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 7月8〜10日に開催されるWEC世界耐久選手権第4戦『モンツァ6時間レース』でのデビューを前に、『プジョー9X8』はテストでの総走行距離15000kmを突破、ハイパーカークラスでの初レースに向けた「挑戦への準備」を整えた。

 プジョーはイタリア・モンツァ戦において、2台の新型ル・マン・ハイパーカー『9X8』を投入する。これにより、WECのトップカテゴリーはトヨタ、グリッケンハウス、アルピーヌを合わせた4メーカー、6台の車両によって争われることになる。

 プジョーは最近、スペインのモーターランド・アラゴンで36時間にわたる「激しい」連続耐久テストを行い、ここで9X8は目標としていた走行距離を達成、デビュー前のテストプログラムをすべて終了している。このテストには、2台の9X8を運転する6人のドライバー、それぞれの号車のエンジニア・メカニックが参加した。

 また、ここ数週間はベルサイユ・サトリーの自社施設を利用して、モンツァに特化したシミュレーターテストも行ってきた。

 グスタボ・メネゼス、ジェームス・ロシターとともに94号車プジョー9X8をドライブすることになるロイック・デュバルは、モンツァが「学びの週末」になることを予期しているという。

「チームとして、僕らはこのマシンをレースに向けて開発・準備するために、たゆまぬ努力を続けてきた。直近のアラゴンでの本格的な耐久シミュレーションは、とりわけ激しいものだった」とデュバル。

「僕らにとって、モンツァは学びの多い週末となる。ドライバーはもちろん、エンジニア、メカニック、プジョー・スポールのオペレーションも含め、まだ“レースモード”で働き始めたばかりだからね」

「ここまでともに旅をしてきて、ようやくレースができるというのは、僕らにとって大きなモチベーションになるよ」

プジョー9X8と6人のドライバー
プジョー9X8と6人のドライバー

■モンツァは「現実的に考えている」とモータースポーツ・ディレクター

 プジョーのテクニカル・ディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、「謙虚でありながら自信に満ちたアプローチ」でモンツァ戦に取り組むと語り、バックグラウンドでこれまで開発されてきた技術を、オープンでコンペティティブなシナリオへ適用していく、と述べている。

「プジョー9X8とドライバー、そしてチームは、さまざまなサーキットにおける何千キロにも及ぶテストと開発を経て、次なるチャレンジへの準備が整った」とジャンソニーはコメントしている。

「その挑戦とは、ライバルと直接競い合うレースウイークエンドの厳しい要件と要求に向き合い、トラフィックでのクルマの挙動や、さまざまな安全への対処法を学ぶことだ」

「我々のモンツァでの戦略はとてもシンプルで、謙虚でありながら自信に満ちたアプローチで、常に自分たちのベストを尽くす、ということだ」

「我々の目的は明確で、競争的な環境のなかで、9X8のあらゆる側面を、可能な限り学ぶことだ」

「他のチームやマシンとの比較はもちろんだが、何よりもレースに参加することでしか得られないデータや情報といったものを集めたいと考えている」

 プジョー9X8のパワートレーンは2.6リッターV6ツインターボエンジン、200kWを発生するフロントアクスルのモーター、Saft製のバッテリーで構成される。

 2021年12月にシェイクダウンされた9X8は、その後アラゴン、バルセロナ、ポルティマオなど複数の欧州のサーキットで徹底的なテストプログラムが行われてきた。

 この車両の5年間のホモロゲーションを確定するにあたり、プジョーは先月のル・マン24時間レースをスキップ、開発の最終段階となるサーキット走行を完了させていた。

プジョーが2022年WEC第4戦モンツァに投入する新型ル・マン・ハイパーカー『プジョー9X8』
プジョーが2022年WEC第4戦モンツァに投入する新型ル・マン・ハイパーカー『プジョー9X8』

 ステランティス・モータースポーツのディレクターを務めるジャン・マルク・フィノーは、新車で臨むモンツァでの競争力について、「現実的に考えている」と語っている。

「プジョー9X8のデビューは、我々のミッションの第1ステージの集大成である」とフィノー。

「我々は、WECとル・マン24時間の双方に挑戦するため、チーム・プジョー・トタルエナジーズの最先端技術と専門知識に基づいて、チームとル・マン・ハイパーカーを作り上げた」

「モンツァはプジョー・スポールの耐久レースにおける新しい時代の始まりであり、プジョーの優れた電動化技術を実証しながら、勝利を目指して戦うことが我々の目標だ」

「今週末のイタリアでは、このカテゴリーで豊富な経験を持つライバルに挑むことになるため、直面することになる課題について我々は現実的に考えている。だが、我々は真の決意、熱意、そして野心に突き動かされているのだ」