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 今季、全日本スーパーフォーミュラ選手権のセッション後に設けられている“メディア・ミックスゾーン”。全ドライバーが1箇所に集まり同時にメディア対応を行うという、F1やWECなど海外レースではおなじみの取り組みだ。この記事ではそこで聞けたドライバーたちの“声”を、可能な限りお伝えする。

 6月18日、第5戦SUGOの予選終了後、ミックスゾーンでのドライバーのコメントをお届けしよう。

■佐藤蓮(TEAM GOH) 予選11番手

 ルーキードライバーの佐藤は、予選日がスーパーフォーミュラでのSUGO初走行となった。

「攻め始めると想像以上にコースが狭く感じますね。改めてSFの速さを感じました。ただ、体力的にはそこまででしたね。今まで走ったなかでは一番楽かなと思うほどでした。おそらく気温が上がってダウンフォース量も減って、スピード自体が落ちていたからと思っているのですけど」

 特に狭さを感じるところはどこかと聞くと「ターン4を立ち上がって先のターン5〜6です。結構狭いコーナーなので、本当にひとつしかラインがないような感じなので」と佐藤。

 そんな“狭い”SUGOでQ2進出を果たし、予選では11番手タイムを刻んだ佐藤は「ロングランに関しては、明日の公式練習でも少しテストすると思います。今シーズン全体を見てもロングランのペースに関して、悪いことはあまりなかったので、そこはポジティブに考えて、少しでも順位を上げられるように頑張っていきたいですね」と決勝に向けた展望を語った。

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 佐藤蓮(TEAM GOH)
2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 佐藤蓮(TEAM GOH)

■山下健太(KONDO RACING) 予選7番手

 チームメイトのサッシャ・フェネストラズが、自身2年ぶりのSUGOの予選でフロントロウ2番手を獲得した一方、予選を7番手で終えた山下は「サッシャが調子良さそうなので、僕ももう少し上位に行きたかったのですけど。思ったよりも伸びなかったなぁという感じですね」と自身の予選日を振り返った。

 予選日朝のフリー走行では、アタック中の赤旗掲示により、ベストタイムは1分6秒782と、順位にして21番手ではあったが、走った感覚としては「悪くはなかった」と言う。

「ただ、それでもポール争いに加わるには何かが足りなかったかな、という感じです」

「乗っている際の感覚は悪くなかったので、何が原因かをしっかりと見極めないといけないかなと思います。Q1もトップからは0.3〜0.4秒ほど遅かったので、もう少し足りない、という感じですね。セットアップも少しづつ変えていっていますが、それだけでは(ポール争いに加わるには)足りなかったのかなと思います」

「決勝は最近ペースがあまり良くないので、どう対策するのかという感じですが、今回はいつもの決勝セットアップから違う方向で行ってみようかなと思っています。それがいいか悪いかですね」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 山下健太(KONDO RACING)
2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 山下健太(KONDO RACING)

■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選9番手

 公式練習ではコースイン早々に1分05秒939をマークし、続くQ1 B組ではトップタイムとなる1分04秒920をマークした牧野。しかし、ポールポジションを決するQ2では、自身の記録したQ1のベストタイムには届かず、1分05秒160がベストタイムとなり、9番手で予選を終えることとなった。

「正直、公式練習から調子があまり良くはなかったです。公式練習の走り出しでトップタイムを記録できたは、タイヤがなくニュータイヤを履いてコースに出たので」

「調子は前戦のオートポリスの方が良いと感じていました。ただ、Q1に向けて良くはなってはいました。それでQ1のコンディションもクルマにあってはいたので、続くQ2に向けては、コンディションが変わることも踏まえた上で挑んだつもりだったのですけど、それが少し裏目に出たのかなという感じですね」と牧野は語った。

 なお、Q2でのアタック自体にはミスはなかったと言う。

「でも、セットをQ1で走ったもののままだったとしても、Q2でポールは獲れなかったと思います。もちろんライバルがタイムを上げてくるだろうとは思っていたので、ポールを獲るためにいろいろやったつもりです。でも、それが今回はうまくいかなかったと言う感じです」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

■国本雄資(KCMG)予選8番手

 Q1 B組では1分04秒954をマークし、2番手でQ2進出を決めた国本。2016年シーズンのシリーズチャンピオンの好走は復調の兆しかに思われた。

「公式練習のフィーリングもあんまり良くなかったですね。あと公式練習の最後にニュータイヤを履きましたが、前に引っかってしまいぜんぜんパフォーマンスを見ることができませんでした。それでかなり不安になり、Q1でニュータイヤを2セット使いたいとチームには言ったのですけど、すごく必死に止められましたね。それぐらいQ1の最初は自信はありませんでした」と国本は振り返る。

「ただ、Q1を中古タイヤで走ったら、フィーリングが良くグリップする感じでした。その時からはニュータイヤでのアタックに自信がありましたね。実際ニュータイヤに履き替えると、やはりグリップは高くてしっかりとアタックでき、B組の2番手で1分04秒台に入れることができました」

「そこからはポールを狙えるかもというくらいのフィーリングがあったので、Q2は少しセットで変えて臨みましたが、そのセット変更とドライビングも少し変えたことが、裏目に出てしまい、Q1よりもロスしてしまったという感じです」

「予選は曲がるクルマじゃないとタイムが出ないんで、バシッと曲がれば一発タイムが出るかなと思ったのですけど、自分が乗りたいクルマとは違う感じのフィーリングになり、それに手こずってしまったという流れですね」

 決勝に向けては、決勝用のセットアップとすることでQ1で抱いたフィーリングに良さを取り戻せるだろうと国本は語る。

「SUGOは抜きづらいサーキットなので、前がすいた時に速く走れるくらいのタイヤの余裕があれば、と思います。最近の決勝のペースはあまり良くはなかったので、少し不安はありますが、頑張ります」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 国本雄資(KCMG)
2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 国本雄資(KCMG)

■大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選3番手

 6月も中盤に差し掛かり、決勝日となる19日は予選日以上の真夏日となることが予想されている。その高温化でのレースに向け、決勝をセカンドロウ3番手からスタートする大津は「タイヤも変わっていますし、今年は摩耗も厳しくなってる感じもあるので、予選のセットで決勝に臨むとペースが厳しくなるような気がしています。なので、日曜の公式練習に向けて大幅に変えていかないといけないかなと思っています」と話す。

 大津そしてチームメイトの牧野任祐のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台は、前戦となった第4戦オートポリスでは決勝のレースペースに課題を抱えていた。

「前戦の課題は結構みんな話し合ってます。ペースが速くないと前戦のように戦略の幅が狭まってしまうので。そういったことも考えながら持ち込んできているので、明日うまくいくように臨みたいと思います」

 なお、大津も出走したQ1 A組ではコースへの小動物の侵入でセッション開始早々に赤旗が掲示された。最終コーナーイン側から、コース内に侵入した鹿と思われる小動物はセッション中のレコードラインを越えて、アウト側のランオフエリアに達すると、そこから110Rコーナーへ向けて駆け出した。

 セッション中の車両が走る最終コーナーのアウト側のランオフエリアを、跳ねるように移動する鹿の様子は中継映像でも映し出されたが、思わぬかたちで鹿とニアミスした大津にその時の様子を尋ねると「無線で動物がいるとは言われましたけど、ぜんぜん分からなかったです」と振り返った。なお、大津の前を走行していた平川亮も、同様に動物の存在には気づいていなかった。

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)