新型BMW X1も初めてe-carとして製造されることになった。BMWは、X1の第3世代に試乗に送り込む。よりシャープな外観、曲面ディスプレイを含む新しいインテリア、そして初めて完全な電気自動車版であるiX1も登場する。シートチェックを含む全情報をお届け!
プレゼンテーションとデザイン: 新型X1は大幅に強化された
SUVの市場は着実に成長している。ドイツ市場における2021年の販売台数は25,000台を超え、「X1」は、BMWの「X」モデルの中で最も売れているモデルとなっている。そして今、約8年の歳月を経て、3代目となったこの小型SUVモデルである「X1」は、初めて純電気自動車「iX1」のバリエーションとともに発売される。
BMWのデザイナーは、新型「X1」をより強く見せるために、さまざまな工夫を凝らしている。フロントには、はっきりと成長した、ほぼ正方形のダブルキドニーグリルがあしらわれている。それでも全体的なボディデザインに調和し、あまり誇張された印象を与えない。さらに、表示されたアンダーライドガードなど、SUVのクラシカルな要素も残している。そして、新開発のフラットなLEDヘッドライトのライトデザインは、どこか「3シリーズ」のフェイスリフトを彷彿とさせる形状ともいえる。
フロントエプロンには、ブラッシュドアルミニウム風またはブラックのデザインエレメントが施されている(装備により異なる)。そして、パワードームのように盛り上がったボンネットは、「X1」の存在感をさらに高めている。新型「X1」では、ベーシックな仕様では17インチ、「xLine」、「M Sport」の装備ラインでは18インチのホイールが装着されている。それでもまだ物足りない場合は、オプションで最大20インチのホイールまで用意されている。
iX1の外観は内燃機関とほんの少ししか変わらない
張り出したルーフスポイラーを含む細長いルーフラインは、「X1」の細長いサイドラインを強調している。フラットなリアウインドウに装飾を施し、「X1」を通過する空気を良好に導くようにデザインされているのも大きな特徴だ。さらに全体を支えているのが、大きく張り出したリアライトだ。
電気自動車仕様のモデルの外観は、内燃機関仕様のSUVとわずかな違いしかない。そんな中、最も印象的な変化は、ブルーのトリムエレメントだろう。ガソリン車やディーゼル車とは異なり、大きなキドニーを持つラジエーターグリルは閉じたデザインままだ。
サイズ: X1は全方位で成長
寸法的には、3代目となる「X1」は全方位的に大きくなっている。全長4.5mの小さなバイエルン製SUVは、先代モデルよりも53mm長くなり、全幅も1.85m弱と24mm広くなっている。新型「X1」は、全高が44mm増加し、全高1.64mとなっている。
また、ホイールベースが22ミリ伸びたことで、室内空間が少し広くなり、乗降性も良くなっている。スペースといえば、ラゲッジルームのスペースも増えている。最大1,600リットルのラゲッジルーム容量を持つこの小型SUVは、2列目のシートを残して乗員用のスペースを確保しても、540リットルがトランクに入る。
ただし、全輪駆動の場合は、収納スペースは少し譲歩しなければならない。ここでは、500リットルから1545リットルを目安に購入することになる。プラグインハイブリッド車とオール電動仕様の「iX1」は、依然として490~1495リットルを提供している。それでも足りない場合は、オプションのトレーラーヒッチを注文すれば、「X1」はフックで最大1,200kgまで牽引できるようになる。
【サイズ一覧】
• 全長: 4500mm
• 全幅: 1845mm
• 全高: 1642mm
• ホイールベース: 2692mm
• ラゲッジコンパートメント容量: 540~1600(全輪駆動500~1545)リットル
• ラゲッジコンパートメント容量(iX1&プラグインハイブリッド): 490~1495リットル
インテリア: 曲面ディスプレイとOS 8を標準搭載したX1
インテリアでは、バイエルンのメーカーは未来に向けて大きな一歩を踏み出した。現代のBMWにカーブド(曲面)ディスプレイは欠かせない存在であることは言うまでもない。デジタルコックピットは10.25インチ、インフォテインメントは10.7インチと、2つのスクリーンがドライバーを包み込む。BMWの最新インフォテイメント世代「OS 8」は、もちろん新型「X1」にも搭載されている。
この新しい操作コンセプトは、もちろん、ほとんどすべての操作をタッチやボイスコマンドで行えるようになっている。先代に採用されていた従来のボタンは、新型「X1」にはどこにもない。ボタン類はわずかしか残っておらず、すっきりとしたデザインによく合っている。全体として、インテリアのコンセプトはどこか「2シリーズ アクティブツアラー」を彷彿とさせるものともいえるだろう。
快適なシートとゆとりある室内空間
