7月15日、WRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・エストニア』は、デイ2のSS2~9が行われ、この日の最終ステージでベストタイムを記録したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が僚友エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)を逆転。競技2日目を終えた時点で総合トップに立った。
高速グラベル(未舗装路)イベントであるラリー・エストニアのデイ2は、タルトゥを中心に北側と南側で4本のステージを各2回走行するフォーマットで争われた。この日の午前中はおおむねドライコンディションで行われ、総合3番手で2日目を迎えたエバンスがSS2を制してトップに浮上すると、その後日中のサービスを挟んで行われたSS6まで5ステージ連続でベストタイムを記録した。
この段階で総合2番手につけていたロバンペラとのギャップは19.9秒あったが、午後になると各所で強い雨が落ち始め、ステージの多くは水たまりができ非常に滑りやすい状況となった。
こうなると出走順が速い者が有利となるため、1番手走者であるロバンペラの走りが冴えわたる。今季すでに4勝をマークしている前年大会ウイナーはSS7を皮切りに、続けて3本のSSでステージ優勝を果たし、デイ2最後のSS9でついにチームメイトを逆転。約10秒のビハインドから反対に11.7秒のマージンを築いてみせた。
「午前中の時点ではトップに立てるとは思っていなかった」と語ったロバンペラ。
「(午前中の)掃除役はうまくいったし、午後も楽しかったよ。最後のステージは天候が僕らに味方してくれた。自分たちの後から出走する選手たちは良いコンディションで走れないと分かっていたので、かなりプッシュしてトップに立つことができた」
一方のエバンスはSS9でコースアウトするシーンもあり、フィニッシュ後は「コンディションはかなりひどくて、ステージのスタート時にはアクアプレーニングがたくさん発生した」と振り返っている。
トヨタのふたりに続いたのは、地元のヒーローであるオット・タナクだ。彼はヒョンデi20 Nラリー1のハンドリングに問題を抱えながらの走行となり、1日の最後には昨年のケニアと同様に、ヒーターが壊れフロントウインドウが雨で曇るトラブルにも見舞われた。
その影響でコースを外れる場面もあったタナクはSS9でタイムを失い、トップから44.3秒遅れることに。それでも表彰台圏内には留まってみせた。
■初日首位のブリーン、SS4でクラッシュ
総合4番手で競技2日目を終えたエサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は午前中にブレーキトラブルを抱えたが、午後にはこれが解消した。しかし前半戦の遅れが響き、ロバンペラとのタイム差は1分05秒に拡がっている。
総合5番手にはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が入った。彼もまたタナクと同じくハンドリングに苦しみ、SS5を終えた時点では4番手だったが、午後はラッピの追撃をかわせず順位をひとつ落としている。ライバルとのタイム差は7秒だ。
総合6番手につけていたピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)は、最終ステージでロールを喫した。幸運にも“妖精たち”の力添えでラリーに復帰したものの順位は3つダウン。代わってアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が6番手となり、勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が2.8秒差でフランス人ドライバーに続いた。8番手はにガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)がつけている。
デイ1を総合首位で終えたクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)は、総合4番手で迎えたSS4の左コーナーで膨らみコースオフ。その際に茂みの中の柱に激突し、マシンの左フロントサスペンションを壊してしまったため、この時点でデイリタイアとなった。
16日(土)のデイ3は、タルトゥの南側に設定された4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行する。また、1日の最後にはSS1と同じ1.66kmのスーパーSSをふたたび走る。SS10~18のステージの合計距離は95.02km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は455.41kmだ。