6月12日、2022年FIA F2第6戦バクーのフィーチャーレース(決勝レース2)がアゼルバイジャンのバクー市街地サーキットで開催され、レッドブル育成のデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)が今季2勝目を飾った。日本勢の佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は粘りの走りをみせ8位、岩佐歩夢(ダムス)は接触もあり14位でチェッカーを受けた。
第6戦の決勝レース2のグリッドは、10日に行われた予選タイム順で決定され、予選で最速タイムをマークしたレッドブル育成のユーリ・ビップス(ハイテックGP)がポールシッターとなった。フロントロウ2番グリッドにリアム・ローソン(カーリン)が、セカンドロウ3番グリッドにハウガーが続き、レッドブル育成ドライバーが3番手までを独占。
4番グリッドにマーカス・アームストロング(ハイテックGP)、5番グリッドにランキングトップのフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)が、6番グリッドにリチャード・フェルシュフォー(トライデント)が続いた。予選でクラッシュを喫した岩佐は13番グリッドから、そして佐藤は15番グリッドからスタートを迎えることとなった。
なお、11日に行われた決勝レース1のファイナルラップのターン1でカラン・ウィリアムズ(トライデント)に追突し、その後の多重アクシデントの要因を作ったとしてラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)に対し3グリッド降格ペナルティが課せられることになり、予選で18番手タイムを記録したボシュングは21番手からのスタートへと変わった。
現地時間11時10分(日本時間16時10分)よりフォーメーションラップが行われ、気温24度、路面温度42度、と昨日に続き、気温・路温ともに高めのコンディションのもと、29周もしくは60分+1周の決勝レース2はスタートを迎えた。
ポールスタートのビップスがホールショットを守る。ターン2でフェルシュフォーがドルゴヴィッチを攻略し5番手に浮上。しかし、続く、ターン3でローガン・サージェント(カーリン)がドルゴヴィッチを、そしてターン4でフェルシュフォーを攻略し5番手に浮上している。
そんななか、ターン4で18番手スタートのアムーリ・コルデール(ファン・アメルスフォールト・レーシング)と22番手スタートのオリ・コルドウェル(カンポス・レーシング)が接触。2台とも車両を止めたことで、セーフティカー(SC)が導入されることに。一方、レース1ウイナーのフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)がスタートできず、ピットからのスタートを強いられることに。
ビップス、ローソン、アームストロング、ハウガー、サージェント、フェルシュフォー、ドルゴヴィッチ、テオ・プルシェール(ARTグランプリ)、ジェイク・ヒューズ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)のトップ10オーダーで、5周目にレース再開を迎えた。ホームストレートで2番手アームストロングがローソンに並びかけるも、ここはローソンが守り切る。その直後には、岩佐がチームメイトのロイ・ニッサニー(ダムス)をかわして12番にポジションを上げている。
7周目よりDRS使用可能となったが、ビップスは6周目に、この時点でのファステストラップとなる1分53秒313を記録し、ローソンとのギャップを1.5秒に広げることに成功。一方、ローソンとアームストロングは0.3秒差のなかで激しいポジション争いを繰り広げる。
8周目には岩佐とダルバラが、9周目にはローソン、ハウガー、フェルシュフォーがピットインし、それぞれミディアムタイヤに交換。そんななか、ローソンはピットロスでハウガーに先行を許してしまう。続く9周目に首位ビップスとドルゴヴィッチがピットイン。その間にローソンがポジションを取り戻すべくダルバラとテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げることに。
10周目にアームストロングがピットを終えると、ビップスの前でコース復帰。実質の首位におどり出ることとなったが、翌11周目にビップスが首位の座を取り戻す。上位勢の緊迫した接戦が続くなか、12周目のターン2でニッサニーとジェム・ボリュクバシ(チャロウズ・レーシング・システム)が接触。2台ともウォールバリアに接触し、コース上にマシンを止めたためこのレース2度目のSCが導入されることとなった。
