もっと詳しく

 アイオワ・レースウェイでNTTインディカー・シリーズ・ダブルヘッダー戦。第12戦となるレース2の決勝レースが24日に行われ、パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)が今季2勝目を飾った。

 0.894マイルのショートオーバル、アイオワ・スピードウェイでのダブルヘッダーはシボレー勢の完勝となった。250周のレース1でトップ4を独占した彼らは、300周のレース2でも1-2-3フィニッシュ。両レースで表彰台を独占したのだった。12レースが終了したが、今シーズンのシボレーはこれで早くも9勝目だ。

 レース1のウィナー、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は148周もトップを走り、2日連続優勝確実と見られていたが、トップ走行中のアクシデントでリタイアを喫し、ずっと2番手につけてチャンスを窺っていたパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)が優勝を飾った。今シーズン2勝目はキャリア4勝目だった。

 土曜日は酷暑の1日になっていたが、レース2は気温が前日より9度も低い快適な天候の下で行われた。風も土曜日より強く、日中のレースでも非常に過ごし易いコンディションとなっていた。

ウィル・パワーを先頭に300周のレースがスタート
ウィル・パワーを先頭に300周のレースがスタート

 パワーはポールポジションからトップを守った。しかし、昨日と同様に序盤にして2番手スタートだったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にトップの座を奪われた。84周目のことだった。

 オワードがパワーを抜いたのは3回目のピットタイミングでだった。レース1でもゴール前にスピードアップを果たしたオワード。彼は前日より50周長いレースでも勝負所は終盤戦と捉えてチャンスを待ち続けていた。

 残りラップ数が100周を切った辺りでオワードは2番手に浮上し、ニューガーデン攻略に取り掛かった。しかし、彼がアタックを仕掛ける前にレースリーダーが自爆してしまった。右リヤタイヤから急激に空気が漏れたか、リヤサスペンションの一部が壊れたか、マシンはターン3で突然バランスを崩し、スピンしてリヤからウォールに激しくヒットした。

トップ快走中に単独クラッシュを喫したニューガーデン
トップ快走中に単独クラッシュを喫したニューガーデン

 難なくトップを手に入れたオワードは、2番手以下を寄せ付けずにゴールまで突っ走った。パワーに4.2476秒の差をつけてオワードは今シーズン2勝目のチェッカーフラッグを受けた。

「自分たちのマシンがレースに勝てるだけの速さを備えていることはわかっていた。しかし、前を走り続けるジョセフ・ニューガーデンにいかにして近づき、いかにパスすることができるのか、レースが進む中で考え続けていた」

「マシンの速さを望む結果に結びつけるためにはチャンスが訪れたときにそれを利用できるポジションにいることが必要。それができたのはチームが考えて決定したピットタイミングが非常に良かったこともおおいに影響していたと思う」

「戦っていてとても楽しいレースだった」とトップと37点差のランキング5番手となったオーワードは話し、「できれば、もう2勝したい。そうできたらファンタスティックだ。良いシーズンを戦ってこれているが、最近の2カ月で勝てていたレース2戦を落としている点が悔しい」

「今週末は大きな成果を上げることができた。いまの自分たちに必要な勢いというものを掴めたと思う」と初タイトル獲得を強く意識していることも語っていた。

パワーの追撃を許さないパト・オワード
パワーの追撃を許さないパト・オワード

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、どちらのレースもポールポジションからのスタートだったが、レース1は3位、レース2は2位でのゴールとなった。

 そして、3位でレース2の表彰台に上ったのはスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)だった。

「ポイントを多く稼げた、好い週末になった。またアイオワで勝つことはできなかったが、チャンピオンシップポイントは2番手になったし、トップとの差も縮まった。このままこの調子でシーズンを進めていく」と2度目のタイトル獲得を強く意識したコメントをパワーは残した。

4位でゴールしたのはスコット・ディクソンI(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。予選は18番手と振るわなかったディクソンだが、最初のスティントを早めに終える”アンダー・カット”の作戦が見事にはまり10番手までジャンプ。

 その後も着々とポジションを上げて行き、最後は3番手争いで同郷の若手マクロクリンに敗れたものの、2レース連続トップ5という結果を残した。

 5位はジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。チームメイトのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)との終盤のバトルに勝ってキャリアベスト更新を果たしたのは見事だったが、ポイント・リーダーには遠慮をした方が良かったのではないか。

 今日6位となったエリクソンが、5位っだったらもう2点多く稼げていた。その2点が響いてエリクソンがタイトルを逃すことにならないよう祈るばかりだ。

 7位はフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)。最終ひとつ前のスティントではロングランで順位を下げていたが、最終スティントでは周回を重ねた後にスピードアップしていた。

 8、9、10位はルーキーのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)、ロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)とホンダエンジンユーザーが並んだ。

 マルーカスは296周目に佐藤、298周目にグロジャンをパスしてキャリア2回目のトップ10入り、そして、今シーズン5回目となるルーキー最高位フィニッシュを達成した。

同僚のマルーカスを争う佐藤琢磨
同僚のマルーカスを争う佐藤琢磨

 予選3番手だったコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)がエンジン交換のペナルティで9グリッド降格とされ、予選5番手だった琢磨は4番グリッドからスタートした。コナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)をパスした彼は、オワードに抜かれ、スタート順位と同じ4番手をキープ。

 トップについていく序盤を戦っていた。燃費良く走れていた琢磨は66周目にトップに立ち、68周目に最初のピットストップを行った。ロング・ランで消耗したタイヤでライバルたちより2周多く走った琢磨はコース上でのタイムロスがあり、ピット作業に時間がかかったこともあってコースに戻ると1ラップダウンの17番手まで後退していた。

 さらに、このピットストップで施したウィングの角度調性がハンドリングの悪化を招き、苦戦に陥った。粘り強い走りを続けて12番手まで順位を挽回し、199周目のピットストップを行うときには再びトップに浮上した。

 しかし、燃費作戦が成功することはなかった。トップ走行中だったニューガーデンがクラッシュしたため、全員の燃費の心配が不要となったためだった。

 4番手スタートで10位フィニッシュ。トップ10ではあるが、この結果で琢磨が喜ぶことはない。

「2列目スタートで昨日よりすっと良い状況でした。レースの前半はトップについていくだけでしたが、5番手以下を徐々に引き離していっていました。ずっとトップ5にポジショニングできていたので、とても好い戦いぶりにできているなと感じていました」

「今日は300周のレースなので給油タイミングをできるだけ遅らせることに努め、ほかのチームはフィニシュ前に給油が必要になると見ていました。しかしニューガーデンのアクシデントによるイエローが出て自分たちの戦略はうまくいかないことになりました」

「今日はデイル・コイン・レーシングのドライバーふたりが揃ってトップ10フィニッシュできたので、チームにとっては好い結果であったといえるでしょう」と琢磨はコメントした。