もっと詳しく

 7月24日、2022年FIA F2第9戦ル・キャステレのフィーチャーレース(決勝レース2)がフランスのポール・リカール・サーキットで開催され、ホンダ&レッドブル育成の岩佐歩夢(ダムス)がFIA F2初優勝を飾った。

 第9戦の決勝レース2のグリッドは、22日に行われた予選で決定され、シリーズランキング2位につけるウイリアムズ育成のローガン・サージェント(カーリン)がポールシッターとなった。

 0.006秒の僅差でホンダ&レッドブル育成の岩佐がフロントロウ2番グリッドを獲得。3番グリッドにメルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)が、4番グリッドにアルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)が、そして5番グリッドにザウバー育成のテオ・プルシェール(ARTグランプリ)に続いた。

 また、予選で暫定4番手につけていたシリーズランキングトップのフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)は、最速ラップのターン3でトラックリミット違反と判定され、予選後にベストタイム削除となり6番手からのスタートとなった。

 岩佐を含む上位勢の多くがソフトタイヤスタートを選択するなか、6番手グリッドのドルゴヴィッチはハードタイヤスタートを選択。当初の予定から10分遅れた現地時間9時45分、気温28度、路面温度33度というドライコンディションの快晴のもと、1回以上のタイヤ交換が義務付けられる30周の決勝レース2はスタートを迎えた。

 4番手スタートのドゥーハンが抜群の蹴り出しを見せ、トップに浮上。岩佐は2番手を守ると、まだDRSが使えないなか、オープニングラップのターン8でドゥーハンをアウト側からかわしトップに浮上する。2番手ドゥーハン、3番手サージェント、4番手ベスティ、5番手プルシェール、6番手ドルゴヴィッチというオーダーで2周目に突入。

 後方では、佐藤とクレモン・ノバラック(MPモータースポーツ)がターン8で、また2周目にはマーカス・アームストロング(ハイテックGP)とデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)が接触。これにより2周目にセーフティカー(SC)が導入される。ハウガーはピットでフロントウイングを交換しコースに復帰を果たすも、アームストロングと佐藤はここでリタイアとなった。
 
 レースは6周目に再開を迎えると、岩佐が見事な蹴り出しを見せ、ドゥーハンに1.008秒の差を築いて首位をキープ。さらにファステストラップを更新し、ドゥーハンをDRS圏内に寄せ付けない。

 しかし、同じくソフトタイヤを履くドゥーハンも岩佐から0.1秒遅れというペースで周回し、2台の差はなかなか開かず。8周目にDRS使用可能となるも、この時点で1.1秒のギャップをつけられたドゥーハンは岩佐に対しDRSが使えない。また、3番手サージェントもDRSが使えないなか、0.7秒差でサージェントを追う4番手ベスティが自己ベストを更新し、サージェントとの間合いを詰める。

 10周目を迎え、ハードタイヤスタート勢のトップ8番手ドルゴヴィッチは1分49秒台というなか、岩佐は1分48秒台とコース上最速ペースでジリジリと後続とのギャップを広げる。そんななか、6番手のプルシェール、7番手ユーリ・ビップスが上位勢で最も早めのピットインを敢行。しかし、ビップスは左リヤタイヤ装着前にジャッキを降ろしてしまい、大きくタイムロス。

 12周目終わりに3番手サージェントがピットインするが、ピットでエンジンがストップ。再始動は叶わず、ポールスタートのサージェントだったが、ここでリタイアとなってしまう。

 続く13周目終わりにドゥーハン、そしてハードタイヤスタートのドルゴヴィッチがピットイン。ドゥーハンがピット作業エリアから動き出そうとしたその時、ピットロード後方からドルゴヴィッチが来たため、ドゥーハンはわずかにタイムロス。これでドゥーハンはプルシェールに先行を許してしまう。

 岩佐は14周目終わりにピットイン。今季幾度と作業ミスもあったダムスチームだったが、スタッフがガッツポーズを見せる完璧な作業で岩佐を送り出し、実質のトップ争いの相手となるプルシェールの4秒前でコース復帰を果たすことに成功した。

 ハードタイヤスタートで最後まで引っ張ったユアン・ダルバラ(プレマ・レーシング)は18周目終わりにピットイン。これで岩佐がトップに返り咲く。岩佐は1分47秒台のペースでプルシェールとの差を4.4秒まで広げる。

 そんななか、19周目のターン8で3番手ドゥーハンが2番手のプルシェールにオーバーテイクを仕掛けたが、たまらず単独スピン。ここでプルシェールとわずかに接触しドゥーハンはマシンにダメージを受けるとともに、ベスティにかわされ4番手に後退する。

 レースは終盤を迎えるも、岩佐は1分47秒台のペースをキープし、22周目の時点でプルシェールを5秒リード。タイヤのデグラデーション(性能劣化)によるタイムの落ち幅も他の上位勢より少なく抑える巧みなタイヤマネジメントを発揮し、着々とリードを広げる。

 そうして迎えた30周目、FIA F3から今季FIA F2へステップアップを果たした岩佐が、終始安定した速さを見せつけ最終的に8.6秒のリードを築き、FIA F2初優勝を飾った。

 2位にはプルシェール、3位に地元フランス出身のベスティと、ARTグランプリ勢の2台が続いた。4位にハードタイヤスタートから後半猛スパートを見せたドルゴヴィッチが続いた。

 次戦となる第10戦ブダペストは、7月29〜31日にハンガリーのハンガロリンクで開催される。

2022年FIA F2第9戦ル・キャステレ 岩佐歩夢(ダムス)と佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
2022年FIA F2第9戦ル・キャステレ 岩佐歩夢(ダムス)と佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)