6月24日、WRC世界ラリー選手権第6戦ケニアの競技2日目に設定されたSS2~7が行われ、さまざまなアクシデントが選手たちを襲うなか、TOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が前日の総合11番手から首位に浮上。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合2番手につけた。また、エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)も続きトヨタ勢がワン・ツー・スリー体制を築いている。
今季すでに3勝を挙げチャンピオンシップリーダーとなっているロバンペラは、木曜日の夜に行われたスーパーSSでタイヤをパンクさせてしまい総合11位に沈んだ。しかし、ナイバシャ湖畔のグラベル(未舗装路)ステージを舞台とする金曜のスピードテストが開始されると、21歳の“フライング・フィン”はすぐに表彰台争いに加わった。
サバンナの厳しいコンディションが、トラブルやアクシデントというかたちで多くクルーに襲いかかるなか、トヨタ勢は好調をアピールした。その中心に居たのは前年覇者のセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)で、8冠王者は午前のループ最後のSS4で僚友エバンスに一時トップを譲ったものの合計6本のSSが行われたデイ2の大部分でトップの座を守ってみせた。
ロバンペラはSS4で総合8番手から3番手に順位を上げて以降、表彰台を争う一角としてラリーを進めていく。そして迎えた1日の最終盤、デイ2最後のステージとなったSS7で首位を走るオジエが左リヤタイヤのパンクに見舞われ2分以上タイムを失う。一方のロバンペラは、同SSでこの日3度目のステージウインを決め総合トップに浮上している。
今季4勝目を目指すロバンペラに続いたのは、前年大会で2位となった勝田だ。フィニッシュ直後の段階ではトップと26.6秒差の総合4番手とされた勝田だが、最終ステージでサスペンションを壊したクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)を追い抜く際に、タイムを失ったことが考慮された修正タイムが認められことでポジションが回復。ロバンペラからプラス14.6秒の総合2番手となっている。
このタイム修正によって当初2番手とされたエバンスはひとつ順位を落として3番手に。トップと22.4秒差の位置につけるウェールズ人の背後には、デイ2のオープニングでシフトレバーが折れるアクシデントに見舞われたオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が、わずか2.9秒差で続いた。
■速さを見せていたローブがエンジントラブルでリタイア
タナクの後方、総合5番手となったティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)はSS4でのストールやパンクによってタイムを失い、トップから1分弱遅れることとなった。SS7でタイヤ交換を行なったオジエは、そこからさらに1分10秒遅れ総合6番手でデイ2を終えている。
ナイバシャのサービスパークに戻ったオジエは目に見えて意気消沈しているようだったが、彼は昨年、金曜日にサスペンションダンパーを破損し約2分の後れを取りながら最終的に優勝を果たしている。
「これだけ離されると、僕たちが本当に戦いに参加しているとは言えない」とオジエ。
「もちろん、まだいろいろなことが起こりうるが、これだけ遅れていては同じ戦いとは言えない。明日はきっと何かが起こるだろうが、やはりフラストレーションは感じるものだ」
オリバー・ソルベルグ(ヒョンデi20 Nラリー1)はブリーンの脱落によって総合7番手に順位を上げてデイ2をフィニッシュ。同8番手にWRC2リーダーのカイエタン・カイエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が続いた。ブリーンはSS7を走破できず10分のペナルティを受けたものの総合9番手に残っている。
Mスポーツ勢はアクシデントやトラブルの影響で、ブリーンを含む3名がデイリタイアとなった。だが、唯一生き残ったガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)もSS4での右リヤタイヤのパンクによってボディを大きく壊し修理のため一時ストップ。最終的に15分近く遅れてのフィニッシュとなった。
SS2でステージウインを飾りSS4を総合3番手で迎えたセバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)は、同SSの走破後、昼間のサービスに戻る途中でエンジンにトラブルが発生しデイリタイアに。アドリアン・フルモーのクルマもSS5でミッショントラブルに見舞われ、この日の競技を諦めることとなっている。
サファリ・ラリー・ケニアの競技3日目となる25日(土)のデイ3は、サービスパーク北側にあるエルメンテイタ湖の周辺で、3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行するスケジュールが組まれている。都合6本のSSの合計距離は150.88km、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は405.74kmだ。