NTTインディカーシリーズ第11/12戦は、2年ぶり開催のアイオワでのダブルヘッダーとなった。コロナ禍後の開催とあって、主催者はイベントを盛り上げるためにダブルヘッダーの合間にコンサートを組み込んだり、金曜日のパドックを無料開放するなど大盤振る舞い。レース観戦チケットも売れ行きが良く、朝夕のローカルTVは頻繁にこのニュースを流していた。
土曜日に250ラップで行われたレース1も、チーム・ペンスキーのジョゼフ・ニューガーデンが快走し4勝目を挙げた。
デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングの佐藤琢磨は予選こそ9番手と好位置ながら、レースは序盤不可解なハンドリングで後続に飲まれ、結局21位と苦しい内容だった。
レース終盤、シモン・パジェノーとの接触後に変えたフロントウイングを装着してから、レースペースを取り戻した事を考えるとフロントウイングのユニットそのものになんらかの原因があったと考えられるが、接触して原因がわかったのは不幸中の幸いというべきか。日曜日のレース2に向けては、不安はひとつ解消しただろう。
日曜朝にスターティンググリッドがアップデートされ、アンドレッティ・オートスポートのコルトン・ハータがエンジン交換による9グリッド降格により、琢磨は2列目4番手からのスタートとなった。
スタートもうまく決まり、一時3番手に上がるも4番手となりポジションをキープした琢磨。前を行くペンスキーのウィル・パワー、ジョゼフ・ニューガーデン、アロー・マクラーレンSPのパト・オワードに続いている。
1周が約20秒と短いアイオワはすぐにラップダウンとなるが、上位のマシンはうまく間隙をぬって周回を重ねている。ペンスキーの2台は66周目にピットイン、最初のタイヤ交換と給油をし琢磨は68周目までピットインを引き延ばした。
その間に何台かにアンダーカットもされ、ラップダウンのクルマにも阻まれて、琢磨の第2スティントはあまり良いものとは言えなかった。しかもフロントウイングを立てたおかげで、オーバーステアの傾向もあり、1周遅れの13番手をキープするに留まっていた。
それでもチームと琢磨は、300周のレースを最低限のピットイン回数で終えられるように燃費をセーブしてポジションをキープしていた。ラップダウンは120周目のイエローコーションでラップバックし、196周目の3度目のピットイン直前にはリードラップを取っていることから、燃料をうまくセーブしていることがうかがえた。
ベストラップは202周目とペースも維持しながら走り続けていたが、234周目にトップのペンスキーのジョゼフ・ニューガーデンがクラッシュして、またもやイエローコーションに。これで残りの周回を全マシンがピットに入ることで、琢磨とチームが立てていた作戦は水の泡となってしまった。
最後のピットイン後は11番手からのリスタートとなったが、チームメイトのデイビット・マルーカスとポジション争いしながらチェッカーを目指す。
時には琢磨が前となり、後ろからはアロウ・マクラーレンSPのフェリックス・ローゼンクヴィストが追い上げてくるなど、エキサイティングな展開となったが、最後は10位でチェッカーを受けた。
「昨日レースで着けたフロントウイングを使って、300周のレースでなるべく少ないピットで走れるように考えてました。最初のスティントは4番手をキープできましたし、途中アンダーカットしてくるクルマにも抜かれましたけど、第2スティントもフロントウイングを変えたことでアンダーステアが強くなってペースが上げられませんでした。それでも燃費をセーブして走れていたので、最後のイエローがなければという思いはあります」
「しかし、攻めた作戦だったので仕方ないですね。満足とは言えませんがトップ10でフィニッシュできました。チームも連戦の中で頑張ってくれてますし、来週のインディGPも頑張りたいと思います」
最初のスティントの力強い走りを見ていると、昨日とは見違えるようだったが、ようやく琢磨らしい戦う走りが見えた。次のインディGPもまた見守るファンをワクワクさせて欲しいものだ。