7月24日、2022年FIA F2の第9戦ル・キャステレのフィーチャーレース(決勝レース2)がフランスのポール・リカール・サーキットで開催され、今シーズンからFIA F2に参戦するホンダ&レッドブル育成の岩佐歩夢(ダムス)がFIA F2初優勝を飾た。2位にザウバー育成のテオ・プルシェール(ARTグランプリ)、3位にメルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)が続いた。
これまで手が届きそうで届かなかった初優勝をついに手にした岩佐は「最高の気分です」と、レース2終了後の記者会見で語った。
「第7戦シルバーストーンではあと少しで勝てたのですが、あれはスプリントレース(決勝レース1)でした。今回はフィーチャーレースなので本当に大きなポイントです。今シーズンはここまでいい速さで走ることができていたのに優勝はできず、フィーチャーレースでも結果が出ていませんでした。そのため、少しフラストレーションが溜まっていたのですが、今回ついに優勝することができました。本当に……本当にうれしいです」
完璧と言えるレースを展開できた理由について問われると「正直よくわかりません。チームがこの週末をうまくまとめたからだと思います」と岩佐。
「予選でも、そしてスプリントレースでも速さはあったので、何台かをオーバーテイクして6位でフィニッシュできました。なのでこの週末は僕にとってすごくよかったです」
「(レース前に語っていたセーフティカー(SC)導入の可能性とリスタートのコツについて聞かれ)2年前に参戦したフランスF4は、ポール・リカールでのイベントが多かったので、それが参考になったと思います。あとはSC中にタイヤ温度のマネジメントもやっていたので、経験が活きたと思います」
「(次戦の)ハンガロリンクはテクニカルなコースなので、僕にはとても合っている気がしています。僕はテクニカルなコースが大好きですし、ハンガロリンクはFIA F3でも優勝したこともあります。でも2位フィニッシュでコース上では勝てなかったので(編集注:トップチェッカーのロレンツォ・コロンボに5秒のタイムペナルティが課せられ岩佐が繰り上がり優勝となった)、今年はコース上できちんと勝ちたいですね」
母国レースを2位表彰台で終えたプルシェールは「この週末はクレイジーだった」と評した。
「ここポール・リカールでレースができて、少なくとも心の中ではふたつの表彰台を手に入れることができた。とても幸せで、素晴らしいことだね。ファンには心から感謝したい。すごいことだよ」
「(今日のレースは)戦略がとてもよかった。ライバルより早くピットインしようとしたのが功を奏し、少なくとも3~4台をアンダーカットできた。そしてレース終盤になると、タイヤのデグラデーションが少し落ち着いたのでかなりプッシュした。ジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)を除けば、誰も僕を捉えることはできなかった」
「戦略が的確でピットストップも悪くなかった。スタートもよかったが、ブルーゾーンでフレディ(・ベスティ)に少し押された。だけど、これもレースだから仕方がない。でも大丈夫。きっと彼は僕のことが見えていなかったんだと思う」
「(タイヤについての質問に)タイヤマネジメントはあまりしなかったけど、オーバーステア気味のクルマだったね。トラクションのコントロールが難しくてね。表彰台をキープするために全力を尽くした結果なので、簡単なことではなかった」
「(チャンピオンシップについては)ペースがいいのでポジティブだよ。ここ数戦はランキングトップ(フェリペ・トルゴビッチ/MPモータースポーツ)よりも速いペースで走れているので、最後まで戦える自信はある。彼は本当に安定していて、今週末も僕より少し多くポイントを獲得している。このあとに控えるトリプルヘッダーはとても重要で、その準備はできている。少なくとも僕は(選手権)2位に返り咲いたんだから、この状況を楽しみたいね」
3番手スタートから3位表彰台を獲得したベスティは、このレースを及第点と評価した。
「(このレースは)よかったかなと思う。まずはARTグランプリに感謝だね。テオと一緒に記者会見に出席するのは初めてなので、ARTグランプリにとっては素晴らしいことだと思う。フィーチャーレースで表彰台に上れたことは、僕にとってすごく重要なこと。これまでのレースは予選がとても強かったけれど、小さなミスが原因でほとんどポイントを獲得できずにいたんだ。金曜フリー走行は満足に走れず、予選と決勝での巻き返しの鍵になった」
「昨日のレースはラッキーだった、それほどプレッシャーもなかったから。8番手からスタートし、今日のために良いスタートを切ること、すべてを準備することがメインでだった。昨日はプラクティス・レースのようなもので、プライム・タイヤを履いていたんだ。ブレーキングポイントを推測しなければならず、それは未知数だったよ」
「(そしてフィーチャーレースではドルゴビッチの)オレンジのマシンがどんどん近づいてくるのが見えて、彼が逆の戦略をとっていることもわかった。僕はテオだけを見続けて、自分を前に押し出すことだけを考えて、ミラーはあまり見ないようにしていたんだ。最終的にはふたつの戦略があったわけだ。今日はどちらが速いかとても接近しているように見えたが、表彰台に上れただけで満足だよ」