フリーフローティングタイプのセンターコンソールには、アームレストと十分な収納スペースが確保されている。ベースモデルにすでに装備されているスポーツレザーステアリングと同様に、インダクティブチャージとBluetoothインターフェースの標準装備も、装備の一部となっている。
「X1」の新しいシートは、十分な快適性を提供するよう設計されており、オプションのシートは静止状態でも横方向のサポート力が高い。後席ベンチは可変式で、40:20:40の割合で倒すと荷室が広くなる。また、背の高い人でも十分なヘッドルームとレッグルームを確保できる空間は快適だ。
エンジン: 初の完全電気自動車「iX1」
発売当初は、2種類のガソリンエンジンモデルと2種類のディーゼルエンジンモデルが用意される。エントリーモデルのガソリンエンジンは、最高出力136馬力の1.5リッター3気筒エンジンを搭載し、最大トルク230Nmを前輪に伝達する。全輪駆動で204馬力を発揮する大型の「X1 xDrive 23i」は、2リッター4気筒を搭載している。
一方、2種類のディーゼルモデルは、それぞれ排気量2リットルの4気筒を搭載している。小型のsDrive18dでは150馬力、大型のディーゼルでは197馬力がドライブシャフトを引っ張る。エントリーモデルのガソリンエンジンを除き、すべてのエンジンが48Vの電動システムを持つマイルドハイブリッドとして搭載されている。変速は7速デュアルクラッチが標準装備されている。その他のディーゼルエンジンやガソリンエンジンも後々続く予定だ。
従来の内燃機関に加えて、今回も2種類の出力レベル(システム出力: xDrive25eは245馬力、xDrive30eは326馬力)のプラグインハイブリッドモデルも用意されている。いずれも1.5リッター3気筒と電動モーターを組み合わせて搭載している。
また、コンパクトSUVの「iX1」には、初めてオール電化の駆動方式が採用されている。フロントとリアアクスルに各1基の電動モーターを搭載し、合計230kW(313馬力)、最大トルク494Nmを発揮する。64.7kWhのバッテリー容量を持つ「iX1」は、最大438kmを走行することができる。
市場投入と価格: 新型X1は41,400ユーロ(約570万円)より
新型「BMW X1」の市場投入は2022年10月で、当初はガソリン車とディーゼル車のバリエーションで展開する。エントリーレベルのガソリンモデルは41,400ユーロ(約570万円)から、xDrive23iは最低49,450ユーロ(約682万円)からとなっている。一方、ディーゼルエンジンは最低でも43,950ユーロ(約606万円)からという価格設定となっている。より大きなディーゼルが欲しい場合は、最低でも50,150ユーロ(約692万円)を支払わなければならない。
プラグインハイブリッド車とオールエレクトリックの「iX1」は、2022年11月にベース価格47,550ユーロ(約656万円)の「xDrive25e」を皮切りに、順次発売される予定だ。よりパワフルなハイブリッドは49,950ユーロ(約689万円)から提供される。電気自動車である「iX1」を選択する場合は、少なくとも55,000ユーロ(約760万円)を支払わなければならない。
【ABJのコメント】
いつの間にかBMWの「X1」も三世代目となった。そもそもBMWのSUV路線としては「X5」が一番初めにデビューし(もはやはるか昔の話である)、続いてたしか「X3」が出て、そのあとに、ずらずらずらっと、「X1」と「X2」、「X6」と「X7」も出て、ン? いつの間にか「X4」もあったっけ、みたいな、今やフルラインナップになっているのだった(むろんトップモデルのX8も忘れてはならない)。時代というのはまったく恐ろしい。そんな中で末っ子の「X1」だが、今や幅が1845mmもあって、長さも4500mmと十分に大きく、価格も700~800万円、と末っ子とは呼べないような体躯と価格のSUVに成長したのであった。
もはや気楽にエントリーモデルとして購入するという価格や大きさではなく、普通の(というのも変な言い方ではあるが)標準的なSUVとして選択する一台である。ちなみにこの大きさは、わかりにくいネーミングで有名な(?)マツダのラインナップでいえば、「CX-5」にドンピシャあたる大きさで、「CX-3」はもちろんのこと、「CX-30」や「MX-30」よりも大きく、でも「CX-8」や新しく発表となった「CX-60」よりはちょっと小さめというセグメントにあたる(……と余計わかりにくい説明ですいません)。
ともかく、もはや立派なSUVとなった「X1」、今やBEVモデルも選べるし、エンジンバリエーションも選び放題である。個人的にはディーゼルエンジンがまだラインナップされていることに、妙に安堵感を覚えるが、ひょっとするとこれが最後のディーゼルエンジン搭載モデルになってしまうのだろうかな、と思うとやっぱりちょっと寂しい。(KO)
Text: Sebastian Friemel
加筆: 大林晃平
Photo: BMW AG