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 今となってはFR車は貴重な存在と言えるのだが、今買える日本車のFRは12車種も存在するのだ。その中から、ベストカーではお馴染みの自動車評論家4氏が「FRを満喫できる日本車」をそれぞれ5台選出、その魅力に触れる。マツダの新FR商品群「ラージ商品群」についても解説!

※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、鈴木直也、国沢光宏、斎藤 聡、ベストカー編集部、写真・予想CG/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月26日号

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■いまや「絶滅危惧種」のFR! 日本メーカーには12車種が存在

 FR車は長きにわたり絶滅危惧種と言われている。しかしそれは裏を返せば、現存するFR車はその駆動方式そのものが個性であり、貴重な存在とも言える。

 下のリストは現在日本で新車購入できる日本車FRをピックアップしたものだが、予想外に多くのモデルが存在していることがわかるはず。

 FR車に乗りたい、その楽しさを堪能したいと思っている読者諸兄に向け、4人の評論家が、FRの楽しさを満喫できるお薦めモデルを5台選び出し、そのうち3台についてその魅力などをレクチャーする!

※オーダーストップのクラウン、生産中止が確定的なシーマ、フーガ、スカイラインハイブリッドはリストから除外した

■松田秀士がオススメしたい国産FRモデル5台

・スバル BRZ/トヨタGR86
・レクサス IS350
・レクサス RC F
・日産 スカイライン400R
・マツダ ロードスター

 IS350(レクサス)は2020年のマイナーチェンジによってF SPORT専用モデルになったのだが、そのドライバビリティに驚く。

 注目はホイールの締結部。ナットからボルト締結にすることでボルト径を12mm→14mmにアップし、締め付けトルクも103Nm→140Nmに上げ、ホイール締結部の剛性が上がり、バンプストッピングラバーの見直しで特にコーナーへの進入で素晴らしい回頭性を見せる。

 IS Fの2ドアクーペ版ともいえるRC F(レクサス)はより俊敏なハンドリングで、V8のマルチシリンダーによるきめ細かなエンジンブレーキがコーナー進入時の減速マネージメントがひと味異なるのだ。

 400R(日産 スカイライン400R)は強大なターボパワーがリアタイヤで蹴飛ばしながらリアを沈め加速する。

 特大トルクが導くこのフィーリングはFRでないと実現できない。アクセルでクルマをコントロールする感覚だ。

■鈴木直也がオススメしたい国産FRモデル5台

・トヨタ GRスープラ SZ-R
・レクサス IS 300h
・レクサス LC 500
・マツダ ロードスター(990S)
・スバル BRZ

スープラの場合、トップモデルのRZよりも必要十分なパワーのSZ-Rのほうが万人向け

 FRの魅力というと「リアを滑らせてカウンター!」的な発想をしがちだが、平均的なドライバーには、ほどほどのパワーを使い切ったほうが楽しい。

 その究極がロードスター(できれば990S)なんだけど、コイツの楽しさは言うまでもないよね?

 世界的に見て、最もファン・トゥ・ドライブなFR。しかも、価格もお手頃なんだから完璧です。

「2シーターはちょっと…」という人には、レクサスIS 300hがお薦めだ。

 アクセルONでのパンチはいまひとつだが、ハイブリッドゆえ燃費良好で、シャシー性能も高水準。ウェルバランスのFRスポーツセダンといっていい。

 個人的には、パワフルFRの実用限界は、GRスープラSZ-Rあたりだと思う。258psのFRって、乗ってみるとすごーくスリリングですよ!

■国沢光宏がオススメしたい国産FRモデル5台

・トヨタ GR86/スバルBRZ
・トヨタ GRスープラRZ
・レクサス RC F
・レクサス LC500
・日産 スカイライン400R

 GR86/BRZ(トヨタ/スバル)は2.4LになってFRの魅力が一段と高まったように思う。

 なかでも17インチのミシュランタイヤ仕様は、どこでもいつでも簡単にパワースライドを楽しめます。ノーマルで乗るならBRZ。手を加えて楽しむなら86をすすめておく。

 スープラ(トヨタ)のハンドリング、なかなか手強い。

 横滑り防止装置をカットするとレーシングカートのようなクイックな挙動で、コントロールしようとしたら相当な練習が必要。GR86/BRZのように気軽にどこでも、という気にはなれないです。

 レクサスで一番「いいね!」と思うのがLC500

 5L、V8は何も知らずエンジン始動すると、元気いい音に驚くことだろう。アクセル踏むと、99%のクルマ好きが「楽しい!」と思うハズ。

 私はテールスライドさせるような走りをもって「素敵なFR車」と考えるが、LC500だけは普通に走って楽しい。こんなクルマはFFだと作れない。

■斎藤 聡がオススメしたい国産FRモデル5台

・トヨタ GRスープラ
・レクサス RC F
・スバル BRZ
・マツダ ロードスター
・マツダ ロードスターRF

ク…クルマがデブになっている!!!! 重量化の欠点と「軽さ」による恩恵とは?
手足のように操れる感覚はロードスターを運転している時の最高の愉悦

 BRZは2.4L水平対向4気筒を積むスバルのFRスポーツ。

高剛性ボディに2.4Lのパワフル(かつトルクフル)なエンジンを搭載したことで、コントロールの自由度がさらにアップしている。

 弱アンダーの基本に忠実なFRなので、荷重移動を意識して運転するとよりクルマが思いどおりに走ってくれる。

 ロードスター(マツダ)は絶対的な速さを評価軸の中心に置かず、クルマを操ることやドライバーとクルマとの一体感を重視して作られた『ザ・ライトウエイト2シータースポーツカー』。

 バランスのいい軽量ボディを持ち、クルマが手足のように操れる感覚が体感できる。

 一方、ロードスターRF(マツダ)はメタルトップを立てるとクローズドボディの気密性、静粛性があり快適。

 足回りがしなやかで重心の在処がわかりやすくクルマと一体のドライブ感が得られる。

■にわかに注目! どうなる? マツダのラージ商品群

 今、クルマ好きの間でにわかに注目されているのがマツダの「ラージ商品群」だ。マツダはこの先生き抜くための戦略として、プレミアム路線を打ち出しているが、それを具現化する第一弾戦略となっている。

 なぜ今の時代にFRなのか? それについてマツダでは「環境・安全への配慮を第一義としながら、スペース効率、走りを高いレベルで実現させるため」とコメント。

 基本は縦置きエンジン(直6、直4)のFRレイアウトで、4WDもFRベースとなる。その第一弾がミドルクラスSUVのCX-60で、日本でも秋から販売を開始する予定だ。

 CX-60の日本仕様は2.5L直4ガソリン、3.5L直6ディーゼル、3.3L直6ディーゼル+48Vマイルドハイブリッド、2.5L直4+PHEVという4種類のパワーユニットを搭載して登場する。

 まずはSUVからのお披露目となったラージ商品群だが、今後セダンのマツダ6の登場にも期待がかかる。

 マツダのFRセダンは2000年限りで消滅したセンティア以来となる。一見無謀にも見えるマツダの挑戦に期待したい。

マツダ ラージ商品群は当初フラッグシップセダンのマツダ6から口火を切ると思われていたが、2023年春デビューが濃厚。マツダの味付けに期待したい(画像はベストカーによる予想CG)

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