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 6月26日、MotoGP第11戦オランダGPの決勝レースがTT・サーキット・アッセンで行われ、MotoGPクラスはフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が今季3勝目を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はレース中にロングラップ・ペナルティを科され、12位でフィニッシュしている。

 決勝レースは気温22度、路面温度29度のドライコンディションで始まった。好スタートを切ったのはポールポジションのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)。2番グリッドスタートのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は3番手に後退。5番グリッドスタートのアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)が2番手に浮上する。4番手に後退したホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)は3周目にマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)にかわされ、ベゼッチが4番手、マルティンが5番手となった。

 トップを走るバニャイアは後方を引き離していく。一方、2番手のアレイシ・エスパルガロに3番手のクアルタラロが接近する。そして5周目、5コーナーでクアルタラロがアレイシ・エスパルガロのインサイドに入った瞬間、クアルタラロがスリップダウン。アウト側にいたアレイシ・エスパルガロと接触した。クアルタラロは転倒し、マシンを起こしてレースに復帰したが最後尾に後退。アレイシ・エスパルガロは転倒こそ免れたものの、15番手にポジションを落とす波乱の展開となった。

 これによって、ベゼッチが2番手、マルティンが3番手に浮上する。マルティンの1秒後方にはブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が4番手を走行していたが、その背後にはマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が迫っていた。さらにそのビニャーレスの約0.6秒後方の6番手に中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がつける。

 最後尾を走っていたクアルタラロは10周目にピットインしたが、再びレースに戻った。しかしその後、5コーナーで2度目の転倒を喫し、リタイアとなった。

 残り10周を迎えるころには、トップのバニャイアは2番手のベゼッチに対し約1.8秒の差を築いていた。しかしここで雨が降ってきたことを知らせるレッドクロスのフラッグが振られ、同時にホワイトフラッグの提示によりマシンの乗り換えが可能となった。

 トップは変わらずバニャイア、2番手はベゼッチだったが、後退したマルティンに代わってビニャーレスが3番手に浮上し、その後方には4番手にミラー、5番手のビンダーが続く。ミラーはQ2での走行ライン上のスロー走行に対しロングラップ・ペナルティを科されており、これを消化して4番手までポジションを回復していた。

 ビニャーレスとミラーの差はわずか。しかし残り2周の最終シケインでミラーがビニャーレスに仕掛け、これをビニャーレスが守ると、ミラーはビニャーレスから遅れ、その差は最終ラップで0.8秒ほどに開いた。

 トップを走るバニャイアは、そのままポール・トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。2位はルーキーのベゼッチで、MotoGPクラスで初の表彰台を獲得。3位にはビニャーレスが入り、アプリリア・レーシング移籍後初の表彰台を獲得している。

 4位争いは最終シケインでビンダーとミラーをオーバーテイクしたアレイシ・エスパルガロが制し、一時は15番手にまで後退したところから追い上げてみせた。5位はビンダー、6位はミラーが入っている。中上は7番手走行中にトラックリミット違反によるロングラップ・ペナルティを科されて後退し、12位でフィニッシュした。

 シーズン前半戦の締めくくりとなるオランダGPを終え、チャンピオンシップはクアルタラロが変わらずランキングトップながら、ランキング2番手のアレイシ・エスパルガロとの差が21ポイントに縮まった。ランキング3番手はヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)、そして今大会で優勝したバニャイアが、クアルタラロと66ポイント差のランキング4番手に浮上している。

 MotoGPは約ひと月のサマーブレイクに入り、8月5日~7日のイギリスGPから後半戦を迎える。