フランスのポール・リカール・サーキットで開催された2022年FIA F2第9戦ル・キャステレのフィーチャーレース(決勝レース2)で、2番手からスタートしたダムスの岩佐歩夢が初優勝を飾った。岩佐はレースを振り返って、レース中は精神的な余裕がなかったことを明かした。その一方で、チームのメカニックが作業に取り組む姿勢を見て、ピットストップには自信を持っていたとも語った。
────────────────────
──F2で初優勝を果たした、いまの率直な感想は?
岩佐歩夢(以下、岩佐):とにかくうれしいに限ります。いざ勝ってみると、意外と言葉が出てこないんですね(笑)。
──初優勝のレースは完勝でした。
岩佐:クルマの調子がよくてペースがあって、余裕があったように見えたと思うのですが、精神的には余裕がなかったんです。あれだけ2番手以下にギャップを作って走っているとトラブルが起きないかとか、余計なことを考えてしまって、ドキドキしながら走っていました。
──一番ドキドキしたのは、以前トップ争いを繰り広げながらタイヤ交換ミスで優勝を逃したピットストップではなかったですか。
岩佐:不思議だったのですが、それについてはあまり心配はしていませんでした。というのも、レース前にパドックでピットストップ練習をしていたときに、メカニックたちがとてもコンスタントに作業をしていたので、今回のチームのピットストップに対しては僕も自信を持っていました。
──スタートからレースを振り返ってください。
岩佐:スタートは最高というわけでもなかったのですが、決して失敗したわけでもなく、ポールポジションの(ローガン・)サージェントは抜いたのですが、後ろから(ジャック・)ドゥーハンが来て、1コーナー手前でサイド・バイ・サイドになりました。1コーナーのブレーキングで突っ込むかどうか迷ったんですが、ドゥーハンは結構アグレッシブなドライバーで、タイヤに厳しくなってレース後半にペースが落ちると考えて、無理はしませんでした。
──でも、1周目のシケインでオーバーテイクしました。
岩佐:土曜日のスプリントレースでターン6の旋回と出口のトラクションがよかったので、フィーチャーレースでもそこをうまく合わせ込んで行ったら、バックストレートで追いついたので、「もう、ここで行くしかない!!」と思って、アウトからオーバーテイクを仕掛けました。
──ただし、ドゥーハンはイン側をキープしました。
岩佐:ブレーキングに入る前に、僕のほうが前に出ていたので、こちらに優先権があると思って、ブレーキングで相手のラインを閉めに行って、相手にハードブレーキングをさせないようにしました。
──その直後に他車のアクシデントがあってセーフティカーが入りました。何を考えていましたか。
岩佐:セーフティカーはそれほど長くとどまらないと思い、セーフティーカーが明けたら、2番手以下とのギャップを広げることを考えていました。なので、リスタート後にいかにプッシュするかを考えていました。
──タイヤのマネージメントは考えなかった?
岩佐:アウトラップとか、リスタート後のペースに課題があったので、今回はタイヤを少し使いすぎてもいいくらいのペースでプッシュしようと考えていました。また、シルバーストンあたりからクルマがよくなって、プッシュしてもそんなにタイヤに厳しくなくなったということも関係しています。
──ピットインのタイミングについては?
岩佐:じつはピットインする2、3周前からピットインの指示は出ていたのですが、ピットに入る直前で2回ステイアウトに変わったんです。それは思いのほかペースが落ちなかったからだと思います。それくらいソフトが安定して速かった。その結果、後方とのギャップが開いたことがライバルたちのアンダーカットを阻止することにもなったと思います。
(2)に続く