なお、このSC導入中にミディアムスタートだったボシュングがピットイン。ミディアムからスーパーソフトに変え、残り17周をスーパーソフトで走り切るという作戦を選択し、11番手でコースに復帰を果たした。
レースは後半に差し掛かった15周目に、この時点で唯一ピットを終えていなかったウイリアムズを先頭に2度目のリスタートを迎えた。しかし、ウイリアムズのリスタートのタイミングが遅く、後続は混乱。その渦中でローソンがプルシェールに、そして岩佐がヒューズに接触。またターン2でジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)がローソンと接触、さらに実質2番手のアームストロングがターン4でチームメイトのビップスと接触するなど、再開直後にアクシデントが多発し、15周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。
これらのアクシデントでリタイアは出なかったものの、当事者となった車両はピットでの修復やタイヤ交換を強いられ順位を下げることに。一方、粘りの走りを続けていた佐藤が11番手に浮上している。
17周目にVSC解除となると、ウイリアムズを先頭にビップス、ハウガー、サージェント、ドルゴヴィッチのオーダーに。最後までピットを遅らせ首位を走行していたウイリアムズだが、18周のターン2でオーバーシュート。これでビップスが首位に返り咲く。
首位の座を守るビップスに対し、ハウガーは1秒弱まで接近するもDRS圏内にはなかなか入ることができない。しかし、22周目にハウガーが0.7秒差まで接近する。その翌周の23周目、ターン8で首位のビップスが左フロントをウォールに引っ掛けるかたちで単独クラッシュ。このまさかのアクシデントにより、残り時間8分のところで3度目のセーフティカーが導入される。
最大延長時間の60分まで残り時間もわずかということで、SC先導のままレースは26周目にチェッカーを迎え、ハウガーが優勝。ハウガーにとって今季2勝目、そしてFIA F2フューチャーレース初勝利を飾った。2位にサージェント、3位にドルゴヴィッチが続いた。
日本勢の佐藤は粘りの走り9番手でチェッカーを受けるも、ドゥーハンに5秒のタイムペナルティが課されたことで、8位に繰り上がりとなり、4ポイントを獲得。接触のあった岩佐は14位でチェッカーとなった。
次戦となる第7戦シルバーストンは、7月1〜3日にイギリスのシルバーストン・サーキットで行われる。
■FIA F2第6戦バクー フィーチャーレース(決勝レース2) 暫定結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | D.ハウガー | プレマ・レーシング | 26Laps |
2 | 6 | L.サージェント | カーリン | 0.492 |
3 | 11 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 0.946 |
4 | 2 | J.ダルバラ | プレマ・レーシング | 1.664 |
5 | 20 | R.フェルシュフォー | トライデント | 2.776 |
6 | 22 | E.フィッティパルディ | チャロウズ・レーシング・システム | 2.970 |
7 | 9 | F.ベスティ | ARTグランプリ | 3.149 |
8 | 4 | 佐藤万璃音 | ビルトゥジ・レーシング | 4.791 |
9 | 15 | R.ボシュング | カンポス・レーシング | 4.911 |
10 | 24 | J.ヒューズ | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 5.263 |
11 | 10 | T.プルシェール | ARTグランプリ | 5.307 |
12 | 7 | M.アームストロング | ハイテックGP | 6.015 |
13 | 3 | J.ドゥーハン | ビルトゥジ・レーシング | 6.902 |
14 | 17 | 岩佐歩夢 | ダムス | 7.279 |
15 | 5 | L.ローソン | カーリン | 11.575 |
16 | 21 | C.ウィリアムズ | トライデント | 12.198 |
– | 8 | J.ビップス | ハイテックGP | DNF |
– | 16 | R.ニッサニー | ダムス | DNF |
– | 23 | C.ボリュクバシ | チャロウズ・レーシング・システム | DNF |
– | 12 | C.ノバラック | MPモータースポーツ | DNF |
– | 25 | A.コルデール | ファン・アメルスフォールト・レーシング | DNF |
– | 14 | O.コルドウェル | カンポス・レーシング | DNF |