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2周目にまさかのクラッシュ!
最後まであきらめずにチェッカーを目指した

#17
作本輝介/渡辺一馬/羽田太河
予選:4番手(best:2分06秒393 ave:2分06秒598)
TOP10トライアル:7番手(2分06秒668)
決勝:37位

 鈴鹿8耐が、3年振りに三重県・鈴鹿サーキットで開催された。コロナ禍のために2020年、2021年は中止となっていたため、2020年に誕生したSI Racingにとっては、初めての鈴鹿8耐となる。

 Astemo Honda Dream SI Racingは、全日本ロードレース選手権を戦う作本輝介、渡辺一馬に加え、今シーズンからAstemo SI Racing with Thai HondaからARRC ASB1000を戦っているパサウィット・ティティワララックを起用する計画もあったが、全日本ST600クラスを戦っている羽田太河を迎えて戦うことになった。

 6月、7月と、それぞれ2日間、テスト走行があり、順調にマシンセットを進め、3人ともアベレージスピードを上げてきていた。今回は、火曜日、水曜日にテストセッションが組み込まれており、長いレースウイークとなっていた。テストセッションは両日とも厳しい暑さに見舞われ、決勝を見据えたセットを詰めていく。

 金曜日に行われた公式予選は、波乱の展開となった。ライダーブルーの作本、ライダーイエローの渡辺は、順調にタイムを出していくが、ライダーレッドのセッションは、2回とも開始直後に雨が降り出してしまい、リスクのあるなかでのタイムアタックとなるが、17人ものライダーがトップから108%タイムをクリアできなかった。

 そのなかに、羽田も含まれており、ふたりで決勝を走らざるを得ない状況になる可能性があった。しかし、翌日に救済措置が取られ、決勝を走れることになっていた。予選は4番手につけ、土曜日のトップ10トライアルに進出した。

 トップ10トライアルは、ふたりのライダーがそれぞれ1周のアタックを行い、タイム順でグリッドが決まるが、今回は天候が不安定ということもあり40分間の計時で行われた。ここでは、前日のタイムを更新できず7番手とポジションは落としてしまったが、そこは耐久レース。大きな問題ではなく、決勝に向けて、さらに調子を上げてきていたのだが…。

 曇り空から晴れ間が広がり、真夏の暑さのなか、スタート時刻が迫って来る。スタートライダーは作本が担当。マシンにライダーが駆け寄るル・マン式スタートでレースが始まる。

 作本は、スタート直後に、やや振られるものの、うまくスタートを切り、6番手で1コーナーに⼊っていく。2周目には5番手に上がりトップグループに加わる走りを見せていたが、2周目の200Rからスプーンカーブ進入で痛恨の転倒。作本のマシンが前を走っていたライダーに接触するアクシデントになってしまいセーフティカーが導入される。マシンは回収され、ピットに戻ってくる。チームはすぐに修復にかかるがマシンのダメージは予想以上に大きかった。

 スタートから2時間が経過するころ懸命の作業によってリスタートを切る。ライダーは渡辺が出ていくが、修復しきれていない部分があったため、すぐにピットに戻ってくる。その後、渡辺が指摘した部分も、しっかり直し、再び渡辺がコースイン。その後は、羽田、作本と2スティントずつ走り、最後は渡辺が3スティント目をこなしてチェッカーフラッグを受けた。

2022鈴鹿8耐 マシンに乗り込む羽田太河(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022鈴鹿8耐 マシンに乗り込む羽田太河(Astemo Honda Dream SI Racing)

伊藤真⼀チーム監督

「準備期間から含めてチームのみんなも頑張りましたし、Astemoさんにも鈴鹿8耐に向け強力にバックアップをいただいて、マシンもいろいろな部分で仕上がりがよく、表彰台獲得に向けた手応えを感じていました。作本には、世界のライダーと走るいい機会だったのでスタートを任せました。まさに、そのような展開になったのですが⼀瞬のミスで転倒していまいました。攻めた結果なので仕方がないですが、巻き込んでしまったSDG Honda Racingの皆さんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。あらためてお詫びいたします。再スタート後は、スタッフの頑張りもあり、しっかりチェッカーを受けられました。応援してくださった皆さん、ありがとうございました」

作本輝介

「まずは、転倒に巻き込んでしまったSDG Honda Racingの皆さんにお詫びいたします。浦本選手に大きなケガがなかったのは不幸中の幸いでした。チームも鈴鹿8耐に向けて、たくさん準備してくださり、万全の体制で挑ませてくれたのですがボクのミスで2周目という序盤でレースを終える結果になってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。懸命にマシンを修復してくれて再スタートさせていただき、本当に感謝しています。応援してくださった皆さんの期待にも応えられず悔しいレースになりました。シーズン後半戦でいい結果をご報告できるように精一杯走ります」

羽田太河

「Astemo Honda Dream SI Racingで鈴鹿8耐を走れたことを感謝いたします。長いレースウイークの間に、様々な経験ができました。結果は残念でしたが、攻めた結果ですし、これがレースだと思います。公式予選では、コンディションに翻弄されましたが、自分自身の役目は果たすことができたと思いますし、1000ccのバイクを長い時間走らせる機会をいただき勉強になりました。この経験を今後のレース活動に活かしていきたいと思います。ありがとうございました」

渡辺一馬

「事前テストから金曜、土曜とマシンセットを含めて順調にきていましたし、3人ともタイムも出せていました。自分たちの持っているペースに自信もありましたし、表彰台を狙える位置にいましたし、いいレースができるとチームのみんなが思っていました。実際、スタートからいい走りをしてくれましたし、序盤での転倒は残念でしたが攻めた結果です。その後、チームはマシンをしっかり修復してくれたので、残りの時間を走り切ることができました。結果は残念でしたが、得るものも多かったレースでした。この経験をシーズン後半戦に活かしていきたいですね」

2022鈴鹿8耐 ピットインで情報交換する羽田太河と渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022鈴鹿8耐 ピットインで情報交換する羽田太河と渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022鈴鹿8耐 Astemo Honda Dream SI Racing
2022鈴鹿8耐 Astemo Honda Dream SI Racing