予想外の低気温条件で争われた2022年スーパーGT第4戦、富士スピードウェイでのGT500クラス公式予選は、19号車WedsSport ADVAN GR Supraの阪口晴南が、第2戦に続き富士での連続ポールポジションを獲得。チームとしても3戦連続のポール獲得となり、2番手には24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが続くなど、ヨコハマタイヤ装着車がフロントロウを占拠する結果となった。
5月末の第3戦鈴鹿以降、約2カ月のインターバルを経て迎えた第4戦は、8月の富士で100周/450キロという長丁場の1戦になることに加え、6月末から続いてきた歴代最高クラスの猛暑により、誰もが過酷なコンディションでの勝負になると予想していた。
しかし前日の金曜搬入日から静岡県御殿場市の気温は25度程度と、この週末に向け想定外の涼しさとなった上、土曜未明からの降雨の影響もあり立ち込めた濃霧でサポートレースの予選がキャンセルされるなど、レースウイーク土曜も予想外の冷涼さが続いた。
そのコンディションもなんとか改善し、スケジュールどおり午前9時から始まった公式練習は、気温22度、路面温度26度の条件で始まり、大きなアクシデントもなく1時間半の走行セッションが終了。
各陣営が持ち込んだタイヤレンジも、イベント1週間前にはスペックを確定させていることから「今日の条件に完璧にマッチした」とは言えない状況ながら、専有走行枠でタイムを更新した24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが首位に立ち、2番手には第2戦のここ富士から連続ポールポジション記録を続ける19号車WedsSport ADVAN GR Supraが続くなど、ヨコハマタイヤ勢がワンツーを占めた。
開幕序盤の3戦から全15台が僅差のタイムでひしめき合い、コンマ数秒でQ2進出が分かれる今季。公式練習から予選に向けジャンプアップする傾向の強いトヨタ勢が再び優位に立つか、ニッサン陣営ではQ1敗退が続く23号車MOTUL AUTECH Zがカットラインを突破してくるか、そしてホンダ陣営は昨季のようにここ富士で、1ラップのスピードで上位グリッドを奪うか。再び熾烈な勝負が再開された。
■Q1:GRスープラがトップ4を占める
いつもどおり午後15時からGT300クラスQ1A組による10分間のセッションが開始され、薄曇りのサーキットは気温も路面温度も21度/28度とほぼ午前と横ばいのコンディションに。
GT300クラスで車両回収が必要になった影響でGT500のQ1開始時刻が2分ディレイとなり、15時35分にピットレーン出口がグリーンになると、さらに低下していく路面温度とタイヤグリップ発動までの時間を見越してか、ほぼピットでの待機組なく全15台が順次コースへとなだれ込む。
各陣営とも計測4周目に至っても1分30秒台でホームストレート上のウィービングを繰り返す状況のなか、続く周回で14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也が1分27秒台を記録し、すぐさま100号車STANLEY NSX-GTの牧野任祐がタイムを更新していく。
その背後からはGR Supra艦隊が37号車KeePer TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズ、38号車ZENT CERUMO GR Supra石浦宏明と立て続けにトップへ。石浦はこのラップで1分27秒095とし、さらに36号車au TOM’S GR Supra坪井 翔も2番手に入り最後のアタックへと向かう。
隊列の先頭でアタックを進めていた大嶋は、計測6周目で1分27秒683と8番手に留まり、100号車牧野も自己ベスト更新を逃し7番手とすると、じっくりウォームアップを進めたWedsSport ADVAN国本雄資が1分27秒169と狙いすましたアタックで2番手に飛び込んでくる。
上位を次々とトヨタGRスープラ勢が固めていくなか、36号車au坪井はさらにタイムアップを果たし、1分27秒095と前周のZENT石浦と1000分の1秒まで同タイムを刻んでの2番手を確定。以下、WedsSport、KeePerとやはりトヨタ陣営が続き、最後のアタックで意地のジャンプアップを見せた8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺が5番手へ。
そして最後尾で今季初のQ1突破を期した23号車MOTUL AUTECHロニー・クインタレッリも、6番手の24号車リアライズに続く7番手に飛び込み、8番手でギリギリ通過を果たした12号車カルソニック IMPUL ZとともにQ2進出を達成。首位からカットラインまでなんと0.236秒差、わずか0.031秒だけ届かなかった100号車牧野以下、NSX-GTは4台がここで予選を終える厳しい展開となってしまった。
■Q2:ウェッズが3戦連続PP獲得。“3度目の正直”なるか
GT300のQ2を挟み午後16時13分開始となったQ2は、19号車WedsSportの阪口晴南を先頭に8台が順次ピットを後にし、Q1同様に入念なウォームアップで4周目まで1分30秒台を続けると、計測5周目で先頭のWedsSport阪口が1分29秒426とする。
その背後から12号車カルソニック IMPUL Zのベルトラン・バゲットが1分27秒台に入れ、38号車ZENTの”富士最速男”立川祐路が1分27秒074で変わる変わるの首位に立つ。GT500の最多ポールポジション記録を持つ立川だけに記録更新に期待が掛かったが、その直後には、ともにタイトルを獲得したかつての僚友でもある24号車リアライズの平手晃平が1分26秒台に入り、立川の前に立ち塞がる。
同じくZで間隔を空け、最後尾でアタックに入っていた23号車の松田次生は、この周回で1分27秒493で4番手となり、各車が6周目のラストアタックに突入すると、WedsSport阪口が1分26秒178の好タイムを刻み、この時点で暫定首位に躍り出る。
24号車平手はスピードトラップで最速の297.521km/h、セクター1でも全体ベストで逆転を狙ったものの、わずかに自己ベスト更新はならず。37号車KeePerの宮田莉朋も1分26秒994で3番手としたものの、ライバル勢の抵抗はここまで。
19号車がシリーズタイ記録となる3戦連続のポールポジションを獲得し、2番手にも24号車リアライズと、ヨコハマタイヤ勢がフロントロウを独占。2列目も37号車、38号車とGR Supraが固めるなど、トヨタ勢の強さも浮き彫りの予選結果となった。
明日の決勝日に向けては気温上昇とより強い日照が見込まれる予報だけに、今回の予選で選択したタイヤが序盤のスティントでどう機能するか。100周/450キロの戦略策定と各タイヤ銘柄のライフ、そして気候と路面のマッチングが、勝負の行方に大きく影響を及ぼしそうだ。