アストンマーティンF1のセバスチャン・ベッテルは、2022年F1第12戦フランスGP決勝の最終コーナーで、チームメイトのランス・ストロールが突然行ったブレーキ操作に「不意討ちをくらった」が、「どちらにしてもチームにとってポイントは同じ」と語り、チームメイトの気まぐれな行為を受け流した。
ストロールは、予選でベッテルよりもポジションが3つ後ろの17番手だったが(他車のペナルティによりスタートは15番グリッドから)、決勝のオープニングラップで一気に10番手へと順位を上げ、51周のレースの残りでそのポジションを維持し続けた。
残り10周あまりとなった時点でベッテルがストロールに追いつき、ふたりは接近戦にもつれ込んだものの、ベッテルはチームメイトをきれいに抜き去ることができなかった。
しかし、そのまま最終コーナーへ差し掛かったところで、ベッテルはストロールのマシン後部への追突をかろうじて回避し、彼に続いてチェッカーフラッグへ向かってスピードを上げながら、怒りのジェスチャーを示した。
「僕は、その1周前に彼との差を縮めていた。僕の方が速かったと思うよ。けれど、もうどうでもいいことだ。チームにとっては同じ1ポイントだからね」とベッテルは語った。
「明らかに、彼は加速する前にまたブレーキを踏んでいた。不意討ちを食らったよ。それで勢いを削がれたんだ」
「最終的には、さっきも話したように、チームにとっては同じ1ポイントだ。だからどちらにしても違いはない」
ストロールは、ベッテルを危険な目に遭わせた急減速について、ホイールスピンが原因だったと語った。
「スナップしたんだ。ちょうどピットを出るときのような。だからホイールスピンだと思う」とストロール。「ひとたびコースに出れば、誰もが競い合っている。僕はすべての週末でポイントを獲得したいと願っているし、彼だって同じ気持ちのはずだ」
「だから、僕はなにも無謀なことをしたわけじゃない。誰が後ろに来ていたとしても変わらずに自分を守るだけだ」
フランスGPを10位で終えたストロールだが、今季はここまで10位より上の順位でのフィニッシュを経験していない。彼は、タイヤの摩耗が激しかったにもかかわらずポジションを維持するために、かなり努力したという。
「タイヤに苦しんでいたんだ。最終的に1ポイントを守るためだけに、できることはすべてやっていた。すべてコントロールできていたと思う。問題はなかったよ」
「けれど、そうだね、ハードタイヤは相当厳しかった。ミディアムはよかった。ハードタイヤを履いて、何周かは調子が出ていた。タイヤもいい感じだったよ」
「その後の何周かはかなりきつかった。フロントもリヤもオーバーヒート気味で、滑りやすかった」
「バーチャルセーフティカー(VSC)が終わった後の最後の数周で、(ダニエル・)リカルドを抜いて9番手に上がれるかもしれないほど勢いがあった」
「でも、その後勢いを失って、今度はセブ(セバスチャン・ベッテルの愛称)のプレッシャーを受けるようになった。いいバトルだったと思う。そして最後に1ポイントを獲得できたから、ハッピーだよ」
ベッテルは、セーフティカーが出てすぐにピットインしたかったものの、チームがダブルピットストップ戦略を回避したため叶わなかったことを悔やんでいるという。
「どうしようもないことだ。今日僕に必要だったのは前のスペースが空くことだったけれど、それはなかったんだ」とベッテルはコメントした。
「僕たちに優勝できるほどのペースがあったわけではない。それでも、もう少し速く走れたかもしれないし、もう少しいいレースができたのではないかと思う。ピットストップのことは分からないけれど、僕がピットに入ったのは最後だった。それは検証すべきだろうね」