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 NTTインディカー・シリーズ第8戦がロードアメリカで開催。12日に行われた決勝レースは、予選2番手からスタートしたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が勝利し、今季3勝目を挙げた。

 予選19番手の佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)は、コース上で追い上げを見せるも15位フィニッシュとなった。

 緩やかに起伏する地形を活かして1950年代に造られたロードアメリカは、全長4.014マイルの高速サーキット。

 今年の予選ではアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が2019年6月以来となる久々のポールポジションを獲得した。しかし、気温の低い好天下で行われたレースを制したのは、予選2番手から挑んだジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。

 結果から言えば、レッドタイヤでスタートして残りの3スティントはすべてブラックタイヤで押し通すセオリー通りのタイヤチョイスが今回は正解だった。

ロッシを先頭にロードアメリカ決勝レースがスタート
ロッシを先頭にロードアメリカ決勝レースがスタート

 その戦略を採用したロッシとニューガーデンがスタートから後続を引き離してのバトルを展開。そして、1回目のピットストップで彼らの勝負にもほぼ決着がついた。チーム・ペンスキーのクルーが素晴らしい作業スピードでニューガーデンをロッシの前でピットアウトに成功。そこからのニューガーデンは瞬く間に差を大きく広げてみせたのだった。

 トップに躍り出たニューガーデンの速さはズバ抜けていた。レッドでのファーストスティントは、先週のデトロイトを教訓として慎重に走っていたのだろう。2番手キープでもタイヤを労わる走りを心がけていたと見られる。

 そして、残り40周は全部ブラックで走る……という状況になり、しかも自分がピットの差でトップに立つという展開も味方につけて、ニューガーデンは一気に勝負を決めにいった。

「自分のやるべきことに全力でフォーカスし、仕事をやり切った」とニューガーデンは満足気に語った。

 昨年は勝利目前でギヤボックスが壊れた。そのリベンジが1年後に果たされた。ゴール目前で2度のフルコースコーションが出されたが、リスタートでもニューガーデンは盤石だった。

速さを見せるジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)
速さを見せるジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)

 ロッシは最終コーナーからの加速でまったく歯が立たず、最後のリスタート後にはマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)にパスされた。

「1回目のピットストップでトップに出られたのは大きかった。ロッシは手強く、コース上でパスするのは非常に難しいように見えていた。しかし、自分たちの方が彼より速いとも感じていいたので、あそこで前に出ていなくとも、レース中のどこかでトップを奪うことはできたのではないか、と思う」ともニューガーデンは話した。

テキサスのオーバル戦、ロングビーチのストリート戦、そしてロードアメリカのロードコース戦を勝利しボーナス100万ドルをゲットしたジョセフ・ニューガーデン
テキサスのオーバル戦、ロングビーチのストリート戦、そしてロードアメリカのロードコース戦を勝利しボーナス100万ドルをゲットしたジョセフ・ニューガーデン

再びポイントリーダーとなり後半戦へ挑むマーカス・エリクソン
再びポイントリーダーとなり後半戦へ挑むマーカス・エリクソン

 先月のインディ500で優勝したエリクソンは、今回もしぶといレースを戦い、予選4番手からの2位フィニッシュを達成。インディ500終了後以来となるポイントリーダーの座に復活した。

「チャンピオンシップのために、今日の2位はとても大きな意味があると思う」と彼はコメントした。

 3位はロッシ。2019年のロードアメリカ以来となる優勝は逃したが、先週のデトロイトから2戦連続の表彰台。インディ500から3戦連続のトップ5入りと好成績が続いている。

「最後のリスタートでトップを奪いにいったが、それが成功しなかったことで2位から3位にポジションを落とすこととなってしまった。それでも今日は良い1日だったと言える」

「自分たちは最終スティントでようやくマシンのバランスを望む通りのものに仕上げることができ、ニューガーデンとの差を縮めていった。ポールポジションからスタートしたレースで勝てないのはいつだった悔しいものだ。2戦連続でトップ3入りした、その勢いを保って次のミド・オハイオに乗り込みたい」とロッシ。

 佐藤琢磨は15位フィニッシュ。予選19番手から12番手まで大きく順位を上げたが、最初のピットストップに時間がかかり、その前までに抜いたマシン全部に抜き返される事態となった。

追い上げを見せるも苦しいレースとなった佐藤琢磨
追い上げを見せるも苦しいレースとなった佐藤琢磨

 そこからはポジションを次々上げていくと言う戦いはできなくなった。レース後に琢磨は、「エキサイティングなレースでした。スタートで何台かのマシーンをオーバーテイクし、その後もいくつか順位を上げましたが、最初のピットストップでポジションを落としてしまい、これが大きな痛手となりました」

「残念ながらイエロー中にポジションを上げることもできず、ひとつのピットサイクルを終えると元のポジションに戻っていました。全体的にいって苦しいレースでしたが、リスタートで僕たちは本当に力強く戦い、サイド・バイ・サイドのバトルを何度か楽しみました」

「15位という最終的な成績は僕たちの期待に及ばないものでしたが、チームとしての強さを示すことができたと思っています」とコメントした。

 ロードアメリカをポイントリーダーとして迎えたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、序盤戦にルーキーのデブリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー)に追突されて後退し、19位フィニッシュに終わった。

 そして、パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)とアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)のポイントスタンディング上位ふたりはリタイアを喫した。

 パロウはチームメイトのエリクソンと接触してサスペンションを壊し、オワードはエンジントラブルで完走を逃した。パワーはポイント2番手に後退し、トップに復帰したエリクソンとの差は27点となっている。