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まさに大どんでん返し!? エスクード日本復活から考える「まさかの復活を遂げたクルマたち」

 2014年に登場したスズキのコンパクトSUVであるエスクードの現行モデルは、昨年9月に日本での販売は終了し、日本ではそのまま絶版になるのかと思われていた。

 しかし、現行エスクードはハンガリーで生産される輸入車ということもあり、海外で今年3月にハイブリッドが追加されたのに続き、日本でもハイブリッドの4WDのみという形で販売が再開されたのには驚いた方も多いだろう。

 現行エスクードのように「一度販売終了になりながら、程度はさておき空白期間の後マイナーチェンジがされるなどして販売が再開される」ということは、探してみるとごく少数ながらあり、ここではそういったモデルをピックアップしてみた。

文/永田恵一、写真/TOYOTA、MITSUBISHI、SUZUKI

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■トヨタ シエンタ初代モデル(2003年登場)

2003年に登場した初代トヨタ シエンタ。2010年10月に一度販売を終了するが、後継のパッソセッテ&ブーンルミナスの不振のため2011年5月に復活

 トヨタ シエンタの初代モデルは、コンパクトミニバンというジャンルを開拓したホンダ モビリオのフォロワー(後追い)として2003年に登場した。

 初代シエンタは車体前半が初代ヴィッツ系、車体後半は7人乗車など負荷が大きいことに対応して当時のカローラ系のプラットフォームを使うという成り立ちだった。

 スライドドアを持つ初代シエンタは面白みのまったくないコンパクトミニバンだったのは事実ながら、短時間ならまずまず実用的に使える3列目シートや3列目シートへのアクセスのしやすさ、3列目シートが床下に収納される点といった使い勝手のよさや、丸形ヘッドライトを使ったユーモラスなエクステリアなどにより、好調に売れた。

 初代シエンタは、2008年12月登場のダイハツ主導で開発されたヒンジドアとなるコンパクトミニバンであるパッソセッテ&ブーンルミナスを後継車に絶版となる計画だった。

 パッソセッテ&ブーンルミナスは、運転している分にはなかなかシッカリ走るコンパクトミニバンだった。

 しかし、パッソセッテ&ブーンルミナスはヒンジドアとなる点などコンパクトミニバンとしての使い勝手が初代シエンタに劣っていたことや、パッソセッテ&ブーンルミナスの登場からしばらくして始まったエコカー減税の対象にならかった点などを理由に販売が伸び悩んだ。

 そのため初代シエンタは2010年10月に一度販売を終了するが、2011年5月にヘッドライトの形状をスクエアなものとするなどした「DICE」の追加を中心としたマイナーチェンジを実施したうえで復活。

 結果的にシエンタとパッソセッテ&ブーンルミナスの関係は、シエンタが2015年にフルモデルチェンジして継続、パッソセッテ&ブーンルミナスが一代かぎりと、計画とは正反対のものとなった。

 結局、初代シエンタは2代目にバトンタッチするまで12年間という長期にわたって販売され、マイナーチェンジされ復活した初代シエンタは2代目シエンタに登場するまでのつなぎの役割を立派に果たした。

■三菱 ミニキャブMiEV(今秋に復活予定)

2012年12月に登場した三菱 ミニキャブMiEVトラック(バンは2011年11月登場)。2021年3月に生産を一旦終了したが、2022年1月の東京オートサロンで車中泊仕様が出展され、2022年秋の復活が明らかにされた

 ミニキャブMiEVバンとトラック(以下ミニキャブMiEV)は三菱が自社開発した軽1BOX、軽トラックという軽商用車としては最後のモデルとなったミニキャブの電気自動車仕様で、バンは2011年11月、トラックは2012年12月に登場した。

 i-MiEVの基本コンポーネンツを使ったミニキャブMiEVは、横滑り防止装置を付けやすい電気自動車にもかかわらず、最後まで横滑り防止装置が付かなかったなど、ベースとなったミニキャブの内外装を含めクルマ自体に新鮮なところはないというのが登場時からの率直な印象ではあった。

 なお、ミニキャブMiEVの初期モデルはバン/航続距離150kmの16.0kWh、同100kmの10.5kWh、トラック/同110kmの10.5kWhという走行用バッテリーを搭載していた。

 ただ、ひとつ注目したいのは価格で、バンはそれぞれ4シーターで10.5kWh/242万1000円(当時の補助金67万円により実質175万1000円)、16.0kWh/297万1000円(同93万円で実質204万1000円)、急速充電機能付のトラック/191万500円(同48万円で実質143万500円)と、確かにガソリン車の軽1BOXバンと軽トラックに対して50万円ほど高いイメージだった。

 しかし、50万円の差額は意外に燃費がよくないうえにガソリン価格も変動する軽商用車のガソリン代と、変動がほとんどないのに加えて安価な電気自動車の電気代というランニングコストにより相当縮まる可能性もあるものだった。

 また、特に地方では当時からガソリンスタンドの減少による給油のための移動という手間が指摘されていたのに対し、電気自動車は家庭で充電できるという利便性を持っていた。

 さらに戸建て住宅が多い地方なら家に充電設備を設置しやすい点、軽商用車は1回の走行距離が短いことやその動きが計画的なケースも多いという電気自動車と軽商用車の相性のよさにより、ミニキャブMiEVの商品力は高かった。

 それにもかかわらずミニキャブMiEVは商品力の高さをアピールできなかったことや、2020年あたりから補助金の減額に値下げが追いつかず、価格がバンで実質約230万円台となってしまったのも原因だったのか販売は低調で、昨年3月に生産を一度終了した。

 しかし、今年の東京オートサロンにはミニキャブMiEVバンをベースとした車中泊仕様が出展され、東京オートサロンの場で加藤社長から「今年秋に復活する」ということが明らかにされた。

 ミニキャブMiEVが復活する際には自動ブレーキなどの安全装備をはじめとしたグレードアップに加え、ガソリン車に対し競争力の高い価格も強く期待する。

■三菱 トッポ(2008年登場)

1998年から2004年まで販売された三菱 トッポBJ。これをベースとして2008年に登場した軽スーパーハイトワゴンが三菱 トッポだ

 2008年に復活した軽スーパーハイトワゴンの三菱 トッポは、ほぼ同じエクステリアでの復活ではないというちょっと特殊なケースだ。

 というのも、三菱自動車には1998年から2004年までトッポBJというヒンジドアでダイハツタントなどほどは全高の高くない軽スーパーハイトワゴンがあった。

 その後、2006年あたりから軽自動車は全体的に販売が伸び始めたのに加え、トッポBJのユーザーが代替する後継車的なモデルも必要になっていた。

 しかし、当時の三菱には完全なニューモデルとなる軽自動車を独自開発する余裕はなく、苦肉の策としてプラットフォームや外板パネルなどかなりの部分をトッポBJから流用して誕生したのがトッポだった。

 トッポは軽スーパーハイトワゴンながらトッポBJ同様に着座位置が低い点や、全体的に古さが目立つ点など、当時のタントやスズキのパレットといったライバル車に見劣りするのは事実だったが、それでも可能なかぎりの改良が施されていたことは評価できた。

トッポは大きな数ではないものの堅調に売れ、三菱の軽自動車が日産との共同開発となるまでのつなぎの役割は充分に果たしたと言えるだろう。

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