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 WorldRX世界ラリークロス選手権の登竜門でもあるFIAヨーロピアン・ラリークロス・チャンピオンシップ(EuroRX1)で、2021年にチャンピオンを獲得したアンドレアス・バッケルドが、今季も同クラスでの「未完のビジネス」完遂に向け始動。自身が3年前にもステアリングを握ったアウディS1 EKS RXクワトロで、第2戦のスウェーデンと第3戦の地元ノルウェー戦に出場すると表明した。

 また、WorldRXで4度のタイトル獲得経験を持つ“絶対王者”ヨハン・クリストファーソンも、電動化初年度を前に地元の“聖地”ホーリエス戦で内燃機関搭載の愛機フォルクスワーゲン・ポロGTIをドライブし、強豪25台が集結するEuroRX1でのひと暴れを誓った。

 2011年と2012年に当時のスーパー1600(現在のEuroRX3)でタイトルを獲得したバッケルドは、その後のステップアップを経てWorldRX通算7勝を記録。昨季は開幕直前にESモータースポーツのシュコダをドライブする契約を得て、そのままEuroRX1で初の王座を手にした。

 現在30歳を迎えたバッケルドだが、2022年シーズンに向けてはすでに北米の『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NitroRX)』参戦を表明し、新たにドレイヤー&レインボールド・レーシング(DRR)に加入。こちらも今季創設のフルエレクトリックSUVによる『グループEクラス』への挑戦が決まっている。

 その活動と並行し、ふたたびEuroRX1の舞台に舞い戻ったバッケルドは、世界戦通算7勝のうち6勝をともにしたEKSと合流。7月2~3日のホーリエス戦と、8月13~14日の地元ヘル戦に向け、アウディのシートを確保した。

「昨年も同じことを言ったけど、改めてもう一度言うよ。この世界にいてホーリエスで走る機会を逃すなんてことは考えられないよ! かつて他の人たちが僕なしのイベントで、コース上で楽しんでいるのを見るのはとても困難だったからね」と語ったバッケルド。

「だからこそ、今季の“マジック・ウイークエンド”に出場する方法を見つけなければならないと思っていた。僕を支えてくれている数多くのパートナーのおかげでこれが実現できたし、とくに元チームメイトのマティアス・エクストローム(EKSチームオーナーで2016年のWorldRXチャンピオン)に感謝する必要がある。彼はこの計画をすべてまとめるため、個人的に多大な努力を払ってくれたからね」

 そのバッケルドはホーリエスとヘルの両トラックで輝かしい実績を誇っており、WorldRX参戦時代には双方のトラックで勝利を記録。2014年から2018年まで、スウェーデンの”聖地”では一度も表彰台を逃さない好成績を収めている。

「それと同じくらい、地元ヘルでのレースに戻るのが待ち切れないよ。それはあまりにも長い間カレンダーから欠落しているが、(COVID-19の影響で3年ぶりのカレンダー復帰)本当に素晴らしいサーキットだからね」と続けたバッケルド。

アンドレアス・バッケルドは、3年前にもステアリングを握ったアウディS1 EKS RXクワトロで、第2戦のスウェーデンと、第3戦の地元ノルウェー戦に出場すると表明した
「このアウディS1ではまだ、僕はスウェーデンとノルウェーで勝てていないから、今回がそのチャンスになれば良いね」とバッケルド

■“肩慣らし”的にEuroRX1への参戦を決めたクリストファーソン

「過去数年間の困難な状況でファンを遠ざけた後、こうしてふたたび皆に会えるのをとてもうれしく思うよ。シリーズやイベントに参加するときは適切にやりたいと思っているし、EKSのアウディS1を使用すれば、これに関してはすべて正しい準備をしてクリアだと感じられる」

「僕も実際に2018年と2019年にドライブしているし、昨季はスウェーデンの男(ヨハン・クリストファーソン)が世界王者になっている。今も強力なパッケージであることは明らかだ。このアウディS1ではまだ、僕はスウェーデンとノルウェーで勝てていないから、今回がそのチャンスになれば良いね」

 今からちょうど7カ月前、そのアウディS1で自身4度目のワールドチャンピオンに輝いたクリストファーソンは、2022年電動化初年度のRX1eクラスに向け、すでに家族経営のクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)に戻って戦うことを決めているが、7月のスウェーデンで実施される電動シリーズの『正式ラウンチ』を経て、同月末のドイツ・ニュルブルクリンクでチャンピオンシップが本格始動するのを前に、地元戦では“肩慣らし”的に、内燃機関モデルでのEuroRX1参戦を決めた。

「たくさん競争すればするほど、あらゆる競争に強くなるだろう。そして、たくさん勝てば勝つほど、勝ち方がうまくなるのも当然さ」と語った33歳のクリストファーソン。

「僕らは完璧を期すため、チームのメカニックやサプライヤーと協力して、クルマからすべての性能を引き出せるよう懸命に準備を進めてきた。これまでのところ、結果はとても良好だ。地元で次の勝利を獲得できるよう期待していてほしい」

 そのクリストファーソンは、この“マジック・ウイークエンド”の週末にフォルクスワーゲンディーラー・チーム・バウハウスからエントリーし、EuroRX1を戦う若手グスタフ・ベリストロームの僚友を務める。チーム代表でヨハンの父でもあるトミー・クリストファーソンも、電動化の準備と並行してポロを走らせることを「楽しみにしている」と語った。

「我々はあらゆる面で一生懸命に働いており、忙しくはあるけれど本当にエキサイティングな時代だね」と続けたトミー代表。「自宅兼ワークショップでは好きなだけ準備することができるが、激しい競争の環境に入って初めて、すべてがどのように進んでいるかを実際に把握できるだろう。地元でのEuroRX1の準備と並行し、世界選手権に向けた新車の製造も進行中だ。KMSもしばらくは忙しい状態が続きそうだね」

 これにより、スウェーデンでのEuroRX1には2度のタイトル獲得経験者でもあるアントン・マルクランドを筆頭に、バッケルド、クリストファーソン、そして強豪ヘドストロム・モータースポーツの招待でヒョンデi20 RXスーパーカーのステアリングを握るオリバー・ソルベルグらが相見える。

電動化初年度を前に地元の”聖地”ホーリエス戦で内燃機関搭載の愛機フォルクスワーゲン・ポロGTIをドライブする”絶対王者”ヨハン・クリストファーソン
「たくさん競争すればするほど、あらゆる競争に強くなるだろう。そして、たくさん勝てば勝つほど、勝ち方が上手くなるのも当然さ」と語った33歳のクリストファーソン