アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)のチームマネージャーであるゲイリー・ネルソンは、同チームが来年1月のロレックス・デイトナ24時間にキャデラックの新型LMDhを2台投入する可能性は低いと語った。
2021年から“IMSAミシュラン・エンデュランスカップ”でジミー・ジョンソンのためにアリーがスポンサーを務める、48号車キャデラックDPi-V.Rのキャンペーンを行っているIMSA DPiのディフェンディングチャンピオンチームは、2台目のLMDh車両を開幕戦に間に合わせるのは困難としつつ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権シーズン中のエントリーに集中するという。
また、NASCARカップシリーズで7度のチャンピオン獲得を誇るジミー・ジョンソンが、デイトナでAXRの一員になる可能性も低いと考えられている。
2023年のIMSA開幕戦デイトナ24時間に、2台の『キャデラック・プロジェクトGTPハイパーカー』を投入する可能性について尋ねられたネルソンは、業界の多くが直面しているサプライチェーンの遅延に関連して懸念を示した。
「何かが変わるかもしれない」とネルソンはSportscar365に語った。「話があるのは知っている。しかし、多くのサプライチェーンの問題があるため、48号車をデイトナに送り込むにはかなりの努力が必要だ。私の水晶玉には、それが見えないんだ」
ネルソンは、例年3月に行われるセブリング12時間レースに間に合うよう、チームが2台目のクルマを用意できるかどうかは「わからない」と述べた。
AXRと並んでキャデラックのワークス部隊として動くチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)が、WEC世界耐久選手権に投入するキャデラックの新型LMDhを“スーパーセブリング”のイベントでデビューさせる予定であることから、2023年の第1四半期はクルマの需要が依然として高いと予想される。
ネルソンは、「物事が遅れていて、サプライチェーンの問題があることを心配する一方で、突然すべてがオープンになり、すべてがうまくいくこともある」と付け加えた。
「現時点では、(開幕戦で)2台のマシンを走らせるために必要なすべてのアイテムのサプライチェーンを考えると、状況に対して変わらざるを得ないだろう」
ネルソンは、ジョンソンがチームの31号車のラインアップの一部としてデイトナに参加することは「考えられない」と述べたが、NASCARのスターであるチェイス・エリオットが2021年のデイトナで、ウェーレンがメインスポンサーを務める31号車キャデラックDPi-V.Rの第4ドライバーとして参加したことを挙げ、これを完全には否定はしていない。
「我々のコアドライビンググループは、ふたりのフルタイムドライバーと、ひとりの耐久ドライバーになるだろう。4人目のドライバーにとってのチャンスはデイトナだけだ」と同氏は述べている。
■チームの立場上、コンウェイ、可夢偉、ロペスの起用が難しくなった
デイトナのグリッドにAXRのマシンが1台しかいない場合でも、少なくともひとりのドライバー交代が予想されている。その背景にはトヨタのWEC参戦ドライバーが、来年キャデラックのワークスチームに昇格するAXRに貸与される可能性が低いことがある。
現在、AXRの31号車ではマイク・コンウェイがエンデュランスカップのサードドライバーを務めている。同じくTOYOTA GAZOO Racingのハイパーカーをドライブする小林可夢偉とホセ-マリア・ロペスは、48号車キャデラックのラインアップの一員だ。
ネルソンはSportscar365に対し、「トヨタの人たちとは素晴らしい関係にある」と語った。
「我々はキャデラックのファクトリーチームに移行しているので、まだ少し整理しなければならない。私はこのプログラムを我々のやり方どおりに維持するためには、やるべきことがたくさんあるという前提で物事を進めている」
「マイクも可夢偉も、そしてホセ-マリアも、私たちは彼らのことを愛している。彼らは本当に素晴らしい人たちだ」
ネルソンは、2023年シーズンに向けてのドライバーの話し合いはすでに「かなり進んでいる」と語った。
「もっと時間が経たないと、その質問に答えるのは難しい」と彼は言う。「私たちはそれについてとても楽しみにしている」