現地時間7月2日、2022年FIA F2の第7戦シルバーストンのスプリントレース(決勝レース1)がイギリスのシルバーストン・サーキットで開催され、アルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)が初優勝を飾った。2位にはレッドブル育成で日本の岩佐歩夢(ダムス)、3位にはエンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)が続いた。
レッドブル育成から離れアルピーヌの育成ドライバーとして新たなシーズンを歩んでいるドゥーハンは、ようやく手に入れたトップチェッカーに「控えめに言っても素晴らしい気持ち」と語った。
「ラップタイムがつねに速く、今季はずっといいペースを保ってきた。初優勝をついに手に入れることができて本当にうれしい。ここ2戦はシーズン序盤のようなスイートスポットを見つけられなかったが、今回はそれが結果的に良い方向に働いたよ」
「ビルトゥジ・レーシングが素晴らしいマシンを与えてくれて僕は本当にハッピーさ。不運や僕のミスがあったり、山あり谷ありで今年は本当に大変だった。だからこそ、ようやく自分の勝利とチームのみんなが勝利を手に入れることができたと思う。本当にうれしいね。一方で今は、一貫性をキープするために前を見ているよ」
レース終盤に岩佐から受けたプレッシャーについては「コース上のウエットパッチやプッシュするタイミング、しないタイミングを見極めるのが大変だった」とドゥーハン。
「ラスト3周の時点で2〜3秒差があった。できるだけ何とかしようとしたけれど、左のリアがすでに限界で、左フロントも悲鳴を上げていたんだ。正直なところミスをしないように、ミラーを見ないように、自分のレースをするよう心がけた。ファイナルラップで2秒差がついているのを見た時、もし僕がミスをしなければ、彼が僕のすぐ後ろや5秒後ろでゴールしても問題ないと思ったよ。順位は変わらないからね。とにかくミスをしないようにマネジメントしていたのだけど、彼のペースは本当に速かった」
「(タイヤのライフを判断するのは難しかったか、と言う質問に)本当に難しい。最初の5周が決めてだったと思う。リヤにストレスをまったく与えないようにすることがキーポイントで、リアをできるだけ労ること。ドライの時よりも高いギアを入れてリヤの回転負荷をできる限り低く抑えようとしたんだ」
「水がある場所を探すためにつねに戦っていたんだ。最初の数周は誰もがイン側で水しぶきを浴び、レース後半には誰も走っていないドライラインを走ることになり、正しいラインをつねに探すことになっていたよ」
ドッグファイトでシルバーストンを盛り上げ、今季2度目の表彰台を獲得した岩佐だが、終盤はマシンバランスの悩みもあったという。
「(最後は)とても接近しました。ただ正直なところ、マシンバランスに悩まされていました。それでも速かったので悪くなかったと思います。僕もジャックと同じよう最初からタイヤをマネジメントして滑らないように集中して、ストレートも含めてリアにオーバーヒートさせないようにしていました」
「ただ、効果があまりなかったのでタイヤがどんどん悪くなっていて大変でした。もう少し早くプッシュできれば彼に追いつけたと思います。でも僕にとって良い経験になったので、今は次のレースに向けてプッシュし続けたいと思います」
「僕は最後までタイヤをマネジメントするつもりだったのですが、ジャックが残り8〜9周というかなり早くからプッシュし始めました。それで僕もプッシュし始めたのですが、少し遅かったですね。もう少し早く対応できればよかったと思います」
ここまで速さは見せるも結果がついてこなかった岩佐だが、今回の表彰台は状況を一新させるものになったという。
「これまでクルマはずっと速かったのですが、充分な結果を出せませんでした。バクーやモナコでは予選もレースもうまくいかず、自分自身で悪い流れを作っていたのです。だから今週はすべてを変えて、一歩前進するためのいい機会になったと思います。なのでこの週末の結果はとっても重要だと思います」
テオ・プルシェール(ARTグランプリ)からの猛攻を凌ぎ切ったフィッティパルディは「彼と近いペースだったので最終的に3位争いになることは分かっていた。もう少しプッシュすれば、最後の2〜3周で差を少し広げることができた。プレッシャーあったけど、うまく対処して3位フィニッシュできたと思う」とコメントした。
「(2番グリッドで何を考えていたのか、という質問に)正直なところ、ジャックと歩夢が本当に速かったので、これがベストリザルトだと思う。あのふたりには、ついていけなかったからね。3位に本当に満足しているよ、いい結果でフィニッシュできたと思う」
「チャンピオンシップのために非常に大きなポイントだ。レース全体を通して最大限の力を発揮できたと思う。スタートを考えればいいペースだった。特に僕はユアン(ダルバラ/プレマ・レーシング)を抜けたので、序盤は速すぎたと思う。その後タイヤがダメになってしまい、中盤から終盤にかけてはマネジメントが必要だった。僕たちと彼らは違うアプローチで、彼らのアプローチは結果的にうまくいったと思う」