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ル・マンが沸いた! ブエミはスイス人ドライバーとしての最多勝記録を更新、ハートレーもニュージーランド人最多勝ドライバーに!! 

2022年6月12日(日)、フランス ル・マンのサルト・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦 第90回ル・マン24時間の決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)のGR010 HYBRIDが1-2フィニッシュ。2018年の初優勝以来5連覇を達成した。今年のル・マン24時間はレース全体を通して好天に恵まれ、一時、部分的な低速走行区間(以下 スローゾーン)があったものの、セーフティカー出動は1回のみと波乱の少ない、クリーンなレースとなった。

セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の3名が駆るGR010 HYBRID 8号車はポールポジションでのスタートから完璧なレースで380周を走破し、現地時間午後4時、スタンドを埋め尽くした熱狂的なファンが見守る中、トップでチェッカーを受けた。

昨年の勝者である小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は8号車から遅れること2分1秒222の2位でフィニッシュ。TGRはル・マンで4度目の1-2フィニッシュを果たした。

ブエミはこの勝利で自身のル・マン通算優勝記録を4回へと伸ばし、スイス人ドライバーとしての最多勝記録を更新。ハートレーも自身3度目の勝利でニュージーランド人の最多勝ドライバーになった。平川は3度目のル・マン挑戦、TGRのメンバーとしては初めてのル・マンで見事に総合優勝を勝ち取り、日本人ドライバーとして表彰台中央に上った5人目のドライバーとなった。2台のハイパーカー GR010 HYBRIDは、コース上の混雑やスローゾーン、コース条件の変化などに見舞われる中、何度も互いの順位を入れ替えながら、僅差での首位争いを繰り広げた。

TGRの2台による数秒差での首位争いは、16時間にも及んだ。しかし、256周目に首位を走行していたロペスの7号車がフロントモーター関連の電装系トラブルに見舞われたことで、このバトルは終焉を迎えた。一旦はコース脇に車両を停めたロペスでしたが、システム再起動で走行を再開しピットイン。さらなる再起動作業などでこのトラブルを解決した7号車はそれまでのスピードを取り戻したが、このタイムロスにより、首位に立ったハートレーの8号車からは約1周分の差をつけられてしまった。

車両性能が拮抗した2台においてこの差はあまりに大きく、ロペスは最後の30分に、最速ラップを叩き出す走りで追い上げたものの、再び追いつくまでには到らなかった。


9日(木)のハイパーポールで、最終盤にドラマティックな逆転アタックを見せてポールポジションを獲得したハートレーが、8号車の最終走者を担当し、第90回ル・マン24時間レースの栄光のチェッカーをトップで受けた。ロペスの7号車がこれに続き、計5,177kmもの長い戦いをTGRの2台は同一周回の1-2で走り抜いた。

WECのシーズン選手権争いでは、他のレースの倍のポイントを獲得できるル・マンで1-2フィニッシュを果たしたことで、TGRはマニュファクチャラーズランキングで2位のアルピーヌに22ポイント差をつける首位に浮上。ドライバーズポイントでも、8号車の3人は首位のアルピーヌ36号車に3ポイント差の2位と大きく躍進、7号車の3人は首位と20ポイント差の4位につけている。

チームはル・マン5連覇の喜びもつかの間に、2022年シーズンの世界チャンピオンをかけた戦いを続けるべく、7月10日(日)に行われる第4戦、イタリア・モンツァでの6時間レースに臨む!

◆豊田章男氏(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー)
8号車のみんな優勝おめでとう! 7号車のみんなもワンツーフィニッシュをありがとう! 今回のル・マンは終始ワンツーを走ったレースでした。しかし、ドライバーたちは気持ち良く走り続けられたわけではありません。
むしろ、気持ちをすり減らしながら走ってくれていたと思います。スタートから16時間経つまで、2台に大きなトラブルはなく、数秒の差で競り合っていました。長く競り合えたのは2台が同じレベルにつくり上げられ、ノートラブルで走れていたからです。ドライバーたちもこのことに感謝してくれていました。

一方で、同じチームの2台が、長い間競り合うことはドライバーにとって大きな負担だったと思います。本当に大変だったと思いますが、ドライバーたちは素晴らしい戦いを続けてくれました。6人に感謝したいと思います。しかし、その後、我々のクルマづくりが至らなかったせいで、競り合いを終わらせてしまいました。残り8時間という時に7号車が路上でストップしました。再び走り出せましたが、これによってドライバーたちは「いつ止まるかもわからない」という想いと共に走らざるを得なくなってしまいます。極限の想いをしながら戦いを続けてくれるドライバーたちに申し訳ない気持ちになりました。最後までクルマを走らせ続けてくれて、みんな本当にありがとう。

可夢偉は、これに加えてチーム代表という役割も背負っての戦いでした。代表として上に立つのではなく、自らが現場に降りてエンジニアやメカニックたちと話し、みんなから出てくる課題に向き合ってくれていると聞きました。まだすべてのメンバーと気持ちが通じ合うまでにはいかず、チームづくりは道半ばと言っていましたが徐々にチームは変わってきていると思います。代表としての仕事にも全力であたってくれてありがとう。

だけど今回、ドライバーとしては本当に悔しかったし、勝ちたかったという気持ちもわかります。終盤の可夢偉がファステストを出し、最後にホセがそれを塗り替えて…ゴール目前の7号車は不思議と速いクルマになっていました。8号車に早く無事にゴールしてほしいという気持ちもありながら…もう一度7号車に追いついてほしい…私でさえ、そんな気持ちにさせられました。最後まで勝利にこだわって走り続けてくれてありがとう。

ドライバーと代表の兼務は、複雑な気持ちになる役割だと思います。ですが、こうして2台が最後までフェアに戦ってくれていたのも可夢偉がチーム代表でいてくれているおかげだと思っています。大変な役割を本当にありがとう。今までとは違う役割を持った一貴と可夢偉が揃って表彰台に立つ姿も見られてとても嬉しく思いました。

クルマづくりもチームづくりも終わりのない戦いです。二人には、これからもチームを、よろしく頼みます。そして可夢偉は引き続き、ドライバーとしてもよろしくお願いします。TOYOTA GAZOO Racingはル・マンを5回連続で勝利することができました。多くのファンとパートナーの皆様が一緒に戦い続けてくださるおかげです。皆さま、ありがとうございます。引き続き、ご声援、ご支援をよろしくお願いいたします。

◆WEC第3戦ル・マン24時間 決勝最終結果(総合順位)
 1位=No.8:セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮(TOYOTA GAZOO Racing。車種=トヨタ GR010 HYBRID)/380周回/ベストタイム=――
 2位=No.7:マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス(TOYOTA GAZOO Racing。車種=トヨタ GR010 HYBRID)/380周回/ベストタイム=2:01.222
 3位=No.709:ライアン・ブリスコー、リチャード・ウェストブルック、フランク・マイルー(グリッケンハウス・レーシング。車種=グリッケンハウス 007 LMH)/375周回/ベストタイム=5Laps
 4位=No.708:オリビエ・プラ、ロマン・デュマ、ルイス・フェリペ・デラーニ(グリッケンハウス・レーシング。車種=グリッケンハウス 007 LMH)/370周回 /ベストタイム=10Laps
 5位=No.38:ロベルト・ゴンザレス、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、ウィル・スティーブンス(JOTA。車種=Oreca 07-Gibson)/369周回/ベストタイム=11 Laps

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