱したレースの中で、彼の2号車メルセデスAMGも、優勝した88号車と同様にペダルボックスの問題に悩まされていたと明かした。「最終的に、僕たちは優勝に値しなかった」とゲーツ。「2位が妥当だったのだろう。これがいまの僕たちの姿だ」。
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プロ・アマクラスを制した52号車フェラーリ488 GT3エボ(AFコルセ)のアレッシオ・ロベラは、週末のレース中に2分17秒480というファステストラップを記録した。これは同じイタリア人のマルコ・マペッリ(ランボルギーニ・ウラカンGT3)が2020年に記録した従来のラップレコードを0.660秒更新したことを意味する。
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なお、ロベラはレース後の記者会見を欠席している。これについて彼のチームメイトは、「車内のエアコンが不調をきたし、その影響で体調が悪くなった」と説明した。
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スタートしたマシンのうち、多くのマシンがアクシデントに見舞われた今戦。フィニッシュにたどり着けなかったのは全体の34%に上った。これは、昨年のリタイアしたマシンの割合と同じだった。
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レース後の表彰式は、スパ・フランコルシャンの名物コーナーであるオー・ルージュに隣接するスパ・ラリークロス・トラックで、初めてコンサートエリアで行われた。
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SROモータースポーツ・グループは、7月28~31日までの4日間のイベント全体で延べ7万3000人の観客動員があったことを明らかにしている。