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CX-5 スイスポ セレナ ロードスター… モデル末期でも何のその!! 長く愛されている商品力抜群モデル4台とその理由

 街中でふと「あのクルマはまだ現行かぁ」と思った経験はあるだろうか? 発売から長い時間が経過しているのにも関わらず、未だに高い人気・セールスを維持している「ロングセラー車」が存在する。

 今回はデビューから時間が経過しても安定して売れ続けているCX-5、ロードスター、スイフトスポーツ、セレナを取り上げ、その「長~く愛される理由」に迫る。

※本稿は2022年6月のものです
文/斎藤 聡、渡辺陽一郎、写真/MAZDA、SUZUKI、NISSAN、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年7月10日号

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■デザイン力に脱帽/マツダ CX-5(2016年12月デビュー)

マツダ CX-5。CX-5は年次改良と特別仕様車により人気をキープ。デビューから7年が経過するが、エクステリアデザインはまったく古さを感じさせず魅力的

 現行の2代目CX-5は2016年に登場。

 初代を踏襲し基本性能のブラッシュアップが図られているだけのように見えたのだが、もしかしたらそれもマツダの戦略のひとつだったのかもしれない。

 初代のモデルチェンジサイクルはSUVとしては比較的早い5年。

 実はマツダの魂動デザインの第一弾だったこともあり、2代目は早めに進化した魂動デザインを取り入れることでマツダのデザインを定着させようと考えたのではないだろうか。

 これが結果的に魂動デザインとしての濃いつながりを保ったまま2代目にバトンタッチできたのだろう。

 2代目になってすでに6年が経過しており、それでも古さを感じさせないマツダのデザイン力には脱帽するほかないが、その一方で初代、2代目の11年間でCX-5のカタチが定着し、性能的な安心感、優れた走行性能への期待感など、ユーザーの間で「定番」としての地位を獲得。安心して買える(乗れる)クルマの一台になったのだろうと考える。

 もちろん中身も期待を裏切らない出来のよさを備えている。

 例えばマツダ復活の起爆剤となった2.2Lディーゼルターボは改良が加えられ、いよいよ軽々と吹き上がり、分厚いトルクを発揮する“気持ちいいディーゼルエンジン”に磨きがかかっているし、Gベクタリングコントロール(GVC)は4WDにも対応したGVC+を搭載。

 もともとマツダのAWDは、オンデマンド式の4WDだが、クルマのさまざまなセンサーを駆使することで、驚くほど高性能な4WDに仕上がっている。

 さらに昨年の年改でオフロード・トラクション・アシストが採用され悪路走破性がさらに向上。

 といった具合に、発売後もその進化を止めることなく、年次改良を繰り返すことで走行性能をアップデート。今買えるCX-5が最も高性能で魅力的であることが、CX-5が売れ続けている大きな理由であることは間違いない。

 CX-5の次期モデルについての情報はまだない。次期型と思われたCX-50は北米専用でマツダは、日本への導入はないと明言。現行を改良して作り続け、将来的にはCX-60に吸収される可能性もある。

(TEXT/斎藤 聡)

●年別販売台数
・2017年:3万9893台
・2018年:3万8265台
・2019年:3万0054台
・2020年:2万4210台
・2021年:2万2406台
・2022年:1万2724台

●主な改良履歴
・2017年8月…i-ACTIVSENSEの拡大採用
・2018年2月…エンジンの大幅改良ほか
・2020年12月…ディーゼルパワーアップほか
・2021年11月…フロントデザインの変更ほか

●価格情報
・新車価格:267万8500~407万5500円
・中古車相場:119.8万〜386.8万円

■手抜きのないボディ、シャシー、強力なエンジンが魅力/スズキ スイフトスポーツ(2017年9月デビュー)

スズキ スイフトスポーツ。イメージカラーは初代から一貫してイエロー。世界一黄色が似合うクルマだ!

 スイフトスポーツを走らせて驚かされるのは、その充実したパワー感。

 電子制御によって過給圧をコントロールしているためパワーがタレず、ターボパワーが高回転まで持続することだ。

 もはやエントリー向けのコンパクトスポーツとは言い難いほど力強い加速を見せてくれるのだが、受け止めるシャシーがしっかりしているので、案外あっさりとパワーを受け止めくれる。クルマが暴れて手を焼くようなことがない。

 ESP(横滑り防止装置)の介入タイミングがいいことも扱いやすい印象を強めている。

 国内ではコンパクトスポーツというと華奢な骨格のクルマがほとんどといっていいが、スイフトスポーツに関しては、ベースのスイフトの出来が世界水準であり、さらにリアのトーションビームサスペンションを専用設計するなど、驚くほどお金がかかっている。

 欧州のコンパクトスポーツをライバルに据え、操縦性からしっかり作り込まれた手抜きのないボディ、シャシー、そして強力なエンジンがスイフトの魅力になっているのだ。

 次期型スイフトスポーツは、現行同様に1.4Lターボを継承するが、モーターを組み合わせた48Vハイブリッドを採用して来年春の登場が有力。

(TEXT/斎藤 聡)

