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 7月22~23日にスウェーデン南部ヘルシンボリ近郊に位置するリング・クヌットストープで争われた、2022年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権第3戦は、予選ラップレコードを更新した王者ロバート・ダールグレン(PWRレーシング/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が、週末3ヒート全制覇の“ハットトリック”を達成。

 またSTCCシリーズは、来季2023年より「世界初のフル電動ツーリングカーによる国内選手権」へと変貌する新生チャンピオンシップに併せて、サポートクラスとして開催される世界初の完全電動ジュニア・ツーリングカー・カップ『NXT Gen Cup』の概要もアナウンスしている。

 6月にシェレフテオのドライブセンター・アリーナで開催された第2戦に先立ち、新生STCCとして「世界初のBEVによる国内選手権」を創設するとアナウンスしたSTCC運営委員会は、現在のTCR規定チャンピオンシップも併存することに加え、新たなオールエレクトリック・サポートクラスの詳細も明らかにした。

「我々としても持続可能な電動化技術を活用し、将来のレーシング・スターを見つけることで若い才能のための足場を築きたい。現在のモータースポーツの世界における重大なギャップを、この『NXT Gen Cup』で埋めていき、彼らの役に立ちたいんだ」と語るのは、現在もシリーズに参戦するレストラップ・レーシング代表であり、この『NXT Gen Cup』共同創設者にも名を連ねるフレデリック・レストラップ。

 このカップ戦は、2023年にもスウェーデンのASN(自動車連盟)が定める公式ジュニア・チャンピオンシップとして認定されるとともに、タイトルを獲得すれば2024年のSTCCドライブに向けた財政的支援を伴うプライズパッケージも用意される。

「このシリーズはトラック上での競技だけでなく、メディアやスポンサーとの関係、経済学、レースエンジニアリングなどの観点から、プロのレースキャリアを実際に形成する方法について、若い才能を教育することが目標になる」と続けた前出のレストラップ代表。

「私自身、ジュニア時代にはまったく同じようなルートを経験してきたし、彼らのような若い才能がどのような課題に直面するかを知っているつもりだ。この『NXT Gen Cup』はキャリアのなかで最も重要な一歩を踏み出すための、確かなツールを提供することになるだろう」

2023年の新生STCCサポートクラスとして開催される、世界初の完全電動ジュニア・ツーリングカー・カップ『NXT Gen Cup』
2023年の新生STCCサポートクラスとして開催される、世界初の完全電動ジュニア・ツーリングカー・カップ『NXT Gen Cup』
この『NXT Gen Cup』ではレストラップ・レーシングが開発中の電動モデル『ミニ・クーパーSE』をベースとした230PS級のワンメイク車両『LRT NXT1レースカー』が採用される
この『NXT Gen Cup』ではレストラップ・レーシングが開発中の電動モデル『ミニ・クーパーSE』をベースとした230PS級のワンメイク車両『LRT NXT1レースカー』が採用される
この冬のうちにも仮想空間を活用したシリーズが開始され、優勝者は2023年シーズンの参戦費用全額免除でのシートが確約される
この冬のうちにも仮想空間を活用したシリーズが開始され、優勝者は2023年シーズンの参戦費用全額免除でのシートが確約される

■STCC第3戦は王者ダールグレンがFPから先行。レース1&2で連勝を飾る

 2023年創設の新生STCCでは、現在シリーズに参戦するPWRレーシングのBEV開発プロジェクト“PWR002”が発展し、新たに設立されたEPWR社を介して供給される電動ツーリングカー『テスラ・モデル3』や、クプラ製モデルがベースのツーリングカーなどが参戦する計画だが、この『NXT Gen Cup』ではレストラップ・レーシングが開発中の電動モデル『ミニ・クーパーSE』をベースとした230PS級のワンメイク車両『LRT NXT1レースカー』が採用される見通しだ。

 この新たなサポートシリーズに向けては、この冬のうちにも仮想空間を活用したシミュレーション・レーシングシリーズが開始され、優勝者は2023年シーズンの参戦費用全額免除でのシートが確約される。

 こうしたアナウンスを経て、木曜3時間のテストセッションで幕を明けた週末は、通常の金曜フリープラクティスでも王者ダールグレンが先行。続くFP2こそアンドレアス・バックマン(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が最速を奪ったものの、レース1のグリッドを決める予選Q1は59秒366、続いてレース2向けのQ2では59秒159とさらにタイムを削ったチャンピオンが連続ポールポジションを確定。2018年に樹立されたTCR規定のコースレコードを更新する速さを見せつけた。

 明けた日曜はフルウエットの状況でレース1を迎えるも、視界良好のポールシッターは後続を寄せ付けずにオープニングヒートを制覇。続いて14時からのレース2も引き続きウエットの中で連勝を飾り、ダールグレンはSTCCキャリア通算50勝の節目に到達するメモリアルウインを手にした。

「この週末は魔法のようだったね。いや、僕はいつも『魔法のよう』だって繰り返しているけれど、それが日曜に3つのレースに勝った後の、正直な気持ちなんだ」と、チャンピオンシップの歴史のなかでも2冠を記録するヨハン・クリストファーソンが、かつて1度だけ記録した偉業を“リピート”したダールグレン。

「レース2では通算50勝に到達できたし、これを可能にしたのは素晴らしいクルマであり、素晴らしいチームだ。35勝目からここまではあっという間に過ぎてしまった。これもすべてPWRレーシングドライバーというプロ集団のおかげだよ」

 各ヒートで2位以下の面々が入れ替わったこともあり、ランキング首位を行くダールグレンはオリバー・セーデルシュトレーム(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)に対し31ポイント、宿敵トビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)には40ポイントもの大量リードを築くことに。続くSTCC第4戦は、8月19~20日にカールスクーガことゲラーローゼン・アリーナで争われる。

日曜レース1は、視界良好のポールシッターが後続を寄せ付けずにオープニングヒートを制覇
日曜レース1は、視界良好のポールシッターが後続を寄せ付けずにオープニングヒートを制覇
レース2も引き続きウエットの中で連勝を飾り、ダールグレンはSTCCキャリア通算50勝の節目に到達するメモリアルウインを手にした
レース2も引き続きウエットの中で連勝を飾り、ダールグレンはSTCCキャリア通算50勝の節目に到達するメモリアルウインを手にした
後半戦突入のSTCC第4戦は、8月19~20日にカールスクーガことゲラーローゼン・アリーナで争われる
後半戦突入のSTCC第4戦は、8月19~20日にカールスクーガことゲラーローゼン・アリーナで争われる