8月6日、富士スピードウェイで行われた2022年スーパーGT第4戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT100Lap RACE』の公式予選。GT300クラスでは、白熱したトップ争いが展開され、LEON PYRAMID AMGが今季初ポールポジションを獲得した。しかし、その一方でトラブルや想定外のコンディションで不完全燃焼のままQ1を敗退したチームもいた。その中から、3台の陣営に話を聞いた。
Q1B組 ノータイム:PACIFIC hololive NAC Ferrari
今大会では、木村武史とケイ・コッツォリーノのレギュラーコンビに加えて、川端伸太朗が第3ドライバーとして参戦しているPACIFIC hololive NAC Ferrari。
昨年まではアウディR8 LMSを駆りGT300クラスで活躍していた川端だが、GT3マシンに乗るのは久しぶりとのこと。さらにマシンのキャラクターもアウディとは少し異なる部分があるため、乗り始めは手探りになっていた部分もあったという。
「僕自身、GT3に乗るのは久しぶりです。今年はS耐でGT4に乗っているんですけど、GT3の車載映像を見たら『速いな!』と最初は感じましたが、いざ(実車に)乗ってみたら、問題なくいけました」
「フェラーリに乗るのは2回目なんですけど、前回に乗ったのがかなり前なので、ほぼ初めてに近い感じです。ただ長年アウディに乗ってきたので、同じミッドシップといえども、けっこう違いがあって、最初は戸惑いながら走っていましたが、ユーズドタイヤでもけっこう良いタイムが出ていたので、けっこう自信はありました」
ほぼぶっつけ本番の状態ではあるものの、すぐにマシンに対応していった川端。予選に向けて手応えを掴みつつあったが、公式練習中からトラブルが出始めていたという。
「電気系統のトラブルで、急にエンジンが切れてしまう症状でした。(公式練習で)僕が乗っている時から、ちょっと不具合が出始めて、最後に木村選手が乗っている時に完全に止まってしまいました。チームもみなさんが必死に直してくださったんですけど、Q1の残り50秒のところでようやくエンジンがかかったという状況で、アタックは間に合いませんでした。本当にみなさん一生懸命がんばってくださったんですけど、しょうがないです」
予選は未出走のまま終わってしまったため、決勝は嘆願書を提出しての出走で最後尾スタートは確実なのだが、川端は「明日は全部抜くつもりでいきたいです」と意気込みを見せていた。
Q1B組12番手:マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号
5月末の第3戦鈴鹿では、2位表彰台を獲得したマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号。今回は45kgのサクセスウェイトを背負ってのレースではあるものの、予選Q1突破を目指して、冨林勇佑がタイムアタックに臨んだ。
しかし、セッション残り5分、最終コーナーを立ち上がったところで、燃料系のトラブルが発生し、グリーンゾーンにマシンを停車。この時点で充分なタイムを記録できておらず、Q1B組は12番手で敗退となってしまった。
「まだアタックに行く前で、タイヤを温めている段階でした。最終セクターに入って『よし、アタックに行こう!』とそのまま最終コーナーに入ったら、いきなりエンジンが吹けなくなっちゃいました。ピットに戻ろうとしたんですけど、その前に止まってしまいました。原因については、まだ分かっていなくて、今チームに調べてもらっているところです」
「ちゃんとアタックができていればQ1は通れていたと思います」と肩を落としていた冨林。同じ富士スピードウェイで行われた第2戦の際には、Q2進出タイムを記録するも走路外走行をとられて、後方グリッドからのスタートとなった。その時も変則的な作戦で上位を目指したが、今回も同じように追い上げるレースをしていきたいと語った。
「決勝は追い上げるしかないので、5月の時のようなパターンになるのかなと思います。最低でもポイントは欲しいですね。ただ、今週はこれ以外も細かいトラブルが出ていたりしていてバタバタしているので、まずは無難にコツコツやっていけたらいいかなと思います」
Q1A組11番手:ARTA NSX GT3
今季は武藤英紀と新人の木村偉織のコンビで臨んでいるARTA NSX GT3。序盤の3戦を終えて、思うようなレースができていないのだが、サクセスウエイトも3kgのみということで、今回は上位に食い込んできそうな予感があった。
しかし、想定外に低くなった気温と路面温度の影響を受け、木村が担当したQ1A組では11番手に終わる結果となった。
「今回は気温が予想より大きく下がっちゃって、タイヤやマシンのセットアップを含めていろいろなことで苦戦していました。正直、公式練習を終えた段階では『Q1を通ったら奇跡だよね』という話だったので、(この結果は)予想通りではあったんですけど……もうちょっと上にはいけたかなという思いはあるので、正直残念ですね」
そう予選を振り返った木村だが、今回こそはと意気込んでいただけに、Q1敗退という結果に元気がない様子だった。
「今日に関しては気温が全てだったというところがありますけど、それでも『他に何かできることがなかったのかな?』と常に考えてしまうのがドライバーだと思うので。仕方ないのは仕方ないんですけど、悔しいですね」
ただ、決勝日は気温がいくらか上がるという予報が出ている他、今回はいつもより長い450kmのレース距離で争われる。そういった要素を駆使して、ひとつでも順位を上げていきたいと、GT300ルーキーは気合いを入れていた。
「僕たちは気温が35度くらいになるような、真夏のコンディションを想定していたので、明日は気温が上がってくれたらありがたいです」
「気温が上がって、タイヤが想定通りに発動してくれれば、クルマの感触が良いのは間違いないので、レースに関してはポジティブな気持ちになれている部分はあります。NSXはストレートも速いので、長いストレートがある富士では、確実にそれが武器になると思っています。レースも長いので、最後まで諦めずにいきたいです」