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「今の時代、おっさんはどんなクルマに乗るべきか?」

 いやもちろん、どんなクルマに乗ったっていいのだが、アナタ(おっさん)が仮にクルマ好きなら、周囲のクルマ好きからどう見られるかを意識するはずだ。そして少なくとも、「シブイなぁ!」とか、「わかってるね~」と思われたい、と願うのではないだろうか? そういう選択を、ワタクシ清水草一が独断で展開いたします!

文/清水草一
写真/メルセデスベンツ、BMW、アウディ

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■買いたいクルマが買えない世の中で狙うべきは……

 中古車が高騰している。一部のマニアックなモデルが暴騰しているだけでなく、ごく普通のモデルも驚くほど高くなってしまった。データを見ると、ピークは2022年3月で、その後やや落ち着きを見せているが、あくまで高止まりで、またいつ上昇に転じるかわからない。

 中古車が高くなると、お買い得感が薄らいでしまう。なにせ新車がなかなか手に入らない状況なのだから当然だ。トヨタ 新型ランクルやレクサス LXなんか、受注停止で買えなくなってしまった。

 そんな時、おっさんはどうするべきか? 「人の行く裏に道あり花の山」という。投資の世界で使われる格言だが、いまや自動車購入も一種の投資。表がダメなら裏を行くべきだろう。

 では、裏とは何か。裏の裏の中古車選びとはどんなものか!?

 ドイツ製の大型高級セダンである。メルセデスベンツ Sクラス、BMW 7シリーズ、アウディ A8というドイツ御三家の最高級セダン軍団は、新車価格が2000万円級であるのに対して、中古車相場が猛烈に安いことで、昔から有名だった。

ベンツ、BMW、アウディと、3ブランドともプレミアムサルーン製造を得意としている(写真は先々代型BMW7シリーズ)

 こういった最高級セダンを買うのは、基本的に富裕層。中古車を買うなんていう思考回路自体がなかったりするのである。なかには買い替えの際、下取りではなく、「必ず廃車にしてくれ」と念を押す人もいるという。意味がよくわからないが、自分が乗っていたクルマが流通することが耐えられないらしい。とにかくそういう方も存在する。

 富裕層が乗っていたドイツ製最高級セダンたちは、デカすぎて邪魔だし、維持費がかかるし、燃費も悪い。庶民にはなかなか手が出ない。だから需要が少ない。高級スポーツカーのように希少でもない。ガンガン相場が下がるのは当然なのだ。

 では、どれを選ぶべきか。まず年式だが、一応「10年落ち」までを目安にしたらどろうだろう。もちろんそれより古くてもいいのだが、13年超経過すると自動車税がアップするし、トラブルの確率も高くなる。このテのクルマの電子部品が壊れたら、修理には莫大な費用がかかる。

 間違っても「一生乗る!」なんて思ってはいけない。10年落ちを買って2~3年乗り、人生の美しい思い出にするのが、相場師的なクルマ選びとしてベターではないだろうか。10年落ちのドイツ製最高級セダンというと、次のようなラインナップになる。

■Sクラスは先々代型か先代型か!?

【メルセデスベンツ Sクラス】
 先々代型が2013年前半まで販売され、2013年の途中から新型(先代型)に切り替わっている。現行型は昨年(2021年)から。

【BMW 7シリーズ】
 先々代型が2009年に登場し、2015年まで販売された。現行型はまだ出たばかりで、納車は始まっていない。

【アウディA8】
 先代型が2010年に登場し、2018年まで販売された。

 これら3モデルのなかで、最も相場が安いのは、最もタマ数の多い先々代型メルセデスベンツ Sクラスだ。中古車は100万円強から存在し、200万円前後でそこそこのタマを買うことができる。Sクラスは2021年に新型に切り替わったため、10年落ちは2代前になっていることも、安さの要因のひとつだろう。

 しかし、「ドイツ車は、熟成の進んだモデル末期を狙え」というのは、ひとつの鉄則。先々代型Sクラスは、ルックスは威風堂々(Sクラスは常に威風堂々だけど)。走りにも文句はなし。おっさんは先々代型Sクラスに乗ってブイブイ言わせろや!

 ひとつ新しい先代型Sクラスの場合、300万円が目安になってくるが、マニアなら是非狙うべきモデルが存在する。ディーゼルハイブリッドの「S300h」だ。メルセデスの最高級セダンなのに燃費が抜群で、満タンで鹿児島から東京まで走破できるというのが謳い文句だった。

 実際、ロングドライブなら20km/Lを超えるほど燃費がいい。もちろん加速も文句なし。フィーリングもスバラシイ。これだけは、マニアの一生モノとして手に入れたいモデルである。ディーゼルなので耐久性は高いはずだ。

メルセデスベンツのフラッグシップといえばSクラス。先代型の高級感はは間違いなく世界トップクラス

 ただし先代型S300hの中古車は希少だ。メルセデスが気合を入れて日本に導入し、テレビCMまで打ったにもかかわらず、販売はサッパリだった。Sクラスの新車をお買いになる富裕層は、ディーゼルとか燃費とか、そんなことをコレッポッチも考えない人が多いかったのである。

 それでもこのS300h、300万円前後から物件が存在し、400万円以内で手に入れられる。決して安い買い物ではないが、マニア受けするモデルなので、将来的に値段があまり下がらない……かもしれない。マニアックなおっさんは先代型S300hに乗れ!

■7シリーズとアウディA8のおすすめエンジンは?

 続いてBMW 7シリーズだ。Sクラスに比べるとタマ数はぐっと少ない。ぶっちゃけ3分の1くらいである。7シリーズは新型の納車がまだ始まっていないので、先々代型モデルがまだ先代型の雰囲気のまま。これらの要因により、相場はSクラスより若干高めだ。100万円台のタマはかなり稀で、実質的には200万円台からだ。

 狙うべきは、3.0L 直6ターボ搭載の740系だろう。BMWの真髄であるストレート6を、フラッグシップセダンで味わうヨロコビは何物にも代えがたい。V8の750系は贅沢の極みだが、リスクは増大する。「アクティブハイブリッド7」に至っては、メカが複雑ゆえに故障したらまず手に負えない。おっさんは先々代型BMW740iで還暦を駆けぬけろ!

 最後にアウディ。こちらはさらにタマ数が減り、7シリーズの半分程度だ。A8というだけでかなりレアなゼイタク品。ルックスもウルトラ端正で、どこからどう見てもセレブだ。特権階級感はA8が一番高い。

アウディらしい直線的なラインが多用された同ブランドのフラッグシップ、先代型A8

 エンジンは3.0L V6、4.0L V8、そして6.3L W12の3種類。中古車として一番お手頃なのはV8の「4.0TFSI」で、200万円台中盤で手に入る。これでも十分すぎるほどゼイタクだ。V6の「3.0TFSI」は、お手軽な分相場は高く、300万円前後からになる。

 究極はW12を搭載したロングボディの「L W12クワトロ」。このエンジンの回転フィールは恐るべきもので、地獄に引きずり込まそうなほど甘美だ。実際に購入すれば、維持費で地獄に引きずり込まれる可能性があるが、男気のあるマニアは、是非挑戦してみて欲しい!

 勇気あるおっさんはアウディA8 L W12クワトロに乗って、極楽を地獄を味わえ! 無責任でどうもスイマセン。相場は500万円~1000万円くらい。超希少です。

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