●年別販売台数
・2017年:3702台
・2018年:1万4331台
・2019年:1万1223台
・2020年:1万1777台
・2021年:1万1235台
・2022年:4582台

●主な改良履歴
・2018年7月…全方位カメラパッケージの内容充実
・2020年2月…安全装備の充実。従来オプションだったブラインドスポットモニター、標識認識機能、リアクロストラフィックアラートを標準装備化。ツートーンルーフ仕様をオプション新設

●価格情報
・新車価格:201万7400~208万8900円
・中古車相場:109万〜348.8万円

■デザインから機能まで「ミニバンらしさ」が凝縮/日産セレナ(2016年7月デビュー)

 セレナはミニバンの主力車種で、現行型は2016年に発売された。

 今年末から2023年にかけて次期型に切り替わるが、現行型の販売も堅調だ。今年1〜4月の平均登録台数は約5400台/月で、日産ではノートの次に多い。軽自動車のルークスと同等になる。

 今でも高い人気を保つ理由は、デザインから機能まで、ミニバンらしさが濃厚なことだ。

 全高は1875mmと高く、サイドウィンドウの面積も広い。外観からはミニバンらしい明るい雰囲気が感じられ、車内の広さも強調されている。

 したがって居住性も快適。標準ボディは5ナンバーだが、3ナンバー専用車になった新型ノア&ヴォクシーやステップワゴンより、広々感がある。

 身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目に座る乗員の膝先空間は、ノア&ヴォクシーが握りコブシ1つ半、ステップワゴンは2つ、セレナは2つ半で最も広い。

 セレナの2Lエンジン車はシートアレンジも多彩で、2列目の中央部分を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使える。この時には2列目の間が通路になり、車内の移動もしやすい。

 リアゲートにも特徴があり、上側だけを開閉できる。縦列駐車をした時など、ボディの後ろ側が狭い場所でも、荷物を出し入れできる。

 e-POWERも人気で、ハイブリッドながら、電気自動車の一種のように宣伝されて人気を集めた。

 このほかセレナが好調な理由として、日産の売れ筋車種が少ないことも挙げられる。今はエクストレイルがモデル末期(※記事執筆当時)だから、ミドルサイズ以上で販売が好調な車種はセレナだけだ。需要が集中して登録台数を増やした。

 セレナの台数に、ノート、ノートオーラ、キックス、ルークス、デイズを加えると、国内で売られる日産車の70%以上を占める。セレナは国内の稼ぎ頭だから、販売促進にも力が入り高い売れゆきを保っている。

 今年9月に一新される予定だったが、登場は来年春が有力。進化したe-POWER、プロパイロット2.0にアップデートして魅力倍増させて登場。

(TEXT/渡辺陽一郎)

●年別販売台数
・2016年:3万2025台
・2017年:8万4398台
・2018年:6万4541台
・2019年:9万2956台
・2020年:6万8648台
・2021年:5万8954台
・2022年:2万1773台

●主な改良履歴
・2017年11月…セレナNISMOを追加
・2018年2月…シリーズハイブリッドのe-POWER追加
・2019年8月…マイナーチェンジでデザインを一新
・2020年8月…インテリジェントFCWを全車標準化

●価格情報
・新車価格:267万8500~407万5500円
・中古車相場:83万〜431万円

■「速さ」よりも操作性が最優先されたスポーツカー/マツダ ロードスター(2015年5月デビュー)

 ロードスターの最大の魅力であり特長は、スポーツカーでありながら「速さ」の優先順位が低いということ。

 スポーツカーには憧れを含め、速さ、豪華さ、ブランドなど、さまざまな魅力や価値観があるが、ロードスターの魅力は、クルマを操っているという実感を強く感じられることだろう。

 もちろんロードスターで速く走ったり競争する楽しさはあるが、加速や最高速にとらわれることなく、クルマとの一体感を作り出すことに注力して作られている。

 その結果、乗り手は運転のしやすさ、手足のように操ることができる一体感を得ることで、クルマの楽しさを深く感じることができるのだ。

 最近の例で言えばロードスターの原点回帰ともいえる軽量モデル990Sが登場。マツダの考えるロードスターの在り方をよく表現。バランスのいい素材(クルマ)を用意して、ドライバーが思い思いに走らせ楽しむ。

 クルマ“に乗る”のではなく“を走らせる”という、ドライバーが主体で、乗り方を限定しない自由さが、ロードスターが長く支持される理由なのだろうと思う。

 ロードスターは当面現行モデルを改良しながら販売が続けられる。しかし、電動化を避けられない情勢からハイブリッドを採用する可能性は高い。

(TEXT/斎藤 聡)

●年別販売台数
・2015年:8530台
・2016年:6155台
・2017年:7021台
・2018年:5322台
・2019年:4714台
・2020年:4425台
・2021年:5384台
・2022年:3786台

●主な改良履歴
・2016年11月…リトラクタブルHTのロードスターRFを追加
・2018年6月…1.5L&2Lエンジンの改良ほか
・2019年3月…30周年記念車発売
・2021年12月…KPCを全車に採用&990Sを発表

●価格情報
・新車価格:262万3500~335万6100円
・中古車相場:126.8万〜500.8万円

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