今季で創設2年目の電動オフロード選手権『エクストリームE』に参戦中のケイティ・マニングスが、7月2~3日にスウェーデンの“聖地”ホーリエスで開幕する2022年のWorldRX世界ラリークロス選手権併催イベントへの出場が決定。こちらも昨季から導入された電動ワンメイク車両を使用する『FIA RX2eチャンピオンシップ』でシリーズデビューを飾り、同地伝統のイベント“Magic Weekend”のラインアップに加わることとなった。
イギリス・ブランズハッチでスクールを運営していた元ラリードライバーである父親クリスから、幼少期より英才教育を施されてきたケイティは、実家の農場でラリードライビングの基礎をみっちり叩き込まれると、2016年にサンテロック・ジュニア・チームの運営するスカラシップに加入。
プジョー208VTi R2をドライブしてベルギーのイプルー・ラリーより参戦し、ERCヨーロッパ・ラリー選手権ERC3クラスを戦い、年末にはシリーズのレディース・トロフィーを獲得した。
これにより、この50年でERCタイトルを獲得した初のイギリス人女性ドライバーとなったマニングスは、翌2017年に地元プジョーUKのブランドアンバサダーに就任すると同時に、プジョー・ラリー・アカデミーのメンバーにも選出。引き続きERCで複数のステージウインを獲得し、英国BBCでは自身初の番組ホストも務めるなど、TVでのキャリアも成功させた。
そして2020年からは、こちらもイギリス人女性初のレッドブル・アスリート契約を結ぶと、WRC世界ラリー選手権デビューも果たし、ラリー・スウェーデンではフォード・フィエスタR2をドライブ。そうしたステージラリーでのキャリアと並行し、2019年からはWorldRX王者ティミー・ハンセンとタッグを組み、アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEのレギュラードライバーとして活躍。初年度のグリーンランド戦“Arctic X Prix”では初勝利を飾るなど、2回の表彰台を含むランキング3位を記録している。
2022年現在も引き続きエクストリームEでタッグを継続するマニングスだが、今回は自身初のラリークロス挑戦となり、競技用電動モビリティの先駆者であるQEVテクノロジーズとオルスバーグMSEが開発を担当した250kW/510Nmを発生するワンメイク車両にチャレンジすることとなった。
「こうしてホーリエスの象徴的なサーキットで、シーズン最初のラウンドに参加できるなんて非常にエキサイティングね。これは私にとってまったく新しいことで、ここまでエクストリームEでは電動パワートレインの技術を理解し、レースを戦ってきてはいるけれど、それとは全然異なるものだと感じたわ。だって、初めて加速したときのスピードとトルクには、本当にビックリしたもの!」と、すでにスペインのカラファトでテストを経験したマニングス。
「このRX2e用車両はドライバーとして扱いがとてもシンプルで、ギヤもクラッチもないから、それを心配し気を払う必要もないの。でも、その代わりと言ってはなんだけど『回生バイアス』については考える必要がある。各車軸のトルクとその量を調整でき、どれだけプッシュするか。これは私にとって大きな課題でありチャレンジね」と続けた24歳のマニングス。
「現状はエンジニア頼みの面があるけれど、それもゲームの一部であり、新しいことを始めるときは誰にとっても同じ。過度な期待は抱かず、私自身の開発と進歩のためにここにいるし、より多くのドライバーとサイド・バイ・サイドの経験を重ねたい」
「ほかのドライバーたちは本当に速いでしょうし、私もスターティンググリッドに並ぶのが待ち切れない気分ね。可能な限りパフォーマンスし、できるだけ多くを学ぶことができればいい」
FIA RX2eの選手権マネージャーを務めるハビエル・アロンソは、マニングスのゲスト参戦に際し「シリーズ独自の『Arrive&Drive』のコンセプトが、より多くのドライバーに高性能車両のステアリングを握る機会を提供するはずだ」と期待を寄せた。
「我々としてもこの施策には自信を持っているし、将来的にラリークロスのピラミッドを登るための、比類なき機会が提供されている。ホーリエスでのケイティの参加は、このアクセシビリティのもうひとつの指標であり、国際的なラリークロスのプレッシャーに彼女がどれだけうまく適応できるかを楽しみにしている」と続けたアロンソ。
「ケイティのオフロード経験と卓越したマシンコントロールが試され、ファンは彼女が激しい競争の場でどのように進歩を積み重ねるかを見ることができる。その姿と戦いぶりを見て、ワクワクする体験がもたらされると確信しているよ」