2022年WEC世界耐久選手権第4戦『モンツァ6時間レース』では、LMP1ノンハイブリッド車両でハイパーカークラスに特認参戦しているアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)がトップチェッカーを受け、ライバルであるトヨタGR010ハイブリッドの8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)にわずか2.7秒差で勝利した。
モンツァ戦でアルピーヌ36号車のスタートと最終スティントを担当したバキシビエールは、トヨタとの僅差の争いを「本当に楽しかった」と振り返った。
レースは中盤に導入されたセーフティカーにより各車のギャップがリセットされ、その後左側2輪交換や4輪交換など異なる作戦を採るトヨタ2台と、アルピーヌが接近戦を繰り広げることに。
何度もトヨタ8号車にアタックを仕掛けたラピエールから、4時間30分経過時点でステアリングを引き継いだバキシビエールは、同時にピットアウトした8号車平川亮にアウトラップでオーバーテイクを許してしまう。
しかしラピエールと同様、ここからバキシビエールは平川を攻め立てる。車重が軽くコーナーが速いアルピーヌの利を活かし、最終コーナー進入で平川を攻略したバキシビエールは、次の周には首位を走るトヨタ7号車の小林可夢偉に迫っていった。
このとき、ホームストレート後半でトヨタ7号車の右リヤとアルピーヌ36号車の左フロントが接触。36号車が走行を続けられた一方で、7号車は右リヤを大きく破損しピットへと向かった。
そんな波乱の展開にも、「これらのバトルは、とても楽しかった」とバキシビエールは言う。
「これは、僕らがずっと見たかったものだ」
バキシビエールは、90秒ストップというペナルティが科せられた可夢偉の動きについて、「ちょっとやりすぎ」と述べたが、「素晴らしいレースで、素晴らしい戦いだった。みんな同じようなラップタイムだったが、それぞれが違うやり方でそれを刻んでいた。とても楽しめたよ」と振り返る。
「スタートではプジョーも背後にいたし、ハイパーカーたちが一堂に会するのは本当に素晴らしいことだ」
「そして、僕らは戦略もピットストップも完璧だった。本当にスマートだったので、この上なく幸せだ。このレースは、チーム全員とチームメイト全員にとって、良い勝利となった」
第1戦セブリング1000マイルレース以来、今季2勝目を挙げたアルピーヌの3人は、ハイパーカーのドライバー選手権におけるリードを拡大し、残り2レースを迎える。