7月9日、2022年FIA F2第8戦シュピールベルクのスプリントレース(決勝レース1)がオーストリアのレッドブルリンクで開催され、マーカス・アームストロング(ハイテックGP)がポール・トゥ・ウインで今季2勝目を飾った。日本勢の岩佐歩夢(ダムス)は8位で1ポイントを獲得。一方、佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)はリタイアとなった。
第8戦の決勝レース1のグリッドは、8日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、予選で10番手タイムを記録したアームストロングポールシッターとなった。
フロントロウ2番グリッドにザウバー育成のテオ・プルシェール(ARTグランプリ)が並び、セカンドロウ3番グリッドにリチャード・フェルシュフォー(トライデント)、4番グリッドにアルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)、3列目5番グリッドにシリーズランキングトップのフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、同じく3列目の6番手から岩佐が、そして佐藤が17番手で続いた。
なお、予選で6番手タイムを記録したアムーリ・コルデール(ファン・アメルスフォールト・レーシング)は、前戦となった第7戦シルバーストンで出場停止処分を受けたため、第6戦バクーでの接触行為に起因する3グリッド降格ペナルティが本レースで適用され、7番手からスタートを迎えることとなった。
フォーメーションラップで14番手スタートのリアム・ローソン(カーリン)が始動できず、無念のピットスタートとなるなか、気温21度、路面温度34度というドライコンディションのもと、28周の決勝レース1はスタートを迎えた。
ターン1は大きな混乱もなく。しかし、ターン2で岩佐と8番手スタートのローガン・サージェント(カーリン)がサイド・バイ・サイドとなり、立ち上がりでユーリ・ビップス(ハイテックGP)とサージェントにかわされ、岩佐は8番手に後退。また、同じくターン2ではフェルシュフォーが5番手に後退する一方、ドゥーハンが3番手、ドルゴヴィッチが4番手に浮上する。
そんななか、マシントラブルか、2周終了のところで佐藤がピットイン。ここでレースを終えることとなった。
3周目にDRS使用可能となるが、アームストロングは1分17秒前半をキープし、2番手のプルシェールとの差を1秒以上に広げる。そんななか、7周目にビップスがフェルシュフォーをかわし5番手に浮上。ただ、トップから8番手岩佐までが8.6秒差という僅差、各所でテール・トゥ・ノーズの戦いが繰り広げられるなか、レースは9周目を迎えた。
9周目、4番手につけるドルゴヴィッチが1分17秒328とファステストラップを更新し、ドゥーハンの背後に接近する。一方、フェルシュフォー、サージェント、岩佐の3台による6番手争いも接近戦を繰り広げるも、後半を見据えて各車タイヤを温存か、なかなか順位変動までには至らない。
そんななか、12周目にローソンがターン2のコースサイドにマシンを止め、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入される。しかし、VSC導入直後にローソンは再スタートに成功。しかし、スロー走行となり、自走でピットロードに戻るとマシンを降りている。
VSCは13周目に解除されたが、VSC導入前にサージェントの背後1秒以内煮つけていた岩佐が、VSC解除後は2.4秒と大きくギャップを開けられることとなり、背後にはフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)が接近。しかし、そのベスティはトラックリミット違反を重ねたことで5秒のタイムペナルティが課せられることとなった。
16周目にベスティは自己ベストを更新し、岩佐のDRS圏内の0.5秒差まで接近する。しかし、岩佐はDRSが使えない状況でセクター3自己ベストを更新する走りで、17周目にはその差を1秒まで広げることに成功。さらに、7番手サージェントとのギャップを1.5秒まで詰める走りを見せる。
レースは折り返しとなる19周目を終えると、トップのアームストロングと2番手プルシェールのギャップは1.9秒まで広がる。そんななか、フェルシュフォー、サージェントの2台が1分18秒台とペースを落とすと、岩佐は21周目にサージェントのDRS圏内に到達。
徐々にタイヤのデグラデーションが強まるなか、21周目にセクター1自己ベストを更新する走りでサージェントとの間合いを詰める。そんななか、残り5周となった24周目にドゥーハンがプルシェールの背後0.2秒まで接近する。
26周目、岩佐がセクター1全体ベストを更新。しかし、6番手フェルシュフォーを先頭に6台が数珠繋ぎとなる隊列となり、岩佐はなかなかオーバーテイクには至らない。
27周目にはロベルト・メリ(カンポス・レーシング)がコースサイドにマシンを止めた。コレにより、セクター1にイエローが振られるなか、スタートから終始ライバルを寄せ付けない走りを見せたアームストロングがトップチェッカーを受け、今季2勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。
終盤も好バトルが繰り広げられた2位には、ポジションを守り切ったプルシェールが、そして3位にドゥーハンが続いた。なお、プルシェールを含む数名にレース後、走路外走行に関する審議が行われるとしている。岩佐は8位でチェッカーを受け、1ポイントを獲得している。
続く、FIA F2第8戦シュピールベルクのフィーチャーレース(決勝レース2)は10日の10時5分(日本時間17時5分)から行われる。
■FIA F2第8戦シュピールベルク スプリントレース(決勝レース1)暫定結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | M.アームストロング | ハイテックGP | 28Laps |
2 | 10 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 1.098 |
3 | 3 | J.ドゥーハン | ビルトゥジ・レーシング | 2.169 |
4 | 11 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 5.053 |
5 | 8 | J.ビップス | ハイテックGP | 11.972 |
6 | 20 | R.フェルシュフォー | トライデント | 14.832 |
7 | 6 | L.サージェント | カーリン | 15.291 |
8 | 17 | 岩佐歩夢 | ダムス | 15.891 |
9 | 22 | E.フィッティパルディ | チャロウズ・レーシング・システム | 17.538 |
10 | 1 | D.ハウガー | プレマ・レーシング | 19.337 |
11 | 2 | J.ダルバラ | プレマ・レーシング | 21.644 |
12 | 9 | F.ベスティ | ARTグランプリ | 22.036 |
13 | 16 | R.ニッサニー | ダムス | 31.700 |
14 | 21 | C.ウィリアムズ | トライデント | 34.565 |
15 | 12 | C.ノバラック | MPモータースポーツ | 38.673 |
16 | 25 | A.コルデール | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 40.121 |
17 | 24 | J.ヒューズ | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 40.245 |
18 | 14 | O.コルドウェル | カンポス・レーシング | 53.559 |
19 | 15 | R.メリ | カンポス・レーシング | 2Laps |
– | 23 | C.ボリュクバシ | チャロウズ・レーシング・システム | DNF |
– | 5 | L.ローソン | カーリン | DNF |
– | 4 | 佐藤万璃音 | ビルトゥジ・レーシング | DNF |